「わろてんか」一週間 第11週「われても末に」[字] 2017.12.17
・「出かける時の忘れ物」・「ひょいとつかむハンカチのように」・「心の中にすべり込む」・「いちばんちいさな魔法」・「泣いたり笑ったり」・「今日も歩き出す」
(てん)これ席主にお渡しして。
(藤吉)これごりょんさんに渡してや。
(亀井)へえ。
大将から。
(トキ)どうぞ。
おおきに。
おおきに。
団吾師匠の契約金用意すんのにここの権利書が必要や。
金庫の鍵欲しい言うてくれ。
へえ。
「金庫の鍵渡せ」言うてはりまっけど。
「金庫の鍵をはよよこし」言うてはるそうです。
鍵はお渡しできまへん。
「鍵は渡しとうない」言うてはります。
「誰が鍵渡すか」言うてはりまっけど。
何や!金庫の中身は俺の名義のもんもあるんやで。
団吾師匠に大金使うんやったらほかの芸人さんにももっとあげてほしいわ。
(お楽)あ…あのこんなもんが。
(お夕)「団真とは長年連れ添ってきましたが別れる決心がつきました。
挨拶もせずに出ていく事をお許し下さい」。
お夕さん出ていかはりましたえ。
(団真)おらんようになってせいせいしたわ。
あいつがおらんかったら落語なんかとっくの昔にやめとったのに。
おおきにな別れるきっかけ作ってくれて。
しばらく仕事休んだらどうや?へ?てんがこれまで頑張ってくれた事にはホンマに感謝してる。
そろそろ子育てに専念してもらいたい思うてたんや。
うちは藤吉はんが日本一の席主になるまで支えていくて…。
いやいや支えてくれるんやったらうちでもできる。
お前の仕事は俺が代わりにするから。
分かりました。
うちはもう口出ししまへん。
(アサリ)ストライキはええけど暇やなぁ。
何で!?
(キース)何でこんな時間にここにおるんですか。
うちもストライキです。
(2人)え!?お前は子守と家事さえしてればええ言われまして。
(万丈目)大変や!岩さんが風鳥亭の高座に出てるらしいで。
行くで。
おう!
(リリコ)あんたまでストライキとはな。
藤吉はん団吾師匠しか目ぇに入ったはらへんさかい。
何も分かっとらんなぁ。
団吾師匠のようなお人がほかの芸人の人気も底上げしてくれるんや。
そのために1万でも2万でも払うちゅう藤吉の考えは何も間違うてないわ。
(風太)てんちゃんてんちゃんてんちゃん…。
おいどが!し〜っ。
え!?団吾師匠に会わせてくれへん?え!?どんなお人なんか自分の目で確かめたいんや。
先日は大変失礼致しました。
北村藤吉の妻てんと申します。
(団吾)一杯どや?すんまへんうちお酒は…。
ほな踊れるか?・「おじいさんとおばあさんがあったとさ」下手くそやな〜。
もうええもうええもうええ!てん。
な!酒は飲めん踊りはでけん。
何のために来たんや?そうか金持ってきたんか。
うちはお金で芸人さんを縛るなんてしとうありまへん。
芸人さんと席主はお金だけの関係やない。
そう信じてますさかい。
話す必要はないな。
いつんなったら出てくるか分からんで。
構へん。
お前は言いだしたら聞かへんさかいな。
表通らんと裏道裏道。
団吾師匠?何で赤人力やないの?何でこんなとこに団吾師匠が…。
お夕さん?
(お夕)ごりょんさん…。
(風太)あのここは?
(団吾)わしの別宅や。
調子が悪そうやったさかいここで面倒見たってるだけや。
師匠の大事な娘さんやしな。
(風太)あっそうですか。
ほなもう失礼しよか。
な!お夕さん一緒に帰りましょ。
ほんまに団真さんと別れはる気ぃですか?戻る気ぃはありません。
精も根も尽き果てました。
うちの事はどうぞこのまま放っておいて下さい。
ごめんやす。
(万丈目)黙ってたら分からへんがな。
(アサリ)この裏切りもん!
(岩さん)すまん!孫が生まれてな。
そやけど祝うてやる金もない。
そやからって仲間を裏切ってええんか!あ〜。
歌子はん飯食わしてもらえるか。
(歌子)へえどうぞ。
うち帰れんさかい。
資本家や。
(アサリ)資本家は出ていけ。
あんたらが出ていき。
そやけど歌子あれやで岩さんに裏切られたわてらの気持ちかて分かっといてや!そやそや!裏切りもん許す訳にはいかん!お前はもう敵やからな。
もうええ裏切りもん!
(アサリ)裏切りもん!ええ加減にせえ!同じ釜の飯食うた仲間責めたてて芸を磨く努力もせんとお前ら何やっとんねん!世の中もお客さんもどんどん変わってんのにお前らいつまでたっても変わろうとせん。
俺はお前らの才能信じてるんや。
団吾師匠の事かてきっと目の色変えるはずや思うとったわ。
団吾なんかに負けてられんてな。
お前らも芸人やったら命がけで芸に取り組んでみい!てんの言うとおりお前らは俺にとって家族も同然や。
家族やからこそ心配なんや。
団吾がお夕の面倒を。
よかった。
よろしいんですか?あの二人は所帯を持つはずやったんや。
先代が出来のええ団吾を婿にさせよ思てな。
それやのに俺が無理無理お夕と駆け落ちしてこのザマや。
お夕はあいつんとこおった方がええ。
てんまだストライキ続けてんのか。
よっしゃ。
ここはひとつ俺らの出番や。
・はい…はいはいはい。
・はい風鳥亭です。
へえへえ。
えっ!?えらいこっちゃ。
隼ちゃんが…隼ちゃんが…。
どない…どないした!?は…はよ戻らはった方が!ケガか病気か!とにかくはよ!大ケガ!大ケガか!
(トキ)はよ戻らはった方が!何ですの?いきなり。
おいてん!隼也はどこや!隼也!隼也!ん?あれの事か。
隼也が…おねしょしたんや。
おねしょ…。
(風太)なあ。
(隼也)うん。
どういう魂胆や。
そろそろ仲直りしてもらわんと寄席もひっちゃかめっちゃかで困ってますさかい。
てんは団吾師匠に会いに行ってんやで。
お前が団吾団吾うっさいの理解しよう思て…。
風太!
(風太)芸や寄席興行の事が分からんなりにお前の考えを理解しようと頑張ってんねん。
藤吉さんも同じです。
おてん様の言う事よう分かってはります。
万丈目さんらに言うてはりました。
みんなは家族同然やて。
え…。
みんなの事見限った訳やのうてわざと突き放したんです。
真剣に芸に取り組んでほしいさかい。
(風太)もうええやろ。
意地張らんともう仲直りせえ。
回想
(藤吉)俺はお前らの才能信じてるんや。
えい!うわ〜っびっくりした!お前何してんねん!ええ事思いついた。
座れ!何や?座れ!アイタ〜ッ!俺と組まへんか?え?なあ俺と組もうや。
ちょっと待て待て待て待て…。
何してんねんこれ。
新しい芸考えて俺が大看板やて胸張れるようになるまで帰られへん。
よっしゃやるで!岩さんもええな!えっわしもええんか?もちろんや。
(寺ギン)うちは2万円用意さしてもらいます。
ほかに月のお手当こんだけで。
ほう〜そんなお金どっから出てきますねん。
芸人50人クビ切ったらどうとでもなりますわ。
師匠は50人以上の価値がありますさかい。
師匠とわし組めば天下とれまっせ。
よう考えさしてもらいまひょ。
「あ〜熊はんか。
こっち入っとくれ」。
「とりあえず仕事の方はほっといてお宅へ上がらせてもろたような事で」。
・「これ渡してす〜っと帰らはった。
崇徳院さんのお歌。
『瀬をはやみ岩に』…」。
(ぶつかる音)誰や!おむすび作ってもろたさかい…。
おおきに。
「崇徳院」のお稽古ですか?あああいつおらんようになったらせいせいしてな噺の稽古にも身ぃが入るわ。
ほなおおきに。
お見事です。
えっもったいない。
活けた花が美しいんはほんの一瞬やで。
笑いも同じや。
ボ〜っとしてたらすぐに腐ってオモロなくなる。
そやから噺家は命削ってオモロイ事やり続けなアカンのや。
わしは一人でもようけお客さんを笑わしたい。
そのためやったら何もかんも犠牲にしたって構へん。
それがわしの生きる道や。
団真はどないしてる?「崇徳院」のお稽古してはります。
きっとお夕さんに聴かせたい思てはるんやないですやろか。
今頃遅いわ。
あいつはな落語から逃げただけやない。
一人の女も幸せにできへんかった最低のやっちゃ。
そやけどお夕さんもまだ団真さんの事を…。
お夕はわしのもんや!あいつのとこに返す訳にはいかん。
団吾師匠は怖いくらいに落語への想いがあるお人でした。
うち何も分からへんのにいろいろ言うてホンマにすんまへんでした。
それにしてもびっくりしたな。
団吾師匠がお夕さんの事を好きやったとは。
運命っちゅうもんは思いも寄らん事になるもんやなぁ。
団真さんいてはりますか?
(藤吉)「われても末にあはむとぞ思ふ」。
(亀井)崇徳院の下の句でんな。
別れ別れになった川の流れもきっといつの日かまた巡り合うっちゅう事やけど…。
川の流れなぁ…。
まさか身投げ?そやな。
いやアカンがな!あっ!け…警察!警察!よしよし!はいはいはい!
(お夕)団真がおらんようになった!?ほっときや。
死ぬいうんやったら死なしたったらええ。
その方があいつのためや。
すんません!お夕さん…。
ホンマすんません。
うちのせいなんです。
駆け落ちかて一緒に逃げてってうちが頼んだんです。
ホンマはあの人は駆け落ちには反対やったんです。
落語がでけへんようになったんも飲まれへんお酒飲むようになったんも全部うちのせいや…。
(戸が開く音)見つかりましたで。
すんませんでした。
ボ〜っと川眺めてるとこ見つけましたんや。
うちへの当てつけやったんやろ?こんな事する前にやる事あるやろ!何で根性見せて落語に精進せえへんの?さっさと団吾のとこ戻って嫁はんにでも何でもしてもらえ。
お夕さんが怒ってはるんはきっと団真さんが自分の落語の才能信じてはらへんからやないですか。
あんたらには分からんわ。
ホンマもんの天才を前にするとな自分が取るに足らん噺家やいう事に気付いてこの辺ざくざくされんねん!痛ぇ…。
大丈夫ですか?生きてた…。
ストライキを終了します!ホンマに!?お前らの才能を信じてるっちゅう大将の言葉ホンマに響いたわ。
新しい芸ピカピカになるまで磨いたで。
わいとキースのどつき万歳や!あうっ!アサリさんどうもないん?当たり前や!わいは芸人やで!わてはうしろ面を極める。
どやろ?よろしゅう頼んます。
いや〜!やった〜!「高津さんへお詣りしはりまへんでしたか?」。
「ああ近所やさかいちょいちょいお詣りさしてもろてます」。
「いよいよ間違いおまへん。
お年の頃なら十七八」。
・「今年七つです」。
やっぱりあの二人ホンマはどっちも好き合うてるような気がするんです。
うちの高座で団真さんに「崇徳院」をやってもらいたいんです。
俺も元は芸人や。
団真の気持ちもよう分かる。
昼席の初っ端やったら構へん。
へえおおきに!そんかわり俺の頼みも聞いてくれるか?え?何やて?団真さんの高座に師匠も出てもらわれへんかと。
オモロイやないか。
うちの席主がお二人の競演を見たいとたっての願いでして。
お夕さんのために団真さんきっと魂のこもった「崇徳院」をやってくれはります。
お夕も行くんか?さっきお伝えしてきました。
そやから見届けるだけでも。
(出囃子)
(まばらな拍手)・団吾や団吾や!・団吾や!・赤人力や!団吾や!こんな寄席にホンマもんの!えらいガラ空きやないか。
入りなはれ席埋まってまいまっせ!
(イチ)お代…お代置いといてんか!
(団吾)入りなはれ!入りなはれ!すごい…。
あっという間に満員や。
あっお夕さん!ほないこか。
(手拍子)
(拍手)それではここにおりますわしの恋敵いや…兄弟子の月の井団真が「崇徳院」をたっぷりやらせて頂きます。
(ざわめき)
(小声で)やれるもんならやってみい下手くそ。
兄さん何ですの?今の。
まじないやまじない。
うまい事いくまじない。
ホンマかいなええ加減な事言うて。
昔ようわしにやってくれたなぁ。
兄さん。
団吾師匠よう来てくれはりました。
ホンマにおおきに。
ありがとうございます。
お夕は来てるか?はい。
そうか。
あの男が一門に弟子入りした時はホンマ死んでまえ思いました。
(笑い声)あいつ入った時から天才やったんですわ。
そやけどあの団吾にも絶対に負けへんちゅう噺がありまして。
「ああ熊はんかこっちへ入っとくれ」。
「へえ」。
「アホかいなこのスカタン!」。
「ス…スカタン?」。
「黙って歩いてて分かるはずがないやろ!それからそれへ伝わって…」。
さすが団吾師匠の兄弟子や。
「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の」。
(笑い声)・「べ…べっぴんさんでっか!?」。
・
(笑い声)「お年の頃なら十七八!」。
「今年七つです」。
(笑い声)「心配しなはんな!割れても末に買わんとぞ思う」。
(拍手と歓声)お疲れさまでした。
おおきに。
やっぱり夫婦は…。
割れても末に逢わんとぞ思うですな。
そやな。
今日は2人のおかげで満員御礼やったからな。
えらい事になってますわ。
あっ!団吾師匠!し〜っ!すんまへん。
団吾師匠来てまへんか?あっ裏から飛び出していかはりましたで。
あの〜何とかいう女子はんとこ行く言うてな。
あ〜そうそうそう。
頼むでホンマ。
しゃあないな。
おおきに助かったわ。
うちらこそ今日は助けて頂きましたさかい。
ほな何とかいう女子んとこ行てくるわ。
(戸が開く音)ああ言い忘れたんや。
ここはオモロイ高座をやりよるわ。
けったいな女子もおるしな。
へ?ここに出たる言うてんねん。
ホンマですか!あんたらとやったらオモロイ事ができそうや。
ありがとうございます!ありがとうございます!と話はまとまったところで。
へ?契約金1万でええわ。
今すぐ欲しいねん。
入っといで!いやいや…。
今すぐ耳そろえて払たって。
おおきに!1万1万…1万て?
(キース)団真さんも大阪中あっちこっちの寄席からお呼びがかかる事間違いないな。
わいらも負けてられんで。
うん。
どつき万歳は手加減したらアカン。
思いっきりな。
こうでっか?アイタッ!お気張りやす!生字幕放送でお伝えします2017/12/17(日) 11:00〜11:20
NHK総合1・神戸
「わろてんか」一週間 第11週「われても末に」[字]
てん(葵わかな)が藤吉(松坂桃李)の許可なく団真(北村有起哉)を高座に上げたことで夫婦ゲンカ勃発。団真とお夕(中村ゆり)の夫婦仲もおかしくなり、お夕は姿を消す。
詳細情報
番組内容
てん(葵わかな)が藤吉(松坂桃李)の許可なく、団真(北村有起哉)を高座に上げたことで夫婦ゲンカが勃発、ついには口も聞かない最悪の状態となった。団真とお夕(中村ゆり)の夫婦仲もおかしくなり、お夕は姿を消してしまう。てんは藤吉がなぜ大金を払ってでも団吾(波岡一喜)を風鳥亭に迎えたいのかを知りたいと思い、風太(濱田岳)に頼んで団吾の家を訪ねた。だがそこで、団吾の世話になっているお夕を見つけて驚く。
出演者
【出演】葵わかな,松坂桃李,濱田岳,広瀬アリス,徳永えり,大野拓朗,前野朋哉,兵動大樹,中村ゆり,波岡一喜,北村有起哉,藤井隆,内場勝則
原作・脚本
【作】吉田智子
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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