「中国のアニメが日本を5〜10年で追い抜く」「アニメ産業に携わる人達全てが海外に目を向けないとマジでやばいと凹んだ中国視察でした。」と、中国を視察した人気アニメ「けものフレンズ」のプロデューサー福原慶匡さんがツイッターで発言し話題となりました。
ネット上では賛否両論飛び交いましたが、これは実際に起こり得ます。というのも、近年ファーウェイの日本での技術者獲得に見られるように、優秀な人材は中国からより良い条件提示を受け、所属を中国企業に変えながら仕事をするようになるだろうからです。
そして、気が付いたら日本のクリエイティブが空洞化している……というシナリオは十分予想できます。
近年、中国はIT分野での成長が目覚ましく、日本でも電子マネーやシェアサイクル、無人バスなど様々なものが取り上げられています。
私は中国に暮らして5年ですが、来中当時の2012年は紙の地図を見ながら街歩きしていたくらいなので、その発展のスピードはお分かり頂けると思います。とにかく中国はインターネット関連でイノベーションが起こり続けています。
「セサミクレジット」なるものを聞いたことがありますでしょうか? アリババが開発している「信用度」を数値化するサービスで、支払い状況や学歴、職種などさまざまな情報をポイントにしてユーザーの信頼度を自動で算出しています。
将来的にこの信用度が高ければ享受できるサービス(空港で並ぶ必要が無い、ホテルのデポジットを払う必要がないなど)が増えて行くようで、中国は、ルールを守り徳を積むことが社会的な信頼を勝ち取っていく社会を形成しようとしています。かなり面白い試みなので、興味ある方は調べてみてください。
さて、自己紹介が遅れました。私はネット動画を作っている山下智博と申します。2013年から中国で動画を作り始め、作った動画の再生回数は10億回を超え、ありがたいことに「中国で一番有名な外国人ネットタレント」という名誉ある立場で、中国で活動させていただいています。
現状、中国のネット動画及び若者文化については、かなり詳しい自負があります。本日はここで日本のアニメを含むコンテンツに未来はあるのかという話を中心に、中国若者文化やネット文化などの現在を交えて、自分の経験をもとに書かせていただきます。
僕は日本も日本文化も大好きです。四季の移ろいや繊細な味付けの料理、整備された観光地に温泉にB級グルメ、カワイイ文化や匠の技が光る伝統工芸もまだまだ世界中の人々を感動させるポテンシャルを十分秘めています。
アニメにしても同様です。正直あの細かい作業を他の国の人が成し遂げられるか、様々な要素が混ざり合った「キャラクター」を創作して生かしていけるか、と考えると、まだまだ日本は安泰な気もします。
そうです、日本のコンテンツはまだまだ世界の人を惹きつけられますし、十分世界市場で戦っていけるのです。特に中国は地上波の国営放送が日本の文化を積極的に紹介しない分、日本好きは昔からずっとネットに集まり、常にネットを通じて日本の情報を探しています。