Introduction
こんにちは。阿豆らいち(@AzuLitchi)です。
年間売上高が1000万円以下のフリーランスが消費税を請求するのは不正行為なのかどうか、というお話です。
とうじょうじんぶつ
阿豆らいち:
フリーランスのデザイナー。月90万近くも売り上げられるわけありませんので。
クライアントの担当さん:
実在の人物とは大幅に違います。
フリーランスも消費税を請求していいの?
日本で消費税が導入されてまだ10年程度の頃のお話です。
※当時は消費税が5%でした。
今ではこんなこと言ってくる企業も少なくなりましたが、当時でも面と向かって言われてたまげました。そんじゃ御社は社員旅行先の宿が個人経営なら消費税の支払いを拒否すんのかよ…。
受け取った消費税は全額納付するの?
納付税額は原則課税では「売上にかかる消費税額」から「仕入れや経費にかかった消費税」を引いたものになります。
売上で消費税として受け取った金額全てを納税するわけではありません。
仕入れの時点で既に消費税を支払っているので、売上からその分を引かないと二重に消費税を支払うことになってしまうのです。
消費税の中小・小規模事業者向けの特例に関する資料 : 財務省
売上高が1000万円以下なら消費税の納入義務がないの?
個人事業者の場合は原則として前々年の課税売上高が1,000万円以下の場合、消費税の納税義務が免除されます。
財務省によると事業者免税点制度の趣旨は
「小規模な事業者の事務負担や税務執行コストへの配慮から設けられている特例措置」
とされています。
青色申告するには複式簿記で帳簿をつけることが条件の一つなのですが、帳簿上の消費税計算はややこしく、事務負担は増し、計算間違いも増えそうです。その些細な計算間違いを指摘するための税務執行もコストに見合わない、同じコストならもっと大きな額の脱税チェックをしたい、ということでしょう。
2003年までは日本の免税点制度は売上3000万円以下でしたが、現在はイギリスやフランスなどと同等に引き下げられています。
消費税の中小・小規模事業者向けの特例に関する資料 : 財務省
例えば年間売上が648万円(税込)で、仕入れと課税経費の合計が324万円(税込)だった場合、本来納める消費税額は24万円のはずなのですが、事業者免税点制度によりこの納税が免除され、事業者の利益となります。月額で言えば2万円です。
この差額は「消費税の益税」などと言われています。
売上高が1000万円以下なら消費税を請求しちゃいけないんじゃない?
免税業者でも、仕入れと経費では消費税を負担しているので、その分の値上げを行う必要があります。
消費税の転嫁のあり方
消費税の中小・小規模事業者向けの特例に関する資料 : 財務省
個人事業主が請求額に消費税を全く載せないと、今度は外注費を課税処理している企業側に消費税の益税が発生してしまいます。
近年では企業側が消費税を適正に支払っているか、定期的に中小企業庁等からの問合せが送られてきます。問合せに同封されているタレコミ用紙に記載して返送すると、不適切な企業にはガサ入れが入る…かもしれません。
売上が1000万円以上だったら?
帳簿記載の計算がややこしくなるので「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出すればみなし仕入れ率で仕入控除税額を計算することもできます。
デザイナーの場合第五種事業で50%になります。
簡易課税の事業区分フローチャートはこちら。
簡易課税の事業区分について(フローチャート)|消費税目次一覧|国税庁
ざっくり言うと消費税が8%なら税抜き売上価格の4%が納税額ということになります。
まとめ
フリーランスであっても諸経費に消費税がかかっているのでクライアントに消費税込みの請求をするのは正当な権利。
長い目で見ればお互いのためなのでしっかり消費税も請求しましょう。
冒頭のケースでは、見積書の再提出をさせてもらいました。
フリーランスが見積もりを出すときは、口頭で「人日いくら」という場合でも常に消費税込みの値段を伝えた方が良いのではないかと。
参考サイト
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/shouhi.htm
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/gakushu/hatten/page02.htm?non
http://www.tokyozeirishikai.or.jp/general/zei/shouhi/
https://www.kaike1.com/return/consumption-r/duty-free-3626
http://biz-owner.net/keihi/syouhizei
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それではまた…さよならいち!・∀・)ノ