先に生まれただけの僕#10[終][解][字][デ] 2017.12.16
(呼び出し音)
(音声ガイダンス)おかけになった電話をお呼びしましたがおつなぎできませんでした。
(鳴海涼介)はぁ…。
(松原聡子)婚約解消しよう涼君
(加賀谷)俺なら会社に戻るな〜戻って来いよ鳴海何でこんなことに…。
(南)おはようございます。
(後藤田)おはよう。
おはようございます。
おはよう松原君。
早いね。
最近仕事に燃えてるんじゃない?プリントアウトしてるだけです。
おはようございます。
おはよう。
もしかして…鳴海と別れたの?はい別れました。
そうなんだ。
経理部に届けて来ます。
うん。
南。
(南)はい。
こういう時はな焦っちゃいけないんだ。
失恋したばかりの女に付け入るなんてセコイこと俺はやらない。
はい。
勉強になります。
(島津)昨日の個別相談は19組でした。
正直35組くらいは来てもらいたかったんですが…。
(郷原)ホント昨夜は暇だったな〜。
(柏木)チラシまきの効果がまだ出てないんでしょうかね?
(日菜子)すみません!
(河原崎)矢部先生のせいじゃないよ!
(文恵)ブログも誰も見てないんじゃない?
(沙織)ごめんなさい。
いや杉山先生これホントに誰が悪いとかじゃないですよ。
会社の営業だってすぐに結果出ませんし。
とにかく諦めずに続けましょう。
それでは今日もよろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
では皆さん授業に。
(文恵)綾野先生は楽よね〜ブログ書いてりゃいいんだから。
だって保健の先生だし。
(文恵)何の関係があんのよ。
(薫)気にしちゃダメですよあんなの。
全然平気でもコメントでディスって来てるの杉山先生かも。
ウソ〜。
矢部先生風邪大丈夫〜?僕にうつしていいんだよ〜?
(日菜子)大丈夫ですからもう。
「もう」って何だよ。
校長。
元気出して行きましょう。
僕は元気ですよ。
いつも通りじゃないですか校長先生。
(真柴ちひろ)え?あれから仲直りしたんですよ婚約者の人と。
いや私は別にそんなこと…。
(聡子の声)転籍?
(友梨子)さすがにあれはひどい。
会社と学校どっちか選べなんて…。
鳴海さん青ざめてた。
(友梨子)でもやっぱり会社に戻るしかないよね。
松原さんにとってはうれしいのか。
よかったね。
松原さん!うん。
(柏木)校長を辞めろ!?会社に在籍したければ学校にいられないそうです。
どうして?鳴海校長はうちに来てまだ三月も経ってないんですよ?私に言われても…。
松原さんからその…桂?亀田?あ加賀谷専務。
そいつに言ってくださいよ。
鳴海校長にそんな意地悪なこと言うなって。
私…彼と別れたんです。
えぇ!?おしるこで〜す。
ありがとうございます。
ありがとうございますじゃないでしょ。
どういうことなんですか?あ…だから婚約解消。
どうして?もう気持ちが分かんなくなっちゃったっていうか私には無理だなって。
ちょっとちょっと〜。
どうしてこのタイミングで。
無理って何ですか…!あ〜すみません。
もう〜ショックなことをいきなりダブルで聞かされたもんで私今かなり動揺してます。
あ〜!おしるこに七味かけちゃった。
相川さんおはよう。
(なつみ)おはようございます。
(島津)昨夜の個別相談は25組。
もう少しで600組に届きそうなんですが…。
目標は1000組ですよね?はい。
まだ400組以上足りません。
(文恵)もう無理なんじゃないの?
(日菜子)いやでもまだ時間はあるんじゃ…。
そうですよ頑張って受験生を集めましょう。
頑張ってますね僕達。
ホントに皆さんには寒い中ご苦労をお掛けします。
もしダメだった時は…次も定員割れだった時は僕が責任取りますから。
えっ…。
とにかく今は頑張ってください。
責任…。
(柏木)責任を取るというのは校長をお辞めになるということですか?いや…まだ何も。
校長松原さんに捨てられたそうですね。
婚約すれば相手は逃げないと思ったんですか?口約束だけで指輪も渡せなかったくせに。
どうしてそれを?
(柏木)加賀谷専務から転籍の話を持ち出されたからといって言い訳にはなりませんよ。
どうしてそこまで…。
私は何でも知ってるんです。
今や情報はだだ漏れの時代なんだ。
え〜?私は昨夜ひと晩考えました。
校長は…校長は樫松物産に戻ったほうがいい。
これは責任うんぬんとは関係ありません。
今だから話しますが校長がここに赴任された時私はこの人に学校運営は無理だと思いました。
でもそれは間違ってました。
鳴海校長は一生懸命仕事に取り組まれ京明館高校を変えようと努力された。
私は校長よりずっと年上ですがあなたを尊敬しています。
事務長。
本当は校長とずっと一緒に仕事がしたい。
でもあなたの将来を考えれば樫松物産にお戻りになってバリバリ仕事をされたほうが…。
松原さんはステキな女性です。
彼女と別れてしまったらあなたは一生後悔します。
事務長でも僕は京明館が…。
もう校長の考え方は少なからず他の教師達に浸透していますよ。
生徒達だって変わり始めています。
これから私達が頑張りますから校長は自分の幸せを考えてください。
婚約解消?
(タイマーのアラーム)はい終了後ろから集めて。
(森)最後の問題分かんなかった〜。
(理恵)私はばっちり。
(由衣)ウソ?この小テストは次の時間までに採点して返却しま〜す。
(ほのか)先生今日はもうこれで終わりですか?そうねちょっと時間余っちゃったけど。
駅でチラシ配ってますよね?うちの先生達が。
受験生募集の?それがどうかした?
(朱里)何で急にあんなこと始めたんですか?何でって…。
(那奈)夜も個別相談やってるし。
(三鷹)俺達の頃はなかったよな?
(明日香)綾野先生のブログも。
(山田)あ〜見た見た。
(沙里依)急にあんなの始めちゃって…。
ごめんね。
みんなが入学した頃はそういう発想がなかったっていうかほら鳴海校長先生がいらっしゃってからいろいろと変わって来たでしょ?だから受験生を積極的に集めようっていうのもその一環で。
でもみんなの時は先生達頑張ってなかったってわけじゃないよ?えっ…もしかして格好悪いと思ってるの?いいの格好悪くたって!私達はやるしかないと思って…。
(チャイム)
(菜月)次教室移動だっけ?
(大和田)移動だ。
えっ?行こう。
今の話は?もういいです。
(梅本)あ〜トイレトイレ。
(藤井)あ俺も行くわ。
(星野)俺も。
(チャイム)ごめんね電話も出なくて。
僕も…。
やっぱり会って話さなきゃ大事なことだから。
「バラバラだ」って言ったよねサト。
「私達もうバラバラだ」って。
フゥ…。
全然知らなかった。
サトがそんなふうに思ってるなんて。
ごめん。
校長になってからずっといっぱいいっぱいでサトの気持ちにまで気が回らないっていうか…。
まぁ言い訳になんないんだけど。
ずっと寂しかったんだよ。
婚約してるはずなのに私達どんどん離れてってるみたいで。
うん…。
こんな気持ちで結婚なんてできないでしょ。
クリスマスに渡そうと思ってたんだ婚約指輪。
僕が京明館辞めて会社に戻ったら考え直してもらえないかな。
校長辞めたら。
楽しいんでしょ?学校の仕事。
でも僕にとってやっぱり一番大切なのはサトだから。
それに…会社から出向して校長やってるだけだし。
だから婚約解消は待ってもらえませんか?お願いします。
ありがとう。
送ってこうか。
あっ島津先生。
胃が…痛いんです。
あらぁ。
原因は分かってるんです。
真柴先生です。
(沙織)えっ?僕は…。
僕は真柴先生が好きなんです。
はい?でも真柴先生は校長先生が好きなんだ!どうしたらいいんですか?真柴先生と校長先生がくっついちゃったら僕は…。
待って島津先生ちょっとついて行けない。
あ…でも全部僕の妄想かもしれない。
綾野先生真柴先生の気持ちを確かめてもらえませんか?私が!?ええ。
それってただの恋愛相談ですよね?綾野先生はカウンセラーでしょ!事務長。
胃が痛いんです。
えぇ?校長先生に婚約者が?でも別れちゃったんです。
あら〜。
校長先生に言ったんです。
松原さんとよりを戻したほうがいいって。
彼女とは時々あんみつを食べながらお喋りする友達なんです私。
友達…。
えっ?混乱して来た!ハァ…。
いい経験させてもらったな。
(部員)どうしたの?なつみ練習キツかった?
(なつみ)大丈夫。
大丈夫?うん。
(社員)お先に失礼します。
お疲れさま。
松原君晩飯どう?俺おごるよ。
あっすいません今日は人と会う約束があるので。
鳴海じゃないよね?違います。
そう。
(南)後藤田さん!ん?加賀谷専務がお呼びだそうです。
そう!じゃあ食事はまた今度。
(加賀谷)ノルディック石油の件は順調に進んでるな?
(後藤田)はいまた来週ロンドンに行く予定です。
うん…頼もしいぞ後藤田。
(後藤田)ありがとうございます加賀谷専務。
今回のプロジェクトが成功したらお前に…京明館を任せてやろう。
(後藤田)えっ?鳴海が会社に戻って来るからなまたこき使ってやる。
ハハハ…。
待ってください!僕が校長に?今のうちにあいつから仕事引き継ぐ準備しとけうん。
松原聡子さんですか?あ…はい。
お待ちしてました。
私京明館高校養護教諭の綾野と申します。
私は柏木さんに呼ばれて…。
ええ。
あっ真柴先生!あぁ…ごめんなさい今日急に個別面談増えちゃって。
これもおいし〜い!でしょ?私これが一番好きかも〜。
松原さんはさおいしいワインたくさん知ってるんでしょ?そうですよ商社の人なんだから。
ロンドン出張なんてカッコいいですよねぇ。
マイルがどんどんたまるんでしょ?そりゃマイルはたまるけど…。
私なんて海外1回台湾に行っただけだもんしかも大学の卒業旅行。
教師は暇がないからね。
えっでも夏休みとかは?生徒達みたいに休めないんです私達。
そうなんですか?朝は早いし夜は遅いし。
土日は部活だしね。
かなりブラックですよ〜。
ホ〜ントにマ〜ジで。
(ちひろ:沙織)アハハ…。
そりゃストレスたまりますよね。
あ〜でも教師っていう仕事は好きなんです。
なりたくてなったわけだし…。
好き…。
生徒達とかかわってるのがいっちばん楽しい。
まぁ一生続けられる仕事よね。
うん。
一生…。
私そんなふうに考えたことないかも。
(沙織)そうなの?やってるのは上司のサポートだし「君に仕事任せる」って言われても正直あんまりうれしくないし。
どうして?私バリバリ仕事したいタイプじゃないんです。
結婚して子供ができたら仕事は辞めるだろうな〜って。
あっもちろん相手の収入にもよるけど。
相手って鳴海校長のことよね?事務長から聞いたの婚約解消したって。
えっ?
(沙織)いや実はさ事務長から頼まれちゃって。
松原さんの気持ち聞いてくれって。
黙って見てられないんだって。
綾野先生。
あ…大丈夫です。
むしろ私ため込んじゃってひとに相談できないタイプだから。
(沙織)でも婚約解消って自分が思い描いてた未来にはならないって思ったから?だって家庭に入りたかったんでしょ?鳴海校長は樫松物産じゃ支店長まで行ってこれから出世して収入だって上がって行くんだから家庭で彼を支えたいって。
そのプランが狂っちゃった?ごめんごめん…ちょっと今意地悪な言い方だったよね。
その通りかも。
すいません!これと同じやつもう1本下さい。
かしこまりました。
それでさ鳴海校長は何て言ってたの?「じゃあ別れよう」って?学校を辞めて会社戻るって。
えっ…。
(沙織)あぁそうなんだ。
う〜んでも本当にそれでいいのかなって。
彼にやりがいのある仕事を捨てさせて戻って来てもらって。
本当にそれが幸せなんだろうかって…。
もう分かんなくなって来ちゃいました。
ハァ…。
(沙織)でもやりがいのある仕事だって言ってくださったんだね校長先生は。
分かります彼の話聞いてたら。
(店員)どうぞ。
ありがとうございます。
相手のこと考えてなかったのは私のほうだったのかも。
(沙織)そんなのお互いさまよ。
まぁ…いいんじゃない?結婚しちゃえばもう。
ちょちょちょ…!入れ過ぎ入れ過ぎ!あっ…ごめんなさい。
松原さんのために学校を辞めるって言ってるんだから私は絶っ対に結婚したほうがいいと思う。
だって〜お似合いだし〜すっごく。
学校って大変な職場なんです。
生徒の人生を考えてあげなきゃいけないし保護者からのクレームもいっぱい来るし職員室での人間関係もいろいろあるしもうホント好きでなきゃやってらんないんですよホントに!鳴海校長先生は樫松物産に戻って松原さんと結婚するのが一番いい!ねぇ綾野先生?
(沙織)フフフ…。
酔っぱらっててよく分かんない。
真柴先生は?あぁ〜おいしい!真柴先生は結婚しないの?いやいや…もう私にふらないで。
え〜私ばっかりズルい!そういう相手いないんですか?いないいないいない…メニュー見えない!
(沙織)いやいやいやメガネ掛ければいいじゃない。
あのね真柴先生のことを好きな人いるみたい!えっ?えっ誰誰?学校の人?そう!へぇ〜。
やめてやめてちょっとちょっと…。
え〜教えてくださいよ〜。
眠い…。
(沙織)飲み過ぎ。
松原さんってすっごくかわいい人ですよね。
真柴先生だってかわいいよ。
私なんて…。
本当よ。
『心の瞳』
(生徒達の声)♪〜心の瞳で♪〜君をみつめれば♪〜愛することそれが♪〜どんなことだか♪〜わかりかけてきた♪〜♪〜言葉で言えないもっと口開けて声出して。
♪〜胸の暖かさそう!
(里奈)えっ…なつみ?どうしたの?えっ?相川さん?
(里奈)どうしたの?大丈夫?
(薫)・ちょっとごめん!ごめんごめん!・ごめんね!あ〜ごめんごめん…!失礼します。
あっ…市村先生。
(薫)相川さんは?眠ってます。
熱はありませんただお友達の話だとここ数日体調が悪かったみたいです。
ごめんなさい私が大きな声で歌わせちゃったから。
だから矢部先生のせいじゃないって。
あの親御さんは…?おかあ様にはケータイに電話しました。
でもすぐには仕事抜けられないって。
証券会社にお勤めなんです。
(沙織)おとう様も今福岡に出張中なんですって。
(薫)そうですか。
どうしちゃったの相川さん。
相川さん?大丈夫?具合はどう?
(ドアが開く音)
(日菜子)失礼します。
今目を覚ましたところです。
え?相川さん!私…。
音楽の授業で倒れちゃったんだよ。
歌ってる時にいきなりバタンって。
覚えてない…。
体調はどう?病院に行く?大丈夫です!大丈夫じゃない!病院行ったほうがいい。
多分…寝不足です。
え?寝不足?ハァ…。
久々に寝た!
(郷原)校長を説得?鳴海さんを説得してください京明館に残るように。
え?校長学校辞めるんですか?本人は絶対辞めたくないはずよ。
僕と杉山先生と河原崎先生は反鳴海派なんですよ?学校説明会の時参加者名簿をメールで私に送ったわよね?郷原先生。
(友梨子)学校の機密情報を外に漏らしたのよ?あれがバレたらあなたはクビよ。
はっはっ…!
(文恵)何で私達が校長を引き留めなきゃいけないのよ!そうですよ!だから…!強い野党になるんじゃなかったの?そうですよ!お前が言うなよ。
すぐひよるくせに。
「お前」?樫松物産の中でドロドロした派閥争いがあるんですよ。
杉山先生は鳴海校長が目障りかもしれないけれど民間企業のえげつない争いに比べりゃちっぽけなことだ!ちっぽけ…?あたしが…ちっぽけ!?おいしい…。
ローズマリーよ頭がすっきりするでしょ?何時まで勉強してたの?3時とか4時とか。
毎日?
(薫)まだ1年生なのに…期末だってまだ先でしょ?頑張ろうって決めたんです。
怒らないで聞いてね先生。
(薫)何?私ずっとふてくされてたの。
京明館は滑り止めだったから…。
だから前期の中間も期末も全然やる気出なくてめちゃめちゃ点数悪くて。
もうどうでもいいって思ってたの。
でも何か…このままじゃダメだって頑張んなきゃダメだって思って。
次の期末は絶対いい点数取ろうと思って。
どうして頑張ろうと思ったの?この学校が好きになったから。
(日菜子)本当にクラブに出るの?
(薫)今日は帰ったほうがいいよ。
大丈夫です!爆睡したから全然元気!それにテニスも頑張るって決めたから!そう。
ご心配をおかけしましたごめんなさい矢部先生。
元気になってくれてよかった。
じゃあいってきます!
(薫)うん。
でも無理はしないでね!
(なつみ)はい!
(薫)うれしいな相川さんがあんなこと…。
この学校が好きになってくれたって。
(日菜子)私もです!
(薫)ん?今は京明館に来てよかったって思ってます。
頑張らなきゃって。
そうね。
頑張ろう!
(島津)昨夜の個別相談は38組。
総数で700組を超えました。
この3日間で100組以上?どうして…。
(薫)生徒達が手伝ってくれたから。
そうかも!生徒達が?手伝ってくれたって?何をですか?チラシまきです。
(生徒)手伝います!あっ…えっ?
(生徒)京明館高校です!
(生徒)京明館高校です!僕もです。
生徒達が入れ代わり立ち代わり。
チラシまきを?この前うちのクラスの生徒達に聞かれたんです。
「どうして先生達チラシまいてるの?」って。
自分達の時そういうのなかったからひねくれちゃったのかなって思ったんですけど。
逆だったんですね。
(沙織)私が書いてるブログも急に「いいね」が増えました。
(鳴海の声)「サオリンの独り言」?
(沙織の声)今まで20もなかったのが急に200を超えちゃって。
もしかしたら生徒達がつけてくれてるのかもしれませんね。
(日菜子)きっとそうですよ!応援してくれてるんですよ私達を。
校長先生がおっしゃったことは本当でした。
教師が変われば生徒も変わる!
(文恵の声)やっぱり私はできない!校長に頭下げるなんて…!下げなくていいから…。
トッポギ。
(河原崎)トッポギ…。
「辞めないで」って言えばいいんです!そういうお願い口調がな〜。
じゃあ「辞めるな」でいいよ上から目線で。
郷原ちゃん!鳴海校長が辞めたら次の校長は私なのよ?そうですよ杉山先生ですよ!もっとひどいのがやって来たらどうするんです?
(文恵:河原崎)え?加賀谷専務の息がかかったとんでもないヤツが。
(後藤田)あぁ…!
(後藤田)あっ…!・おい大丈夫かよ…・上等じゃねえか!京明館を…めちゃくちゃにしてやる!
(振動音)
(鳴海の声)「決めたよ」。
ハハハハハハ…!決めたのか。
はい。
そうか!お前は優秀な男だ。
バカな選択はしないと最初から分かってたよ。
取りあえずは営業部に戻してやる。
後藤田の仕事を引き継いでノルディック石油の…。
転籍を受け入れます。
えぇ?京明館高校の校長を続けたいんです。
ちょ…っと待て?僕は決めました。
樫松を辞めるのか?二度と戻れないんだぞ?分かってます。
学校で問題が起こったらどうするんだ!校長をクビになったら…!そうならないように頑張るしかありません。
応援します鳴海さん。
ありがとうございます。
いやいやいやいやいや…。
専務のお嬢さんにも喜んでもらえる学校にします。
考え直せ鳴海!樫松に戻れば出世は約束するから…!もう…。
振り返りません。
振り返ろ…!振り返って俺を見ろ!鳴海!この会社で一番眺めがいいよねここが。
高校の校舎4階建てだもんな。
涼君…。
もうこの景色も見るのも最後か。
樫松物産を辞めることにした。
僕は京明館高校を選んだよ。
学校っていう職場がこんなにやりがいのあるものだとは思わなかった。
最初は経営を立て直すことで頭がいっぱいだったけど先生達とぶつかって生徒達とぶつかって樫松物産で通用したスキルは役に立たないことばっかりで…。
営業っていう仕事も張り合いはあったよ。
でも今思うと商品売るために僕は…たくさんウソをついていたような気がする。
ウソ?うん。
ホントはこっちの商品売りたいのに会社の方針で別の商品売り込んだり…。
駆け引きとかはったりとか上手なウソをつく能力が営業には必要だと思っていた。
でも学校は…学校っていうところはウソつけないんだ。
生徒達にウソはつけない。
正直でいられるっていうことがうれしかった。
それに先生だってお金持ちになろうと思って教師になってる人なんていない。
教師っていう仕事を選んで続けてるっていうことが尊敬できるっていうか…。
すごいなって思えるんだ今の僕は。
だから会社には戻れない。
ごめんサト。
きっと涼君は…学校を選ぶって思ってた。
あっでも私…。
うん…もう少し聞いて。
でも僕はサトと結婚したい。
樫松物産に戻ってプロポーズするって約束したけどやっぱり…。
やっぱり僕はサトと一緒にいたい。
職場は…離れ離れになってしまうけど僕とサトは同じ世界にいる。
これからはもう不安にさせることはないしこれから先何があっても絶対サトを幸せにする。
だから…。
どうか僕のワガママを聞いてください。
僕と…結婚してください。
ごめんね。
ワガママを言っていたのは私のほうでした。
もう決めてたから。
涼君がどっちを選んでも私は涼君とずっと一緒にいるって。
私と結婚してください。
サト…。
ちょっ…会社だよ?フフ…。
ありがとうサト。
サプライズにはならなかったけど…。
左手出して。
あっ…。
やったピッタリだ。
フフ…!ありがとう涼君。
本当ですね!?はい。
本当に松原さんとよりを戻したんですね!ちゃんと彼女にプロポーズして受けてもらいました。
じゃあさ…!京明館も辞めないんですね!?これからも事務長と一緒に仕事をさせてください。
よかった…!ハハ…。
ホントによかった…!はい。
(ノック)どうぞ!どうされました?校長にお伝えしたいことが。
え…?はい。
こんなことあらためて言いたくないんですが…。
京明館高校を…辞めるな。
は?僕達はお願いしてるんですよ。
辞めないでください鳴海校長…。
辞めないですよ僕は。
(3人)へ?おはようございます。
(受験生達)おはようございます。
まだ開かないでください。
受験生の皆さん。
京明館高校校長の鳴海涼介です。
今皆さんの目の前にある試験問題は京明館高校から皆さんへのメッセージでもあります。
奇をてらった難しい問題はありません。
中学校の授業をきちんと聞いていれば解ける問題ばかりです。
ここから先は僕達と一緒に勉強して行こう。
そんな気持ちを込めて今日の試験問題を作りました。
今日は悔いのないよう全力を出し切ってください。
では始めてください。
名前と受験番号を必ず最初に書いてください。
(セミの鳴き声)
(鳴海の声)いよいよ明日から夏休みです。
3年生にとってこの夏の過ごし方がとても大事になって来ます。
昨年度皆さんの先輩は京明館高校創立以来最高の大学進学実績を残してくれました。
でもみんなは…う〜ん…特にこの特進クラスのみんなはそんなことをプレッシャーに感じる必要はありません。
隣の人と自分を比べる必要なんてない。
目指すは自己ベスト。
自分史上最高の自分になることを目指してこの夏を過ごしましょう。
(生徒達)はい!今高校1年の君達と10年後の君達は別人ではありません。
今日の自分が明日の自分になり明日の自分が明後日の自分になりそして10年後の自分になって行きます。
もし10年後自分がこうなっていたい…と思う何かがあるなら今日のうちにやっておかなければならないことが1つや2つはあるはずです。
2年生のみんなはこの夏のうちにやれることを思いっきりやってください。
勉強することは大事です。
でも大学に入ることがゴールではありません。
その先に社会があります。
学校とは全く違うルールで出来た世界にいずれみんなは出て行かなくてはならない。
僕はこの学校の校長先生ですがだからといって偉そうにするつもりはありません。
僕はただみんなより少しだけ先に生まれて来ただけなんだから。
そっか…。
だから先生としてではなく1人の人間として伝えたい。
これから世の中はどんどん変わって来るだろうし君達の人生もいろいろなことが起こるかもしれません。
「これでいいのかな」とか「私に才能なんてないのかな」とか何度も不安が押し寄せて来るかもしれません。
でもみんなに未来を見通す力なんてありません。
そもそも君達が何かをするまで未来なんて存在しないんだ。
だから君達ができることはあがくことだけです。
あがく?「あがく」か…。
そうですね。
不思議なものであがいて進んで行くと見えて来る景色があります。
やってみないと分からないことが山ほどある。
いや…やってみないと分からないことしかないと言い切ってもいいかもしれません。
だから…。
だから何でもやってみよう冒険してみよう。
冒険しても文句を言う人はいません。
うらやましがる人は山ほどいるかもしれないけどね。
僕は先生方にも同じことを言います。
生徒達が夏休みの間にいろいろなことを経験して成長して戻って来た時に先生達が何も変わっていないんじゃダメですよね?またそういうことを。
フフ…。
人は何歳になっても成長できる。
そのお手本になるのが先生達です。
生徒達は先生達がどう変わって行くのか期待してると思いますよ?やめて!全くもう…!私は全然OKよ。
僕も。
私も!じゃあ僕も。
大丈夫です。
(一同)ハハハ…。
(島津)夏休みの補習授業はどのくらいあるんですか?真柴先生。
う〜ん10コマくらいかな。
(島津)僕は12コマです。
どこかで晩ごはんでもいかがですか?12コマと何の関係が?いかがですか?島津先生と?できれば2人で。
(島津)さっき校長先生おっしゃいました。
「自分が未来をつくるんだ」って。
僕にできることはあがくことだけだって。
分かった行きましょう。
ホントに!?2人だけで!?
(拍手)今日は私も早く帰れるから涼君の好きな冷や麦作るね。
えっ冷や麦は別に早く帰らなくても…。
スペシャルな冷や麦だから!まぁ期待しててよ。
フフ…分かったよ楽しみにしてる。
じゃあね。
はいじゃあね。
これが幸せってやつ…?
(柏木)・校長!・保護者からクレームです!保護者?
(柏木)またあいつですよ!キングオブモンスターペアレンツ!
(加賀谷)何で娘のテスト結果がこんなに悪いんですか!何でと言われましても…。
これは公正な採点の結果で…。
事務長に聞いてるんじゃない!私は…。
こう…こう…!
(柏木)校長先生?そう!…に聞いてるんです!はい。
納得できる説明をしてくださいよ…!こう…!こう…!「校長先生」って言えないんですか!言いたくないんだよ〜!落ち着いてくださいおとうさん!大丈夫!お嬢さんはまだまだ伸びしろがあります。
いや…伸びしろしかありませんよ。
ククク…!
(スタッフ)カット!
(櫻井)ハハハ…!2017/12/16(土) 22:00〜22:54
読売テレビ1
先に生まれただけの僕#10[終][解][字][デ]
今夜最終回 さようなら校長先生!僕が一番伝えたかったこと!
詳細情報
出演者
櫻井翔
蒼井優
瀬戸康史
木南晴夏
森川葵
平山浩行
池田鉄洋
多部未華子
井川遥
荒川良々
秋山菜津子
高嶋政伸
風間杜夫
番組内容
聡子(多部未華子)から別れを告げられ、加賀谷(高嶋政伸)からは校長を続けたいなら会社を辞めて転籍するよう迫られた鳴海(櫻井翔)。一方、ちひろ(蒼井優)らは新入生を増やすための活動を続けるも、思うように集まらない。鳴海は、定員割れになったら自分が責任を取ると宣言。ちひろは鳴海が京明館を辞めてしまうのではないかと動揺するが、柏木(風間杜夫)は鳴海の事を考え、会社に戻って聡子と結婚した方がいいと勧める。
監督・演出
【演出】
水田伸生ほか
【プロデューサー】
次屋尚
高橋史典
原作・脚本
【脚本】
福田靖
音楽
【主題歌】
「Doors 〜勇気の軌跡〜」嵐(ジェイ・ストーム)
【音楽】
平野義久
制作
【製作著作】
日本テレビ
【制作協力】
ケイファクトリー
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
主音声ステレオ
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
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サンプリングレート : 48kHz
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