2017-12-16

早く人間になりたい

大学生喪女に一瞬春が来てすぐに冬が来た話

 

留学研修に参加していた頃、開始時間より早めに来る他大学男性となんとなく話すようになった。

自分の知人がその男性を気になっていると聞き、その子邪魔をしない程度につまらない天気と進路の話をしていた。

 

研修の終わりごろになると、やれ告白しただのされただのが飛び交うようになり、知人は振られてしまったと風の噂で聞いた。

もうすぐ平穏で暇な日常に戻れると思った終了直前に、しかし、連絡先を聞かれるというイベントが発生。

連絡先コレクターかと軽く流すつもりだったが、写真を撮ってほしいと言われ、20選手喪女もさすがに動揺する。

その日は外せない飲み会が入っていたので、クソみたいに写りの悪い顔だけカメラに向けて帰った。

 

長かった研修を終えた後、時々ラインが飛んでくるようになった。

お互いに山積みになった課題を片付けつつ、私はたまに返事を忘れつつ、ありきたりなやりとりを続けていた。

そしてこの前、東京に行く用事がある、と遠方の相手から連絡が入る。

どうせ何の予定も無いので、夕食につきあうことにした。

相手ジンを、私は甘い酒を少しだけ飲んで、ほろ酔い未満の微熱のまま夜の東京を歩いた。

駅までの道中も、春めいた話は一言も出てこなかった。

 

翌日、食事代の礼も兼ねて見送りをした。

ご存知、東京駅新幹線改札前で、

「気付いてたと思うけど、研修から好きだった」とだけ言って、相手特急券を改札に滑らせていった。

 

おいおいおい

過去形かよ

 

なんなんだこれ 喪女自分必要としてくれる人間を見つけてやっと人間に昇格したよ! おめでとう! オチじゃないのか

記事への反応(ブックマークコメント)

 
 
アーカイブ ヘルプ
ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん