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EV証明書を使用して既知の企業になりすませる可能性が指摘される 19

ストーリー by headless
大穴 部門より
EV証明書を使用して既知の企業になりすませる可能性をセキュリティリサーチャーのIan Carroll氏が指摘している(実証ページ兼解説記事Ars Technicaの記事)。

EV証明書では厳格な審査が行われるとされ、アドレスバーが緑色に変われば安心ともいわれるが、実際には会社を設立すれば比較的簡単に取得できてしまうという。Safariの場合、EV証明書を使用したWebページではアドレスバーにURLが表示されず、発行先の会社名のみが表示されるため、本物のWebサイトに似たフィッシング用のドメインを取得しなくてもユーザーがだまされる可能性もある。9月にセキュリティ専門家のJames Burton氏は「Identity Verified」という会社を設立して取得したEV証明書を使用し、Safariで安全なWebサイトがGoogleやPayPalのログイン情報を要求しているかのように見える例を示して詐欺の可能性を警告している。

Carroll氏の場合は「Stripe, Inc」という会社を米ケンタッキー州リッチモンドで設立して実証サイト「stripe.ian.sh」のEV証明書を取得。オンライン決済サービスを提供するStripe(stripe.com)と同名だが、こちらは本社がカリフォルニア州サンフランシスコにある。しかし、Safariのアドレスバーではstripe.ian.sh、stripe.comともに「Stripe, Inc」と表示されるのみで見分けがつかない。

他のブラウザーではURLも表示されるが、フィッシング用のドメインを使用すれば気付かれにくくなる。Internet ExplorerやMicrosoft Edgeでは1クリック、Mozilla Firefoxでは2クリックで発行先企業の所在地情報を確認できるものの、一見して本物かどうかを確認するのは難しい。Google Chromeの最近のバージョンではシステムの証明書ビューアを2クリックで表示できるが、一般ユーザー向けではない。

Carroll氏は会社設立に100ドル、EV証明書発行に77ドルを支払い、1時間ほどの作業でEV証明書を取得できたという。会社設立からEV証明書が発行されるまでの時間は48時間程度だったとのこと。本人確認情報はCarroll氏自身のものを使用しているが、最低限の確認しか行われないため、盗まれた身分証明書などを使用することも可能とみられる。

Burton氏が「Identity Verified」でEV証明書を取得したことが公表されて以来、CA/Browser Forumでは審査方法の見直しが議論されているそうだ。CA/Browser ForumのBaseline Requirementsでは詐欺に使われそうな名称をリスクの高い証明書リクエストの一つに挙げているが、フィッシングのターゲットに使われるような名称のリストの維持は証明機関次第だとCarroll氏は指摘する。また、SafariのようにEV証明書が重要なユーザーインターフェイスをオーバーライドする仕様など、ブラウザー側にも修正すべき点があるとのことだ。

関連リンク

  • by akainu (47946) on 2017年12月16日 13時21分 (#3330853)

    あんまり手が入っていないだけでまだまだ穴が色々ありそう
    特にSANsまわりとか

    ここに返信
  • >EV証明書では厳格な審査が行われるとされ、アドレスバーが緑色に変われば安心ともいわれるが、実際には会社を設立すれば比較的簡単に取得できてしまうという。

    表示の実装方法云々じゃなくて、審査が不十分なのが全ての問題。ここを直さないと他にも問題がボロボロ出てくるし、逆に直せばほぼ全ての問題が解決する。

    ここに返信
    • by Anonymous Coward

      >Safariの場合、EV証明書を使用したWebページではアドレスバーにURLが表示されず、発行先の会社名のみが表示される

      >Safariのアドレスバーではstripe.ian.sh、stripe.comともに「Stripe, Inc」と表示されるのみで見分けがつかない。

      明らかに表示に問題があるだろ何いってんだ。

      • by ogino (1668) on 2017年12月16日 16時59分 (#3330908) 日記

        「アドレスバーでは…見分けがつかない」というのはより正しくいえば「アドレスバーをクリックしなければ見分けがつかない」ですね。このあたりスマートフォンなど画面の狭い UI と共通化を図っているせいかもしれません。

        逆に、他のブラウザでは URL と EV 証明書の組織名を両方表示しようとして、両方とも先頭部分しか表示されない場合がある、とも言えます。すると先頭部分だけ URL を似せておけば見ただけでは区別がつかない、という問題がでることになります。(Safari ならばクリックすると組織名の部分が URL になるのでスペース的に余裕がある) Chrome on iOS ではIPA [ipa.go.jp]の EV 組織名表示がされません。Safari on iOS なら Information-technology Promotion Ag ぐらいまで表示できます。

        # どちらかというと、Safari が EV 証明書の国コードを表示しない方が不安ではあります

        # 手元の IE11 on Win7 はタブの左のごく狭い場所にアドレスバーが表示される……解像度のせいか?

        もし、ユーザが接続したいサイト(企業)の正しい URL を知っていると仮定できるのなら、EV 証明書は不要でドメイン名を保証する証明書で構わなかったはず。EV 証明書は組織の正しいドメイン名を知らなくても組織を特定できるようにという意図で生まれたはずなので、両方を同時に表示して先頭部分しか表示されないよりも、より組織名・URL を表示するスペースを確保する、という考えも理解できます。

        ドメイン名を表示しておけばユーザーの責任、というのは多分間違いだと思うのですが、正しい組織名を表示してダメだとなると、州名など住所をより詳しく表示して情報量を増やすぐらいしか思いつきません。これをするとますます URL 表示に割ける面積が減ることになりますから、URL を常時表示するのは諦めた方が正解かも、とも思います。

    • by Anonymous Coward

      んなわけない
      仮に実装に問題なしとしても(ありえねー)、審査の健全性のみに全て依拠しているって、クソ規格にもほどがあるわ

    • by Anonymous Coward

      審査が不十分なのが全ての問題。

      正しく登記された実在の企業で、連絡先(住所等)も間違っていない、以上の何を審査すれば良いというのか。

  • by Anonymous Coward on 2017年12月16日 13時43分 (#3330857)

    そりゃ、そうやろ...

    ここに返信
    • by Anonymous Coward

      俺は知ってるぞ。httpsなら安全なんだろ?w

  • by Anonymous Coward on 2017年12月16日 15時25分 (#3330884)

    日本の企業でも、似たような名前や全く同じ名前の別企業ってのが数多くあります。

    特に中小企業ですとこれが顕著で、全く異なる業種にもかかわらず同じ名前だったりすると、
    ウェブの問い合わせフォームや電話で、向こう側の会社さんの問い合わせが届いてしまったりすることも多く、
    「すいません、それは同名の別会社かと」として、わざわざお断わりしなければならない状況だったりもします。

    やるとすれば、EV SSL内の対応ではなく、企業名を商標として登録し、法的な排他制御をするほか無いのではないかと思いますが・・

    ここに返信
    • by Anonymous Coward

      > 企業名を商標として登録し、法的な排他制御をするほか無い

      登記する時に商法違反かどうかを調べるのは登記する者の義務で、法務局ではチェックしないはず。
      だから同一であっても住所さえ違えば門前払いにはならない。(許可をもらってる可能性もあるし。)

      フィッシングをするヤツはわざとやってるので、商標登録はあまり効果がない。
      (フィッシングではなく便乗商法とか虎の威を借りるタイプには有効。)

    • by Anonymous Coward

      同業でも同名の会社が幾つかあって、たまに勘違いしてくる人がいるAC

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