最近、胆管がんによって有名人が亡くなるという報道が増えています。
タレントの川島なお美さん(享年54歳)が急に痩せて胆管がんで亡くなったことは記憶に新しいですが、柔道オリンピック金メダリストの斉藤仁さん(享年54歳)、そして任天堂社長の岩田聡さん(享年55歳)も胆管がんで若くして亡くなっています。
そもそも胆道がん(胆管がん、胆のうがん、乳頭部がん)はこれまであまり聞き慣れない病名でしたが、実際には日本人に多いがんで、年間罹患者数は2万人以上にのぼります。また、胆道がんは、肺がん、大腸がん、胃がん、膵臓がん、肝臓がんに次いで、日本人のがん死亡数の第6位です。
胆道がんも他のがんと同様、早期に発見できれば治る可能性がある病気です。したがって、その症状を理解し、また適切な検査を定期的に受けることが重要です。
今回は胆道がんの症状と早期発見のための検査について解説します。
胆道がんの症状
胆道がんを疑う3つの臨床症状は、黄疸(皮膚や白眼の部分が黄色くなる症状、皮膚のかゆみを伴うこともある)、右上腹部痛、体重減少です。しかし、それ以外の症状もみられますし、初期の段階では症状がないことも多いです。
以下に、胆道がんの部位別に多い症状をあげてみます(参考文献:胆道癌臨床ガイドライン 改訂第2版)。
胆管がん
胆管がんの初発症状は、海外からの報告では黄疸(84~90%)、体重減少(35%)、悪心嘔吐(12~25%)、発熱(10%)となっています。一方、日本では黄疸はおよそ50%であり、25%は腹痛で発症しています。
この他に、無症状で発見された例では肝機能障害がきっかけとなっています。
胆のうがん
胆のうがんの初発症状には、右上腹部痛(50~80%)、黄疸(10~44%)、悪心嘔吐(15~68%)、体重減少(10~72%)、食欲不振(4~74%)があります。このうち黄疸を認める例では進行がんが多く、予後が悪いとされています。
また、がんが胆のう壁内にとどまる段階では、無症状のことが多く、健康診断の腹部エコーや胆石症に対する胆のう摘出術によって偶然に発見されることもあります。
乳頭部がん
乳頭部がんの初発症状は、黄疸(72~90%)、発熱、腹痛が多く、その他には全身倦怠感、体重減少、食欲不振、背部痛などです。
乳頭部がんの特徴として、黄疸が変動(良くなったり悪くなったり)することがあります。
黄疸がない症例では、腹部エコー、上部消化管内視鏡検査(いわゆる胃カメラ検査)、肝機能障害で偶然に発見されることがあります。
胆道がんを早期に発見するには
胆道がんを早期に発見するためには、上記の症状(特に黄疸)や健康診断での肝機能障害(肝機能異常)を認めたらすぐに専門の医療機関を受診することが大切です。
また、検診や人間ドックで血液生化学検査(肝機能を含めて)と腹部超音波検査(エコー検査)を定期的に受けることで、胆道がんを早期に発見できる可能性があります。特に超音波検査は簡単に検査ができて放射線被ばくもなく、体の負担がありません。黄疸に気づかない段階でも、胆管の拡張(胆道がんの所見の一つ)が超音波検査でわかることもあります。
胆道がんの腫瘍マーカー
胆道がんの腫瘍マーカーにはCA19-9とCEAがありますが、初期には陽性にならないことも多いため、早期診断には有効ではないとされています。またCA19-9は胆管炎などの良性疾患でも上昇することがあります。
つまり、腫瘍マーカーは診断のきっかけになることもありますが、胆道がんの診断率はあまり高くありません。
胆道がんの危険因子(どんな人がなりやすいか?)
胆道がんの危険因子(リスクファクター)には、膵・胆管合流異常(膵管と胆管が十二指腸の壁外で合流する「先天性の形成異常」)や原発性硬化性胆管炎があります。
また胆のうポリープや胆のう腺筋症(せんきんしょう)疑いと診断された患者さんでは、胆のうがんの可能性があります。これらのリスクファクターに思い当たる人は、定期的な検診・検査をおすすめします。
気になる方は人間ドック(がんドック)をおすすめします。
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