提供:「#老後を変える」編集部(メットライフ生命)
「このところ、なんだか身体が思うように動かない」「集中力が続かない」「気分がふさぐ」……その不調は、「脳疲労」が原因かもしれない。
運動や仕事による疲れは、じつは身体ではなく脳に蓄積されるため、回復のカギは“睡眠”にある。東京疲労・睡眠クリニックの梶本修身先生に、脳疲労を回復させる睡眠術について聞いた。
“疲労のスペシャリスト”として知られる梶本修身先生。
「自転車やジョギングなどの日常的な有酸素運動では、筋肉やその末梢神経はほとんどダメージを受けないことが明らかになっています。運動によって心拍数を上げ、呼吸を速め、汗を発生させるのは、脳の司令塔となる自律神経。この自律神経に負荷がかかることで起きる『脳疲労』こそが、日常的に感じる疲れの正体なのです」
さらに現代では、長時間のデスクワークによる過度の集中状態やストレス、パソコンやスマホの画面を見ることなども、自律神経の中枢を疲れさせる原因になってしまうとのこと。
深刻化するとVDT(Visual Display Terminal)症候群とも呼ばれ、その改善法として手を使って行う運動「指ヨガ」を研修に取り入れる企業などもあり、その対策に注目が集まりつつあります。
「筋肉であれば、筋肉痛というわかりやすい疲労のサインがありますが、自律神経の疲労は自覚しにくく、どんどん蓄積されていきます。その結果、疲労感や意欲減退など、漠然とした身体の不調(不定愁訴)として出現します」
漠然とした不調は、「発熱」「痛み」と同じく、脳が発する生体アラームの1つと考えられるわけです。
「最近なんとなく疲れやすい」「仕事でうっかりミスが多い」「気分がふさぎがち」など、不調に悩まされることはないでしょうか? それらは脳に疲労が溜まっているサインといえるのかもしれません。
「対策をしなければ、脳疲労はどんどん蓄積され、取り返しのつかない状態になることもある」と、梶本先生は続けます。
「自律神経が働くと、酸素を大量に消費し、脳内に活性酸素が発生します。この活性酸素は、自律神経の細胞を攻撃して酸化させ、どんどん“サビ”つかせてしまうのです」
サビつけば回らなくなる自転車のチェーンと同じように、自律神経も機能が落ちてしまう。これが“疲労”の状態だそうです。
「この疲労が慢性化し、“サビ”がこびりついて取れなくなってしまえば、脳の“老化”を招きます。脳の老化は、糖尿病や脳卒中、心筋梗塞などの生活習慣病のリスクを高め、認知症につながる可能性もあります。
自律神経は、起きて活動している限り休みなく働きます。放っておけばどんどん蓄積されていく脳疲労は、早いうちに回復させることが大切になります。“サビ”を取って脳の老化を防ぐためには、自律神経をしっかりと休ませる“質の良い睡眠”が重要です」
では、“質の良い睡眠”とは、具体的にどういうものでしょうか?