今年、2017年は、前年から続く天皇の「生前退位」や、民進党・蓮舫代表(当時)の二重国籍問題での「戸籍開示」、眞子内親王の婚約、さらには、サイボウズの青野慶久社長が「選択的夫婦別氏」の導入を求め来春にも提訴する方針を発表するなど、「戸籍」から発する様々なことが注目を浴びた話題になった年でもある。
6月には『戸籍と無戸籍』(遠藤正敬著・人文書院)が、10月には『日本の無戸籍者』(拙著・岩波新書)が出版され、前書はサントリー学芸賞を受賞。アカデミズムの中でも最も地味な分野であった「戸籍」が久々に日の目を見た感がある。
そもそも、なぜ、今「戸籍」なのか。
今年の出来事を振り返り、また立法府の人々にも登場いただきながら、一過性ではない議論を提起していきたい。
「平成16年に結婚しましてから、私生活面では円満に楽しく過ごしてまいりましたが、互いの政治的スタンスの違いが大きく、それぞれに信念を貫いて政策活動に没頭したいという結論に至りました」
今年7月、高市早苗総務大臣(当時)は夫であった山本拓衆議院議員と連名で協議離婚成立についての短い報告を発表した。
「選択的夫婦別氏制度」に反対の立場をとる高市氏は、2004年の婚姻以来、戸籍上は「山本早苗」であったが、仕事では通称である「高市早苗」を使用していた。
ちなみに、大臣就任時、この「高市」を使用する場合には閣議での了解が必要であり、官報には次のように記載されている。
平成26年9月8日付官報(第6370号)
「○閣議口頭了解(平成二十六年九月三日)(内閣官房)
総務大臣である高市早苗(本名 山本早苗)国務大臣の名前については、今後、政府代表等への任命行為及び許可等対外的な法律上の行為については山本早苗名を使用し、それ以外は高市早苗名を使用することとする。」