『ゾーン』というトレーダー向けの本を読んでいたら、自分が「投資におけるリスク」を勘違いしていたことに気付きました。
そしてこの私の勘違いは、おそらく他の投資家、トレーダーさん達も勘違いしているのでは?と感じることでした。
「リスク」に関する間違った認識
「投資におけるリスク」と聞くと、「投資した対象が値下がりすること」をまず最初に思い浮かべてしまいます。買った株が値下がりする、買った不動産の価格が値下がりする、買った仮想通貨が値下がりする…などですね。
投資をする時にはこの「値下がりするリスク」と引き換えに、「投資対象の値上がりによるリターン」を得ることができます。
リスクをとることで、リターンを得られる(かもしれない)わけです。
だから誰かが言った、「リターンが欲しければリスクをとれ」とか「リスクをとった者だけがリターンを得られる」という言葉を、多くの投資家たちは信じているのではないでしょうか?
私もそう信じていました。
そしてお金を払って投資商品を買った際には、「自分はリスクをとったのだからリターンを得られて当然だ。」「リスクをとっているのだから、それ相応のリターンが得られるはずだ。」と期待しています。
これが、多くの投資家たちが持っている「リスク」に関する認識であり、この認識に従って投資をしています。
リスク=リターンではない
多くの投資家は「自分はリスクをとっている」という認識で株取引などを行っていますが、実は、投資においてリスクはそれほど大事ではありません。なぜなら、リスクをとって投資したところで、リターンが得られるとは限らないからです。
株を買ったあとに「値上がりしてリターンが得られる可能性が10」「値下がりするリスクが1」だったとしても、実際の株価は値下がりしていくかもしれません。
利益につながる”期待値”が高かったとしても、実際にどのような値動きをするかは予測不可能であり、仮に今後の値動きをある程度予測できたとしても、実際にそのとおりの値動きをするとは限りません。
また、予想通りに株価が上下したとしても、利益が十分出ていないところで売ってしまうかもしれないし、少し値下がりしただけですぐに損切りしてしまうことも考えられます。
だから、リスク=リターンという価値観の人が投資でリスクをとることには全く意味がないんです。
先ほどお金を払って投資商品を買った際には、「自分はリスクをとったのだからリターンを得られて当然だ。」「リスクをとっているのだから、それ相応のリターンが得られるはずだ。」と期待してしまうことについて書きましたが、これがいかに「ズレた考え方」なのかがおわかりいただけると思います。
損切りできないのはリスクの意味を勘違いしているから
このズレた考え方を持っている人はどうなるかというと、「損切り(ロスカット)」ができません。「投資すること=リスクをとっている=リターンが得られる」という考え方をしていることになるので、「投資をしたら必ずリターンが得られるはずだ」「投資をしたら利益が得られなければならない」と考えてしまうからです。
だから、損切りができなくなります。
この考えを持っている投資家の頭の中では「損を出してはいけない」ことになっているので、「投資をしたのだから自分は儲かるべきだ」「リスクを負っているのだから自分は儲かって当然だ」という考えが強すぎるあまり、損失を受け入れられないんですね。
だから損切りできず、ズルズルと値下がりし続けるクソ株を持ち続けて塩漬けにしたり、価値のない投資商品を後生大事にとっておいたりします。
「リスクをとる」ことよりも、リスクを「受け入れる」ことの方が大事
投資において- 「リスク=リターン」ではない
- リスクをとっても何の意味もない
- 損切りできない人はリスクの意味を間違って認識している
リスクをとってもリターン(利益)につながるとは限らないし、リスクをとっても意味はないのですが、それでも投資の現場では”リスク”という言葉は必要です。
ではリスクをどのように使うのかというと、リターンを期待するためではなく、「損失を受け入れる(許容する)」ためにリスクという言葉を使います。
「これくらいの損失なら許せる。」という「損失の限界値」「損失の許容度」「許せる損失度合い」として”リスク”という言葉を使うんです。
「このくらいまでは損失を出しても大丈夫」という損失の限界値があった場合、「このくらいまではリスクをとれる(受け入れられる)」となります。
投資する際、リターン(利益)を一切期待しないので、これなら買った株が値下がりしても傷が浅いうちに損切りできるはずです。
まとめ
ここまで、投資における「リスク」について書いてきました。投資におけるリスクの定義とは、「受け入れられる損失のことであり、将来のリターンとは関係がない」ということになります。
自分が投資のリスクを正しく認識できているかできていないかを判断する簡単な方法は、
- リスクを正しく認識している人は損切りができる
- リスクの意味を勘違いしている人は損切りができない
私もまだ投資をする際に将来のリターンを期待してしまうことがありますが、少なくともデイトレでは期待せずに取引できるようになってきました。
リスクの定義を間違えて覚えてしまっていても訓練次第で矯正することも可能ですので、これから先も投資と関わっていく予定の人は、リスクを正しい意味で覚えなおしておくのが良さそうですね。
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