人手不足深刻、DIは25年ぶり水準 12月短観

経済
2017/12/15 11:21
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 日銀が15日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、人手不足が一段と深刻になっている状況が浮かび上がった。従業員などの過剰感を示す雇用人員判断指数(DI)は全産業でマイナス31と、25年ぶりの低水準。不足感は中小企業ほど深刻で、小売りや飲食、宿泊業を中心に業績を下押しするとの懸念も強まっている。

 雇用人員判断DIは、雇用者について「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を差し引いた値。全規模全産業のマイナス31は1992年2月以来の深さで、前回の9月調査から3ポイント低下した。

 雇用状況が特に深刻なのは中小企業だ。中小企業全産業の雇用人員判断DIはマイナス34と前回比で2ポイント低下し、91年11月以来となる26年ぶりのマイナス幅となった。運輸や郵便、建設、小売業など非製造業で人手不足感が強い。

 中小企業では、今後も厳しい人手不足が続くとの見方も強まっている。先行きの雇用人員判断DIは中小・全産業でマイナス39と前回から5ポイント低下した。新卒採用をかけても十分な応募者を集められない企業もあり、中小企業・全産業の新卒採用計画は17年度、18年度ともに前年度より増える計画だが、伸び率は前回調査より鈍化した。

 深刻さが増す人手不足は、企業の業況感にも大きな影響を及ぼし始めている。人手不足が深刻な「宿泊・飲食サービス」の業況判断DIは大企業でゼロと前回調査から6ポイント悪化。中小企業もマイナス2と、2ポイント悪化した。「対個人サービス」も、大企業はプラス24と前回から11ポイント悪化した。

 五輪需要などで多くの人手を要する建設業界も、人員確保は深刻な経営課題だ。「建設」の業況判断DIは大企業でプラス45と9月調査から3ポイント悪化した。

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