僕の20年以上のサラリーマン人生でもっとも苦労したのが人の使い方で、なかでもメンドクサイ若者の取り扱いには本当に苦労した。しょうもないことで消耗させられた。かつて、僕の部下に「必要悪君」というゆとり世代の若者がいた。必要悪などと不穏なニックネームをつけるのはパワハラではないかと仰ることなかれ、彼の場合は自ら必要悪を自称したのである。今も夢でうなされる彼の至言。「いいんですか?俺、必要悪ですよ?」。おかげさまで今働いている職場に必要悪君はいないが、油断は禁物、いつ、ネクスト必要悪君があらわれるかわからないので自分に対しては戒めのため、皆様の安全のため、必要悪君をはじめとした数名の部下の発言をもとに、このチェックリストを作成した。よりよい社会の形成のために役立ててもらいたい。
※課長=数年前の僕です。
・悪天候に見舞われたのを理由に夏休みの取り直しを主張する。例)「夏を満喫できなかったので夏休み再チャレンジさせてくださいよ」
・問い詰められると「俺たちは団塊世代のツケを払わされているんですよ」と声高に叫ぶ。
・己の準備不足で仕事にしくじったのは誰の目にも明らかなのに絶対認めない。例)「今回はもらい事故みたいなものです。誰も悪くないんすよ!」
・「連帯責任」という言葉を自分の都合よく使う。例)「俺がダメだったらチームの連帯責任っすね!」
・試されてると思うといい仕事ができないが口癖。例)「テキサスレンジャーズがダルビッシュを試しで雇いますか?
・「俺が会社に戻れないのは課長の力不足でしょ」といって自分の力不足を信じない。
・世代を偏見で見るなと主張しながら先輩を老害扱いする。例)「古いっすね」「年齢や経験で選手を選んだら五輪選手団は老人ホームっすよ。」
・自分のことは棚上げして人を評価する。例)「課長と同じ年齢のムロフシは世界で戦っているのに、いいんですか?課長は神奈川県で。
・薄気味悪いヨイショをする。例)「課長~、まだこの業界に入ったばかりで経験がありません。会社の看板をキズつけては申し訳ないので、ひとつ、課長のやり方を見せてください」
・超薄気味悪いヨイショを免罪符にしてサボる。例)「凄い…課長レベルに達するには何十年必要だろうか」
・言葉に窮すると目を見開いて情に訴えかけようとする。
・「退職」「退社」「帰社」「帰宅」の区別がついていない。例)「フミコは退職しました」「えっいつ?」「本日です。後日改めてお電話いただけますか」「他に話わかる人は?」「あいにく退職しましたフミコ以外にはおりません」「じゃ他当たるからいいや」
・やたらとモチベーションがなくなる。
・インスピレーションが何よりも大事。
・無駄にポジティブ。例)「ビッグダディから、たとえ血のつながらない親子でもやっていけるという勇気、ダメなら相手を変えるという決断力を学びました。」
・無駄に超ポジティブ 例)「今はくすぶりもありかな」
・本質的な部分を評価してほしいと主張する。例)面接に遅刻したときの斬新な言い訳「約束の時間に来るのも評価のうち、とか言うんすよ。おかしいでしょ。スピード競争ですか?能力が同じなら面接に早く来た人間を採用するんですか?そうしたらウサイン・ボルトだらけになりますよ?」
・自己評価が高すぎる。例)「俺みたいな人間は受け入れる側にある種の覚悟を求めますからね、老人たちが会社を乗っ取られるリスクを負いたくないのもわかります。」
・悪いのはいつも社会。例)「そもそも採用枠が一人なんて無理ゲーじゃないすか…」
・間違った方法で社会を良くしようとする。例)課長世代一人を俺ら世代二人で支えなきゃならない実態を可視化しました
・独身者を小馬鹿にする。例)「結婚できないひがみをぶつけないでください」
・真顔で「頑張りかたがわからない…」と呟く。
・「俺、何か悪いことしましたか?してないっすよね」が口癖。
・遊び感覚で仕事をしているつもりだが仕事と遊びの区別がついていないだけ。
・正直であれば許される宗教に加入している。例)「課長、使えないっすねーw」
・必要悪を自称する。例)復職を断った際の至言リフレイン。「本当にいいんですか、俺、必要悪ですよ?」
以上26項目である。
0~5「まだ大丈夫」 5~15「要注意」 15~「解雇もしくは今すぐ命を守る行動を取ってください!」
これは僕が昨年まで勤めていた会社にいた何人かの部下の発言集である。全員に共通しているのは能力がないこと、バカ正直であること、自己評価がきわめて高いこと。こんなふうに自由に生きていれば本人はおそらく幸せだろうが、周りはたまったものではない。僕は彼らとまともに向き合ってしまった。今思えば大失敗であった。彼らからは逃げるしかないのだ。僕のように彼らと同じ土俵で戦ってはならない。僕の犠牲を無駄にしないためにも、このリストがモンスター社員の撲滅と皆様の労働者ライフの向上に役立つよう草葉の陰から祈っている。ではまた。(所要時間25分)