本日、天皇明仁による生前退位の意思表明がなされた。東日本大震災直後にテレビで放映したものと同じ録画メッセージだが、ただ以前のものに比べると、ずいぶんドスが効いただみ声で喋っている。国民への威嚇じみていて、嫌な気分になった。
内容について、感想を言えば・・・中段あたりに「天皇が国民に、天皇という象徴の立場への理解を求めると共に・・・」というくだりがあって奇妙な気がした。天皇を憲法で象徴天皇としているのは国民なのだから、その国民に象徴であることへの理解を求めるとは、いったいどうして欲しいと言っているのだろう? その後、続いて「天皇もまた、自らのありように深く心し、国民に対する理解を深め、常に国民と共にある自覚を・・・」と言っているので、単に装飾的な前置きなのだろうか? それにしても、半分以上が前置きだ。
ようやく本題に入れば、「天皇が健康を損なった場合、社会が停滞し、国民のくらしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます」と何だか脅迫じみた話になってきて、天皇が熱をだして倒れたくらいで日本社会や我々の日常がどうにかなっては困るじゃないか、と腹が立った。そんなことは政府が、絶対に支障が無いよう万全を期しておくべきではないか。皇太子をどうとでも使って。
そして最後に言っているのが、天皇が死んだ際に行われる様々な行事についてだ。しかし、ここで長期間続くという「もがり」は遺族が私的に行う葬送儀式であって(一般人だって身内が死ねば一定期間、例えば49日、喪に服すではないか)、嫌なら簡略化したらいい。その他の天皇継承に関する儀式は日本国家が世界に向けて行う重大イベントだから、皇族に負担が大きいなどと、何を不平を言っているのやら訳が分からない。
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そう思っていたところ、この「生前退位」について某社が電話アンケートをとったら、国民の約8割が賛成しているんだそうだ。意外に多いので、驚いた。老いても隠居できずに、「まだ働いている」のは可哀想という同情票だろうか。それとも、元来、商人的思考を持つ日本国民は、2020年の東京オリンピック開催の席に老体の天皇より若い天皇皇后夫妻を据えようとして、(まるでテレビタレントの顔を差し替えるように)天皇を新品にしようという魂胆なのだろうか?
ともあれ、このアンケートで、憲法改正についても国民投票で賛成多数になる可能性が大きいことが判明した。英国のEU離脱の国民投票の際、民意がいつも正しいとは限らないと疑問を呈した意見があったが、日本国民は「可哀想な天皇」のためにすでに法改正を承諾しているかのようだ。すると、天皇は本人の意思でいつでも退職できる公務員になるのだろうか。
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