ブエルタ・ア・エスパーニャ期間中の薬物検査で発覚クリストファー・フルームの検体から、しきい値を超えるサルブタモールが検出 UCIが発表
国際自転車競技連合(UCI)は12月13日、今年のツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャで2冠を達成したクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)が9月7日に受けた薬物検査のサンプル(検体)から、禁止薬物であるサルブタモールがしきい値を1000ng/ml超える数値で検出されたことを発表した。現時点では出場停止などの措置が講じられることはないが、今後フルーム自身でサルブタモールの異常値の正当な理由を証明していくことが求められる。
フルームから検出されたサルブタモールは、脂肪燃焼効果や筋肉増強効果があり、世界アンチ・ドーピング機関(WADA)の禁止薬物リストに指定されている。一方で、喘息発作の症状に対して使用される薬品でもあることから、スポーツにおいては吸入使用に限った治療目的の使用であれば、申請(TUE)によって使うことが認められるとされている。
ただし、尿中サルブタモール濃度が1000ng/ml以上の場合は異常値として扱われており、過去には1320ng/mlのサルブタモールが検出されたアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)が陽性とされたケースもある。
フルームへは9月20日に通知がなされ、すでにBサンプルの分析も終了。Aサンプルと同様の結果が出たとされている。
UCIの規定に基づき、サルブタモール検出時の暫定的資格停止などはなされず、当面はレース出場が可能だが、WADAの規定により、今回の異常値の理由が治療目的のサルブタモール使用であったことを証明する必要性がある。
これに対しチーム スカイとフルームが声明を出し、フルームが幼少期から喘息を患っており、その症状を和らげるために吸入器を使用してサルブタモールを摂取していたこと、それらはいずれもWADAの定める規定内であったことなどを説明した。
フルームは、「ブエルタ期間中に喘息が悪化していたため、チームドクターの助言に従いサルブタモールの投与量を増やしていた。しかし、既定の容量を超えて使用しないように細心の注意を払っていた」と述べる。また、今後に向けて「このスポーツにおけるリーダーとしての立場であることを真剣に受け止めている。UCIは私やチームに対して、テストの結果を明確にするために正しい姿勢を見せた。私はチームとともに必要な情報を提供していく」と続けた。