マルサが、今話題のビットコインをターゲットにしている――そう聞いたら、あなたは何を思うだろうか? 元国税査察官(マルサ)で、『国税局査察部24時』(講談社現代新書)の著者・上田二郎氏が、国税局は「仮想通貨による脱税を許すまじ」と、着々と動き始めていると明かしてくれた。
まずは、本日14日24時12分から放送される『じっくり聞いタロウ』(テレビ東京)の体験談から始めたい(MCは名倉潤さん、河本準一さん、華原朋美さん。ワッキーさんと白石茉利奈さんがゲスト出演する)。
世の中の「ウラ」を知る人物を集めたトークバラエティ。私は「元マルサ」として出演依頼を受け、そのときのウラ話を語ってほしいというのだ。収録日前に打合せをしてから自分のセリフが書かれた台本が送られてきたものの、覚える時間もなく、不安を抱えたままテレビ東京のスタジオに向かった。
スタジオ入りしてからリハーサルをする段取りになっていたはずだが、「後で編集しますから何を話しても大丈夫です」といきなり本番になってしまった。本音を引き出すための策略かもしれない。
しかし、国税時代に話すことを禁じられていたため、私の心配はむしろ話に詰まってしまうことのほうだ。
スタジオ入りすると、「そこまで顔を隠されるんですね」と、出演者から私の格好をいきなりいじられた。サングラスにマスク姿は、芸人さんからすれば恰好の餌食だったに違いない。
それにしても、私を含めた一般人は、スタジオでカメラを向けられて平常心ではいられないはずだ。だから、笑いを取りながら自然に話せる芸能人の偉大さを痛感させられる。
最初のトークは天気予報士の森田さん。テレビ経験が長いだけあって、話がうまい。しかし、私はかなり緊張しているし、自分が話すべき内容を頭の中で反復しているから、森田さんの話の中身は一切頭に入ってこない。
もう、自分の順番が回ってきた。
河本 「上田さんはいわゆるマルサとして働いていたそうですが、これはどういった職種なんですか?」
上田 「国税最後の砦と呼ばれる、強制調査権限をもつ特殊部隊がマルサです。税務署は事前に通知して(調査日を約束して)税務調査に入るが、マルサは予告なく突入します。裁判官から強制調査令状をもらっているため、社長が居留守を使っていても、本当に留守でも、警察官を立ち会わせて調査に入ります」
始めのほうこそ台本通りに進むが、その後は出演者のアドリブ質問が飛び交い、自分でも何を話したのかあまり覚えていない。
なんとか「嵐」が過ぎ去るのを待って、やっと自分のパートから解放されると「続いては、この方です!」と、松宮義仁さんを紹介する河本さんの声。
「仮想通貨元年を迎えた今年2017年! 儲けて億万長者続出! その仮想通貨の実態を大暴露!」とアナウンスされた。
緊張が解けたこともあってか、「億万長者続出!」と聞いた途端、退職後にさび付いていた私のアンテナにマルサ時代の感覚がありありと蘇ってきたのであった――。