以前、俳優の山田孝之さんがクラウドファンディングをされた時に、一部の方から「お金を持っているのに、人からお金を集めて、自分の好きなことをするなんてサイテー!」という批判の声が上がり、現代社会に、まだ、この類いの生物が生き残っている悲劇的事実に膝が震えた。

山田さんがされたのは《購入型クラウドファンディング》だ。
購入型クラウドファンディングには「3000円支援してくださった方には、○○をお返しします」という明確な“見返り”がある。

言ってしまえば、予約販売だ。

意味合いとしては、ライブのチケットなどと同じ。
「5000円のチケットを買っていただければ、○月○日の○時に武道館で生の音楽をお届けします」という予約販売。

山田さんへの批判は、「お金持ちなのに予約販売するなんてサイテー!」「人気があるのにライブをするなんてサイテー!」と言っているのと同義で、的(マト)という的(マト)を徹底的に外しまくっている。
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これはクラウドファンディングの仕組みを知らないからこそ発生した批判だと思うが、そもそも、2017年にクラウドファンディングの仕組みを知らないって、どこの部族だよ。
どこに住んで、何を食べれば、そんな悲劇的ボディーを手に入れることができるのかを、今度、じっくり聞かせていただきたい。

とりあえず、こちらのTHE悲劇的ボディーズの皆様にアドバイスするとしたら、「わからないことは批判しなさんな」だ。

さて、《購入型クラウドファンディング》の話である。

購入型クラウドファンディングには『マーケティング』と『共犯者作り』の二つのメリットがある。

マーケティングのメリットというのは、「商品の需要を事前に知った上で、商品を作ることができる」というもの。
予約販売をすることで、「作ったけど、売れませんでした」を無くすことができる。
これから作る商品を何個作ればいいかの予想が立てられる。

共犯者作りのメリットというのは、「作る過程を共有することで、その商品に“思い入れ”を持ってもらう」というもの。
強い思い入れが発生すると、消費者は一変、届ける側に回る。
特に今の時代は、「いかに消費者を届ける側に回すか?」が広告のキモになっている。

詳しくは『革命のファンファーレ ~現代のお金と広告~』を読んでみてください。
ていうか、世の中のクリエイターおよびサービス提供者はマジで全員読んだ方がいい。
僕が2017年で読んだ本の中で一番面白かった。
なぜ、今さらクラウドファンディングの話を持ち出してきたかというと、昨日、立ち上がった“とある”クラウドファンディングの企画が実に興味深かったので。

これだ↓
発起人は、株式会社フェリシモ代表取締役社長の矢崎さん。
上場企業の社長で、通信販売の社長だ。
制作費の捻出に苦戦しているとも思えないし、「何がどれくらい売れるか?」のデータは揃いまくっている。

くわえて「会社の売り上げ」だけの話をすれば、上場企業の社長の時間は、クラウドファンディングに使うよりも、もっと他のことに使った方がいい。

それでも矢崎さんは「クラウドファンディング」を選んだ。
こうなると理由は一つしかなくて、「共犯者づくり」だろう。
作る過程を共有して、商品に思い入れを持ってもらって、一緒に届けたい(共有したい)という。

面白い出来事だと思う。

矢崎さんは株式会社おとぎ町の取締役になってもらっていて、僕が何かを提案すると、いつも決まって「面白いですね。とりあえず、やりましょう」と返ってくる。
こういう大人が増えると楽しいな。

こちらの企画、応援しています。