最初の手がかりは毛皮だった。
生物学者のフラビア・ミランダ氏がヒメアリクイを研究していたとき、「アマゾンと大西洋岸森林では、生息するアリクイの色が違うことに気づき始めました」という。
当時知られていたのはヒメアリクイ(Cyclopes didactylus)という1種だけだった。しかし彼女は、謎のベールに包まれたこの樹上で暮らす動物は2種に分けられるのかもしれないと疑い始めた。
ブラジルのミナス・ジェライス連邦大学に所属するミランダ氏は、同僚とともにヒメアリクイの研究を10年以上続けている。その間に、ブラジルや南米スリナムで10回の実地調査を行ったほか、複数の自然史博物館からサンプルを集めた。(参考記事:「【動画】アマゾンで新種続々、2日に1種の割合」)
チームは最終的に、野生のヒメアリクイ33匹のDNAサンプルと、博物館で保管されていた約280の標本の解剖学的情報を収集できた。
ミランダ氏の最初の直観は正しかった。詳しく調べたところ、色が違うヒメアリクイが異なる種だっただけでなく、さらに、少なくとも7種に分けられることが明らかになった。この研究結果は12月11日付けの学術誌「Zoological Journal of the Linnean Society」に発表された。
「詳しい研究がほとんど行われてこなかったごくありふれた動物に、はじめて最新技術を駆使して調査すると、驚くべき結果が得られることがあります。今回の結果はその好例です。今後の研究で、この美しい動物たちの中から見逃されていた種が見つかっても、さほど驚くことではないでしょう」。オーストラリア、アデレード大学で哺乳類について研究しているクリストファー・ヘルゲン氏はそう述べる。(参考記事:「ブラジルで新種の有袋類を発見「魔法の赤帽子」」)
ミランダ氏がこの謎に満ちた哺乳類の研究をしようと思い立ったのは、2005年のこと。きっかけは、大西洋岸熱帯雨林の北東部にまだヒメアリクイが生息しているかどうかすら、科学者たちがまだ確証を得ていないと知ったことだった。
最初の難題は、どうやってアリクイを捕まえるかだった。
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