貴乃花親方(45=元横綱)は約束を守るのか。

 11日に書類送検された元横綱の日馬富士。相撲協会はこれを受けて、危機管理部長の鏡山親方(59=元関脇多賀竜)が貴乃花部屋に出向いたものの、今度は「居留守」を使われた。

 午後0時半、4度目の貴乃花部屋訪問となった鏡山親方が部屋のインターホンを押すと、スタッフがドア越しに応答。「書類を持ってきました」と話す鏡山親方に、スタッフは「次回からはFAXをお使いください」と返し、最後までドアが開くことはなかった。

 しかし、その約2時間後、貴乃花親方は澄ました顔で部屋から出てくると、報道陣の問い掛けを一切無視。車に乗り込み、どこかへ出掛けた。

 11月30日の理事会で、貴乃花親方は日馬富士が書類送検された後なら危機管理委員会による貴ノ岩の事情聴取に応じると約束した。にもかかわらず、協会からの使者を居留守まで使って門前払いした。鏡山親方がこの日、ポストに投函した書類には、貴ノ岩の聴取希望日などが書かれていたという。

 いよいよ貴乃花親方は逃げられなくなったわけだが、肝心の貴ノ岩の所在もいまだ不明。「京都にいる」といわれるが、存在が確認されたわけではない。

 協会は今後、20日に臨時理事会を行い、最終調査結果を発表する方針だ。しかし、それも貴乃花親方が貴ノ岩への聴取に応じない限り、危機管理委員会の調査は不十分なままである。

 八角理事長はこの日、「(20日の理事会で)最終報告が出来ればいいけど、こればかりは……。(貴ノ岩から)話を聞けないとね」と話した。貴乃花親方が今後、民事訴訟に出れば、ますます聴取は先延ばしになる可能性がある。

■女装カレンダーに載っていない親方も

 だが、いくらあがいたところで、いたずらに騒動を混乱させるだけ。だからなのか、協会内の「貴乃花一派」は、いまや崩壊寸前だという。

 いの一番に袂を分かったのは暴行事件の加害者、日馬富士の師匠である伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)だ。前回2016年の理事選で貴乃花親方の助けを借り、現体制と事を構えようとした。見返りに理事長選では貴乃花親方を支持したが、大敗後、関係が悪化。そもそも、この2人は相撲への考え方から何から、まるで違う。一時は利害が一致したものの、決裂は時間の問題だった。

 続いて貴乃花一派を離れたのが、阿武松親方(元関脇益荒雄)だという。ある親方が言う。

「あまりにとっぴで社会性に欠ける貴乃花親方に、愛想を尽かしたというんです。その証拠が昨年末、後援者に配られた『女装カレンダー』。これは貴乃花一派の主要な親方11人が女装したものだが、阿武松親方は載っていない。それどころか、阿武松部屋の部屋付き2人の姿もありません」

 それだけではない。現在は錣山親方(元関脇寺尾)、時津風親方(元平幕時津海)の2人も、貴乃花一派とは距離を置くようになったという。

「この2人はカレンダーで女装姿を披露していたが、今年に入ってからは貴乃花親方とうまくいっていないようです。副理事の玉ノ井親方(元大関栃東)も貴乃花一派とはいえ、角界では『アイツは風見鶏のような性格。最終的に、どちらにつくかはわからない』と言われている。一派の中でもあまり信頼されていないようです」(前出の親方)

 現在、貴乃花一派の理事は自身と山響親方(元平幕巌雄)のみ。別の親方に言わせれば、「貴乃花親方は離反した伊勢ケ浜親方に代わって、九重親方(元大関千代大海)を理事にしようと画策していた」というが、このままでは理事選で3人も当選させるほど票は集まらないとみられている。

 理由も言わず、かたくなに貴ノ岩の聴取を拒否し続けるのはどうみても道理に合わない。そんな貴乃花親方についていったところで、良いことはひとつもない。そう判断した親方連中が泥舟から逃げ出そうと考えるのは当然。貴乃花親方の周りからクシの歯が欠けるように人が去っていくのも納得だ。