（伊佐山菜美）
私の人生はスリルであふれていた

スリルはもう十分に楽しんだと思った
だから新しい人生を選びスリルとお別れすることにした
主婦になってお料理を作ったり…
んっ！
お洗濯をしたり…
お友達と習い事をしたり…
おしゃべりをしたり…
平穏であることが当たり前の日常を私は生まれて初めて経験した
そんな幸せを与えてくれたのはこの人だ
どう？
（伊佐山勇輝）うんおいしいよ。
あまりに幸せ過ぎてそれがなぜか儚く思えて
朝起きてすぐにこの人がいなくなっていないかどうか確認するのが私の癖になった
この人さえいれば何もいらない
そんなふうに思っていたのに…
それなのに…
（小雪）結論から言えばあんたの旦那は公安の人間。
戸籍や経歴は完璧に偽装されてたし会社の資金の流れにも怪しいところはなかった。
でも念のためにあんたが今住んでいる家の売買記録を探ってみたら気になる点を見つけたの。
売買契約を結んだ不動産屋のことは覚えてる？確か光桜不動産。
そう。
でもあんたの旦那が代金を支払ったのは麹町ハウジングっていう仲介業者を通してだった。
知ってた？その不動産屋を探ってみたら会社として登記はされてたけど店舗は存在しないし売買実績もほとんど見当たらなかった。
ペーパーカンパニーを利用するのは悪党か政府の人間だって相場が決まってるでしょ。
それをあんたに伝えようとしたらタイミングよくあんたの旦那が私の店に現れたの。
でこのまま商売を続けたかったらあんたにウソの報告をしろって脅されたってわけ。
二度とあんたに近づくなとも言われた。
今こうしてあんたと会ってるのがバレたら明日には手入れを食らって店は閉店。
私は檻の中ってことになるかも。
ごめん許して。
謝る必要なんてないよ。
どっちにしろクリーニング屋にも飽きて来て別の商売にくら替えしようと思ってたところだったから。
それにしてもあんたの旦那いい男だね〜。
あんたが惚れたのも分かるよ。
でも店に入って来た瞬間ヤバい男だって分かったけどね。
私が気付くぐらいだからあんたが気付かないわけないよね。
ひと目惚れって恐ろしいね〜。
でも一生に一度くらい恋に狂ってまともじゃなくなるのもありなんじゃないの？ちょっとだけあんたがうらやましいよ。
多分あんたの旦那は監視のためにあんたに近づいたんだろうけど対象者と結婚するなんて普通あり得ないよね。
あんたがどう決着つけるつもりか分からないけどとにかく気を付けてね。
ありがとう。

（大原啓吾）お母さん？
（大原優里）あ…どうしたの？
（啓吾）ただいま。
おかえり。
何かあったの？何にもないよ。
晩ごはん何にしよっか。
一緒に考えよ。
うん。
何にしよっかなぁ…。
ラーメンとかギョーザでしょ…。
（佳子）佐藤さん。
（佐藤京子）こんにちは…。
（佳子）たまたま通り掛かったらあなたを見掛けたの。
これは何かの運命かもね。
聞いたわよ旦那さんのこと。
もしかして大野さんからですか？男の浮気なんてたちの悪い病気みたいなもんだからそう簡単には治らないわよ。
そんなもんですかね…。
だから時々ストレス発散でもしないとやって行けないわよ。
近々楽しいランチ会しましょ。
実はねランチ会っていっても…。
連絡するね。
えっ？こんにちは。
こんにちは。
あの人河野さんだっけ？はい。
何を話してたの？どうでもいい世間話です。
そう。
（ノック）
（ドアが開く音）
（神谷）ドイツでの拠点を確保できました。
念のために日本大使館の近くにしておきました。
分かった。
カメラとマイクの設置は必要ないからな。
上にも話は通してある。
分かりました。
失礼します。
（振動音）もしもしどうした？大した用事じゃないの今夜の帰りは何時頃になる？多分８時頃に帰れると思うけどどうして？今夜は少し凝った晩ごはんを作ろうと思ってるの。
だから時間を逆算して準備に取り掛かろうと思って。
あそっか楽しみにしてるよ。
うん楽しみにしてて。
ただいま！ただいま〜。
（包丁で切る音）ただいま。
（包丁で切る音）
（包丁で切る音）
（包丁で切る音）あなたのこと信じてたのに。
だましてたのは君も同じだろ。
壊れたっていいでしょ！全部気に入ってんだよ！うっ！あ…！ごめん！お茶とコーヒーどっちがいい？お茶がいい。
私のこといつから監視してたの？君が中国で死ぬ半年前からだ。
戸籍を買ったブローカーから足がついたのね。
テロ対策で網を張り始めて間もない頃偶然君が引っ掛かったんだ。
監視を始めてすぐに君がＳだと分かってこっちは沸き立ったよ。
何それ。
Ｓクラスの存在ってことさ。
君は謎の特殊工作員として俺達の世界では有名だったからね。
君が片山菜美の戸籍を手に入れて以降俺はずっと君のことを追い掛けることになった。
全然気付かなかった。
四六時中尾行をしてたわけじゃない。
今の時代どこにだって監視カメラがある。
一度捕捉されたら逃げようがない。
じゃあ何で私に近づいたの？カメラを通してずっと見張ってればよかったじゃない。
君の行動があまりに不可解だったからだ。
死を装って新しい任務に就くのかと思ったらなぜか受付嬢になって笑顔を振りまき始めた。
こっちは混乱したよ。
何か恥ずかしい。
あの制服似合ってた。
とにかく君に近づいて君の不可解な行動の動機を探れという命令が俺に下った。
だからあの合コンに現れたのね。
ああ。
本当はもっとうまく君に接近するはずだった。
あんな歯の浮くようなセリフを言う予定じゃなかった。
でも君と向かい合った瞬間俺は君から何かを感じたんだ。
（伊佐山の声）あの瞬間俺の中から完全に任務が抜け落ちてしまったんだ。
要するにひと目惚れでしょ？何て呼んでもらってもいいよ。
とにかく嫌というほど見慣れてるはずの君と面と向かって目と目が合っただけで俺はあっという間にいかれちまったんだ。
それまで築き上げて来たプロとしてのプライドと引き換えに君といることを選んだんだ。
君を身近で監視するという名目で上を何とか説得して君と結婚することができた。
君との結婚生活は楽しかったけど同時につらくもあった。
どうして？君を愛すれば愛するほど君をだましている罪悪感にさいなまれるからさ。
もっと君に触れたいのにいつしか手を伸ばすのが怖くなって行った。
結婚して半年ぐらいたった頃からご無沙汰になりがちだったのってそのせい？ああ。
努力して損した。
ごめん。
どうして突然ドイツに行こうだなんて言い出したの？君のせいさ。
どういうこと？君が死を装って片山菜美になり伊佐山菜美になったのはただ新しい人生を始めたかっただけだってことが君と暮らしてみてよく分かった。
俺は上を説得して結婚生活１周年を迎えるまでに君に怪しい行動がなければ監視を解いてもらう約束を取り付けた。
ようやく君と本物の夫婦になれると思って喜んでたんだ。
それなのに君は突然おかしな行動を取り始めた。
それってＤＶとかＡＶの件のこと？誘拐事件を解決したり殺人事件に首を突っ込んだり君の行動はどんどん大胆になって行った。
問題にならないように君の痕跡を消すのに俺がどれだけ苦労したと思う？でも君はとうとう一線を越えてしまった。
絶対に入ってはならない領域に足を踏み入れてしまった。
盗聴がらみの事件ことね。
そうだ。
君は有力な政治家を破滅させた。
それが原因で上にとって君はテロリストに準じる存在になってしまった。
君は本当なら拘束されてもおかしくなかった。
でも俺が先手を打ってドイツ行きを上に提案した。
国内でこれ以上君が悪さをしないようにするためだ。
上は渋々ながらそれを認めてくれた。
だから今日のことはなかったことにして一緒にドイツに行こう。
２人で新しい生活を始めよう。
私はいつまで監視されるの？死ぬまで？あなたが公安の人間である限り私は首輪をはめながら生きて行くようなもんじゃない。
君が普通の主婦みたいに行儀よく暮らしてくれればいつかその首輪も取れる日が来る。
さっきあなたは「本物の夫婦」って言ったわね。
私この何日間か本物の夫婦になるためにはどうすればいいのかって真剣に悩んだ。
だまされたフリをしてドイツに行くのも悪くないのかもって思ったこともあった。
だって本心を語り合わなくても幸せに暮らしてる夫婦だっているでしょ。
でも私は嫌だった。
あなたのこと好きだし愛してるから本音でぶつかり合いたかった。
これまでお互いをだまし合って来た分ありったけの力でケンカをして仲直りをしたかった。
それなのにあなたは私の首に首輪をはめたいっていうの？私のこと愛してないの？愛してるさ。
ハァ…。
でもどうしようもないことなんだ。
２人で逃げましょ。
どこか遠い場所に行って新しい名前で暮らしましょ。
無理だよ。
どこに行っても見つかるさ。
私達の生活を邪魔するヤツらは私が全員倒してあげるから。
２人でゼロからやり直しましょ。
ハァ…。
君が選べる選択肢は１つしかない。
俺とドイツに行くことだ。
それ以外を選んだとして君に待ってるのは破滅だけだ。
今日のことは上には報告しない。
君が決心するまで何事もなかったようにこれまで通り一緒に暮らそう。
妻が夫の言うことに従って生きて行く夫婦の形だってあるはずだろ？俺は絶対に君のことを幸せにする自信がある。
信じてくれ。
（ドアの開閉音）いってきます。
（玄関のドアの開閉音）あの…。
（佐藤良枝）何？何か本格的にヤバい気がして来たんですけど。
フフっどこがどうヤバいっていうの？あの人もう帰って来ないような…。
（良枝）あなたそんなに自分が愛されてる自信がないの？人から強く愛されたいって思ったらそれが勘違いでもいいから自分は愛されるに値する人間だって強く信じなさい。
その自信があなたを魅力的にして人を引きつけるの。
いつも自信なさげに暗い顔してる人間を誰が愛したいって思うの。
分かりました。
頑張って勘違いします。
もし万が一あの子が帰って来なかったら…。
帰って来なかったら？このままずっと２人で一緒に暮らしましょ。
（啓吾）ごちそうさまでした。
（大原啓輔）どうかしたのか？えっ？どうもしないけど。
ここのところちょっとおかしいぞ。
いつも心ここにあらずという感じじゃないか。
そう？もしかして再検査で悪い結果が出たとかじゃないだろうな？そんなことないから安心して。
そうか。
それならいいんだ。
最近よくオックスフォードにいた頃のことを思い出すんだ。
たった１年の生活だったけれどあの頃は楽しかったなぁ。
啓吾が生まれたばかりで大変な頃でもあったけどそれでも楽しかった。
３人でよく行った牧草地の名前何だっけ？ポート・メドーでしょ。
そうそう。
テムズ川のほとりに座って川の流れを見ているだけで何となく一日を過ごせたな。
今考えるとぜいたくな時間だったな。
そうね。
啓吾が中学に上がるのに合わせてまたイギリスにでも行くか。
論文のための研究もしたいしな。
ここのところまともなものが書けずにイライラしていたんだ。
お前にも当たり散らしていたかもしれないな。
すまなかった。
相当イライラしてた。
イギリス行きの件思い付きじゃないからな。
楽しみにしとく。
優里さんは決意を固めた
そして２日後事件は起こった
（ドアが開く音）
（ドアを閉める音）
（鍵を掛ける音）
（横溝）座れよ。
このままでいい。
すぐに帰るから。
で？覚悟は決まったか？ええ。
あんた達の言いなりにはならない。
全てを夫に打ち明ける。
それで今の生活を失ったとしても自業自得だから仕方がない。
映像をネットにばらまかれても構わないっていうのか？その時はあんた達の仕業だって警察に通報する。
とにかくあんた達とは徹底的に闘う。
どうせ他の主婦達のこともワナにかけてひどいことさせてるんでしょ。
許せない。
ひどいことか。
楽しんでるヤツもいるんだけどな。
まぁあんたの覚悟は十分に伝わったよ。
こっちも商売柄引くわけにはいかないからそういう時は大抵殺すか殺されるかのやりとりになるんだが…。
（横溝）あんたの町は今いろいろ騒がしくなってんだろ。
だから穏便に済ませてやるよ。
命だけは助けてやる。
ラッキーだったな。
あんたの度胸に免じて旦那にバラすのも映像をばらまくのもやめてやるよ。
その代わりあんたには大事な役割を担ってもらう。
こっちもそれなりに元手が掛かってるから。
その分は埋め合わせてもらわないとな。
（横溝）ハァ。
（横溝）俺達に逆らったらどうなるか…。
あんたにはその見せしめになってもらうよ。
うっ！ハッハァハァ…。
階段から落ちた設定だからな。
（恩田）分かってます。
（横溝）あ〜つまんねえな。
うっ…。
何か面白いこと起きねえかな。
（ノック）はい。
あ…。
あぁ…。
優里さん…。
（大原）鎮静剤が効き始めてついさっき眠りました。
（大原）お２人に心配を掛けるのが申し訳ないとうわ言のように繰り返してました。
うっかり階段から転げ落ちるなんて…。
不注意極まりないヤツですがどうかこれからも仲良くしてやってください。
（京子の声）優里さん不注意極まりない人なんかじゃないですよね？ここのところおかしな感じだったから…。
きっと私達にも言えない悩みがあったんですよ。
そのせいで階段を踏み外しちゃったんですよ。
優里さん階段を転げ落ちたんじゃなくて誰かに殴られたんだと思う。
どういうことですか？ケガの様子を見て分かったの。
やっぱりボクシングやってたから分かるんですか？確かに最近の優里さん変な感じだった。
私達に言えない悩みって何だろう？優里さん私達に話してくれてなかったことがあります。
何？この前家の前で話してた河野さんが優里さんとランチ会をしたって言うんです。
私それを聞いて何かおかしいと思ったんです。
だって優里さんは河野さんのことそんなに好きじゃなかったみたいだから。
今日は何してた？聞かなくても知ってるでしょ。
大原さん入院したらしいね。
余計なことはしないでくれよ。
どういうこと？大原さんがどんな理由でケガをしようと君が出しゃばる必要はないってことだよ。
もしかして優里さんがケガをした本当の原因を知ってるの？知るわけないだろお隣さんまで監視してないよ。
「本当の原因」とかいってもうすでにエンジンがかかり始めてるじゃないか。
大原さんはただ階段から転げ落ちたんだ。
本人がそう言ってるんだ。
君がおせっかいで立ち入るようなことじゃない。
本当のあなたは冷たい人なのね。
これまで私を励ましてくれたり背中を押してくれたのは全部演技だったのね。

（着信音）
（佐藤渉）もしもし。
元気？
（佐藤）うん君は？うん元気。
今どこにいるの？ビジネスホテル。
１泊５０００円のシングルルーム。
家が恋しい？うん。
じゃあもうそろそろ帰って来てもいいよ。
ごめん。
まだ帰れない。
どうして？もしかしてまだ残業相手と会ってるの？家を追い出された翌日に話をしてもう会わないって決めた。
ちょっと痛い目に遭ったけど自業自得だから。
帰れないのは僕にまだ覚悟が足りないからなんだ。
どんな覚悟？君を一生愛し続ける覚悟。
君を一生養い続ける覚悟。
（佐藤）君を一生守り続ける覚悟。
１人で全部背負い込もうなんて思わないで。
２人で頑張って行けばいいじゃない。
ありがとう。
でも僕は男だからいろんなものを背負いたいんだよ。
実際は頼りないかもしれないけど心構えだけはちゃんとしてたいんだよ。
もう君を悲しませない男になりたいんだよ。
いつになるか分からないけど必ず帰るよ。
だから…。
待っててほしい。
うん分かった。
待ってる。
でもお義母さんと２人でごはん食べるのしんどくなって来てるからさ。
なるべく早く帰って来てね。
うん。
分かったよ。

（ノック）どうぞ。
おっす。
はい。
すごいキレイ。
ありがとう。
１週間も入院させてもらえないようなケガなのにこんなのもらっちゃって申し訳ない。
座って。
何かあった？いつもとは雰囲気が違う気がするけど。
実は今ちょっと旦那ともめてて。
何があったの？簡単に言えば結婚観の違いが明らかになっちゃったっていうか。
例えば？うちの旦那案外亭主関白だったみたいです。
そうなの？全然そんなふうには見えなかったけど。
だからちょっとショックで。
ごめんなさい入院してる人に愚痴なんか聞かせちゃって。
いいの。
菜美ちゃんの愚痴だったらいつでも大歓迎。
優里さん。
何？誰にやられたんですか？何のこと？このケガのことです。
階段から転げ落ちたなんてウソですよね？私優里さんのこと大好きです。
だから私にできることがあるならしてあげたいんです。
優里さんを助けたいんです。
どうしてか分からないけど菜美ちゃんにはバレるような気がしてた。
だから菜美ちゃんが部屋に入って来てからずっとドキドキしてた。
私と京子ちゃんに話してない過去があるでしょ？初めて会った時から何となくこのコは私達とは違うなって思ってた。
菜美ちゃんは私達の町に住むどんな主婦とも似てなかった。
単にダメな主婦だったんだと思います。
何があったか話してくれませんか？私浮気しちゃったの。
優里さんは全てを話してくれた
私は必死に怒りを抑えながら優里さんの言葉に耳を傾けていた
そして話し終えた優里さんは私にこう聞いた
私のこと軽蔑した？はい。
でもちょっとだけ。
優里さんの気持ち理解できるんで。
ありがとう。
「誰にでも間違いはあるから」とか言われなくてよかった。
じゃあ取りあえず優里さんが撮られた映像を取り返して来ますね。
一度人を脅した連中がそう簡単に諦めるとは思えないんで。
簡単に言うけどそんなことできるの？はい任せてください。
じゃあいってきます。
旦那に…。
正直に全部話したほうがいいかな？優里さんはもう十分に罰を受けたと思います。
それに私の経験からいうとちょっとぐらい秘密があったほうが夫婦生活は燃えると思います。
だから裏切った分旦那さんのために燃えてあげてください。
うん頑張る。
何なの？一体。
あんたがやってること全部知ってるから。
ホントは罰としてあんたの人生をめちゃくちゃにしてやりたいところだけど２つの条件をのめば特別に許してあげる。
１つは私の欲しい情報を教えること。
もう１つはこの町からすぐに出て行くこと。
早く返事をして。
私相当ムカついてるから。
あんたの人生を壊したくてウズウズしてるんだけど。
何が知りたいの？
（エレベーターの到着音）
（磯川）おっ！
（エレベーターの到着音）
（磯川）映像のデータが入ったＨＤＤを全て奪われました。
パソコンにデータは残ってないのか？
（磯川）パソコンは全てのデータが消去されてます。
どうして言うことを聞かないんだ。
拘束されてもいいのか？自由を奪われてもいいのか？自分の妻が冷たい人間でもいいの？友達が苦しんでるのを黙って見過ごすようなそんな人間でいいの？違うだろ。
君にとって俺のことや友情なんて本当は二の次なんだ。
君が一番に追い求めてるのはスリルだそうだろ？これまでの自分の人生を思い返してみろ。
何よりもスリルを優先して来たはずだ。
今日して来たことだってこのまま終わるわけないだろ？君はそれを知っててあえて炎に飛び込んで行くようなまねをするんだ。
俺のために大人になってくれると思ってた。
そう信じてた。
あなたのこと二の次なんて思ってない。
あなたのためにカッコいい私でいたいだけ。
それのどこがいけないの？
（ドアが閉まる音）どこに逃げるつもりだったんだ？どこかに消えてなくなる前にいろいろ話を聞かせてくれよ。
（チャイム）はいどうしました？ちょっと話があるんだけどいいかしら？今ちょっと忙しいんですけど。
ホントにちょっとでいいの。
大原さんのことで話したいことがあって。
分かりました。
今行きます。
（チャイム）何の用？言わなくても分かるだろ。
やっぱりお前か。
そんな気がしてたんだよ。
この前お前を見掛けて随分この町に似合ってねえ女がいるなってそう思ってたんだ。
よかった〜。
お前とだったら面白くやり合えそうだ。
用件は何？もしもし。
菜美さん？よく分かんないんですけど捕まっちゃいました。
京子ちゃん大丈夫だからね。
すぐ助けに行くから。
はいよろしくお願いします。
お義母さんにはうま〜く言っといてください。
分かった任せておいて。
俺から盗んだ物を返せ。
私を直接狙えばいいのに。
お前カタギの人間じゃないんだろ？昨夜の手口を見れば分かるさ。
お前を襲ったところで俺の物は返って来ない。
そうだろ？午後７時に俺の物を持って川西町にある倉庫に来い。
詳しい住所はそん中に入ってる。
警察に通報するほうが手っ取り早くない？お前はそんな殊勝なことをする女じゃないだろ。
俺には分かるさ。
お前は本来こっち側の人間なんだよ。
じゃあまた後で。
こっちのほうが似合うよ。
動きやすいだろうし。
ありがとう。
君が家に帰って来た時俺の姿がなかったらもう二度と会えないものだと思ってくれ。
もし帰って来られなかったらごめんね。
君なら大丈夫さ。
（ドアが閉まる音）いってきます。
（玄関のドアが閉まる音）
（振動音）もしもし。
はい。
はい。
分かりました。
普通ならメソメソ泣いててもいい状況なんだけどな。
あの女の周りには頭のネジが１本飛んでる女達が集まるみたいだ。
でもホントは怖くて泣きわめきたいんだろ。
無理しなくていいぞ。
さぁ泣きわめけ。
フッ。
あんた映画に出て来る悪党みたい。
私ビックリするぐらい平凡に生きて来た。
このままありきたりの一生を送って死ぬんだと思ってたでも…今私は映画の中の登場人物みたいな経験をしている。
主役じゃないかもしれないけどそれでも全然構わない。
こんなハラハラドキドキのストーリーの中にいられるんだから。
将来子供や孫に語って聞かせるために何ひとつ忘れないよう覚えておかなくちゃならないから。
泣いてる暇なんてないの！ハッ。
子供や孫を抱ける将来があるといいな。
菜美さんなら大丈夫菜美さんは強いんだから。
あんた達なんてあっという間に片付けてくれる！
（横溝）そうか。
そりゃあ楽しみだ。
もっと面白いストーリーになるといいな。

（ドアが開く音）手ぶらかよ。
返してもらえると思ったの？
（横溝）まぁそうだよな。
そう思ったからここにしたんだ。
お前を痛めつけた後拷問して在りかを聞き出すことにするよ。
京子ちゃん。
今助けに行くからね。
菜美さん！さっさと始めましょ。
ようやく面白くなって来たな。
うっうっ！うっ！うら〜！おら！あっ…。
うっ！おら！あ〜！う〜！うぅ…！うわっ！うっ！あ〜！んっ！うわ〜〜〜!!ハァハァ…。
気持ちいい〜！ハァ…。
ハァハァ…。
面白い。
うっ！うっ…！うっ！
（恩田）うら！うっ！
（恩田）うわ！あっ…。
あっ！もう大丈夫だからね。
面白いものを見せてもらったから今回は見逃してやるよ。
ふざけるな。
私があんたを見逃してやるんだ。
あんたの事務所のパソコンに入ってたいろんな悪事の証拠。
全部コピーしてあるから。
それをバラされて破滅したくなかったら私達の町から手を引け。
私の友達に二度と近づくな。
条件はそれだけか？分かった。
お前達の町にもお前の友達にも二度と近づかない。
ちゃんと見張ってるからな。
フッ。
帰ろう。
はい！行く所がなくなったら俺んとこに来い！お前があんな町に収まっていられるわけがないんだからな！あの今更なんですけど…。
何？菜美さんって何者なんですか？今度のランチ会の時に話すね。
うん！楽しみにしてます！
私が欲しかったもの
それは穏やかな生活
それに温かな家庭のはずだった
（啓吾）お母さん早く元気になってね。
愛する家族に囲まれ…
フフフありがとう。

愛する人の待つ帰るべき家がある
フフっ。
私が欲しかったのはそんな生活のはずだった
でも闘いの最中に私は気付いてしまった
私が欲しいものは…
ただいま。
（ドアが開く音）おかえり。
動くな。
何というスリル
やっぱりこの人を愛してる
（銃声）
このドラマのＤＶＤＢｌｕ−ｒａｙを抽選で合計２０名様にプレゼントします
さらにサウンドトラックＣＤも３０名様にプレゼント
2017/12/06(水) 22:00〜23:10
読売テレビ１
奥様は、取り扱い注意＃１０[終][解][字][デ]

今夜ついに最終回！綾瀬はるか×広末涼子×本田翼×西島秀俊！新米主婦が持ち前の正義感で主婦達のトラブルに立ち向かう！史上最高にド派手な夫婦ゲンカ勃発！！

詳細情報
出演者
綾瀬はるか
広末涼子
本田翼
中尾明慶

玉山鉄二

銀粉蝶
石黒賢

西島秀俊ほか
番組内容
勇輝（西島秀俊）の本当の姿を知った菜美（綾瀬はるか）は激怒。命がけの夫婦ゲンカの末、自らの秘密を打ち明けた勇輝は、夫婦でいるために自分に従うよう菜美に忠告する。そんな中、横溝（玉山鉄二）に反抗した優里（広末涼子）が暴行を受け、入院。菜美は優里を救うために、勇輝の制止も聞かず、横溝と対決するために敵地へ乗り込んでいく！奥様たちは幸せを手にすることができるのか！？
監督・演出
【演出】
猪股隆一
原作・脚本
【原案・脚本】
金城一紀
音楽
得田真裕
制作
【制作協力】
ＡＸＯＮ
【製作著作】
日本テレビ

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード（ステレオ）
主音声ステレオ
サンプリングレート : 48kHz
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