宝塚歌劇団・花組トップスター 明日海りお
明日海りおプロフィール

今月のメッセージMessage

先日までの花組公演と、雪組公演のこと……。

明日海りお 今月のメッセージ
 10月末に千秋楽を迎えた、花組公演『ハンナのお花屋さんーHanna's Floristー』では、幕開きの小川の流れる森から、お花屋さん、クリスの2階の書斎、そこに至る階段まで、細かく作り込まれていました。千秋楽後、セットが撤収されていくのをモニターで見ながら泣きそうになってしまうくらい、素敵なものでした。

 今作には花組のOGの方がたくさん観劇にいらしてくださいました。VJAグループのイメージキャラクターの大先輩でもある、愛華みれさん、オサさん(春野寿美礼)のほか、真飛 聖さん、まゆさん(蘭寿とむ)、らんちゃん(蘭乃はな)、そして湖月わたるさんにも足をお運びいただきました。皆さん、心が温かくなったとおっしゃってくださいました。まゆさんからも、下級生も普段より台詞や歌も多かったので、「みんながイキイキしているね」というお言葉をいただき、うれしかったです。

 今作を最後にキキちゃん(芹香斗亜)が組替えしましたが、公演中は作品に必死で、ゆっくり話せる時間がありませんでした。千秋楽後、日付が変わった時にキキちゃんにメールしました。組替えは千秋楽の翌日付けで行われるのですが、私が経験したときも、その瞬間は寂しさと新しい挑戦が始まるのだという、いろいろな気持ちが入り混じる特別な時だったので……。これまでの感謝と今後に向けてのエールを送り、キキちゃんからも前向きなメールが返ってきました。これからの活躍も楽しみです。
 れいちゃん(柚香 光)主演の『はいからさんが通る』は、残念ながら観に行くことができなかったのですが、すごく盛り上がったようで、れいちゃん、はなちゃん(華 優希)をはじめ、皆、役にぴったりでパワフルな舞台だったということなので、DVDを手に入れてしっかり観ようと思います!

 そして先日、雪組の大劇場公演を観に行ってきました。なぜか私が緊張していたのですが、ちょうど同期のカチャ(凪七瑠海)、しーらん(壱城あずさ)、かいちゃん(七海ひろき)も観に来ていて、同期4人が応援団のようになりました(笑)。
 まず、最初にお芝居であやちゃん(望海風斗)がせり上がってきたときに、グッときました。登場してきただけで安心感を与えるような落ち着いた雰囲気で、さすがだな、と。フランク・ワイルドホーンさんの曲も素晴らしく、あやちゃんのこれまでに培ってきたテクニックが随所に駆使されていて、本当にすごかったです。

 ショーも泣きそうになる場面が多く、歌詞も胸に響いてきました。斬新な場面もありましたが、ストライプのスーツに白コート、ソフト帽がすごくかっこよくて……。胸を締め付けられつつも、歌もダンスもかなりのボリュームだったので、「すごい運動量で大変だろうなぁ」とか「この衣装はきっと重たいだろうな」と思ったりして。パレードのときにも組の皆さんが良い笑顔で見つめていて、客席もとても温かな空気でした。
 そんないろいろな感情が甦ってきて、音楽学校であやちゃんに初めて会ったときのことなども思い出したりしていました。整った顔立ちが印象的で、実際は元気な人ですが、最初は落ち着いていて大人っぽいイメージ。成績も良く、同期の皆が頼りにしていました。そんなあやちゃんが、大羽根を背負うトップスターとなったのだなぁと、感慨深かったです。

 花組で一緒だったなつこ(真彩希帆)は、物怖じをしない明るさが魅力。その良さが発揮されていて、堂々としていながらもとてもキュートでした。この間組み替えしていった、ひらめちゃん(朝月希和)も、技術も心もある人なので、光っていましたね。そして月組で一緒だったあーさ(朝美 絢)も活躍していて、知っている顔ぶれが新たな絆で頑張っている姿が眩しかったです。

宝塚の醍醐味を大いに味わった、充実した1年でした。

明日海りお 今月のメッセージ
 2017年は、『雪華抄』『金色の砂漠』の東京公演からスタートしました。かのちゃん(花乃まりあ)の退団公演だったので、後半のほうはデュエットを踊っていても、どちらかの糸が切れたら嗚咽してしまいそうな感じだったので、意地の張り合いで絶対に泣かないぞと(笑)。かのちゃんらしいさよならショーで、無事送り出せて良かったです。和物と洋物の化粧替えもハードでしたが、オリジナルの2作品で本当にうれしく、毎日魂をかけてやっていました。ギィはとてつもなく熱量のいる役で、千秋楽まで試行錯誤した役。作品としても学ぶことが多かったです。

 全国ツアー公演『仮面のロマネスク』『Exciter!!2017 』。同じ作品を違うキャストで演じることで見えてくるものが大きく、新鮮にキャッチボールを楽しめました。『Exciter!!2017』も本当に楽しかったです。作り上げる段階は大変でしたが、客席下りも多くてお客様と触れ合える時間もあり、よりショーが好きになりました。今作はゆきちゃん(仙名彩世)のトップ娘役お披露目公演でした。当たり前ですが、人によって芝居の仕方や踊り方、音の取り方や歌も声も全然違うので、やりたいニュアンスやイメージも含め、1つひとつを合わせていく作業をしていました。

『邪馬台国の風』は、資料が少ない時代のお話でしたので、先生や皆で作品を作り上げていく作業が楽しかったです。タケヒコ役では、久しぶりに演じるヒーローの難しさも感じました。心が真っ直ぐで、にじみ出る優しさや誠実さが必要な役。そういう要素は、主演者としても絶対にもってないといけないなと実感しました。『Santé!!』は、お客様参加型の場面もあるショーでした。かっこいい場面、お芝居仕立てのコミカルなシーン、大勢で歌い上げるナンバー。何よりフィナーレの「乾杯」の場面を踊れたのは、私だけでなく、皆にとっても自分を宝塚の男役として見つめ直すいい機会になったと思います。

 そして先日までの『ハンナのお花屋さんーHanna's Floristー』と、本当にいろいろなことをさせていただきました。役柄も、国や年代もまちまちで、こんなにも変化できるのだと、宝塚にいる醍醐味を大いに味わえた1年でした。やりたかった若衆も演じられ、ショーもどんどん好きになりましたし、念願のお花屋さんとしてしっかりお芝居もでき、楽しいことばかりでした。学びながらも、とても前向きな気持ちで過ごせました。
 今年も応援していただき、ありがとうございました。来年も、どうぞよろしくお願いいたします。

※このメッセージは、11/17(金)に届いたものです。