現在、世界的に「STEM教育」の重要性が注目を集めている。
STEM教育とは、Science, Technology, Engineering, Mathematicsの頭文字で、科学技術・工学・数学分野の教育を指す。
なぜSTEM教育が重視されるかというと、図1が示すように、STEM教育は他の教育分野と比べて高い教育投資の収益が見込まれるからである。
日本でも2002年からスーパーサイエンスハイスクールという理数系教育に重点を置いた取り組みが開始され、その予算は年々増加している。
さらに、2年前から「理工系人材育成に関する産学官円卓会議」が開催されるなど、STEM系人材の育成に注目が集まっている。
では、日本のSTEM教育は、他の先進国と比較してどのような状況にあるのだろうか?そして、これを改善するためにどのような手立てを打つことができるのだろうか?
本稿ではこの2点について考察する。
まず基礎教育段階でのSTEM教育の状況を、OECD(経済開発協力機構)が実施している国際学力調査の結果を用いて考察する。
まず科学の結果から紹介する。
図2が示すように、日本はOECD諸国の中で科学のスコアがトップであり、平均的に見て基礎教育段階での科学教育が機能していることが分かる。
しかし、先進国の中で4番目に大きな男女間格差が存在していることを見過ごしてはならない。
日本では科学は男子の領域という風潮があるように感じられるが、他国のSTEM教育分野の研究を見ると、このような風潮があるところでは女子のSTEM系科目の成績が落ちてしまう。
一定数の先進諸国では女子の方が科学のスコアが高い、ないしは男女間で統計的に有意な差が無いことから分かるように、この風潮は正しいとは言えず、日本文化の中のジェンダーステレオタイプが、教育にも反映されてしまっていることを認識しておく必要があるだろう。