11日、運行中の東海道・山陽新幹線の台車に亀裂が見つかったトラブルで、台車の部品の一部に焦げたような跡があったことから、部品に異常な回転が起きていた可能性があることがわかりました。国の運輸安全委員会は、脱線など重大な事故につながったおそれがあるとして重大インシデントに指定し、亀裂ができた詳しい原因を調べています。
11日、博多から東京に向かっていた東海道・山陽新幹線の「のぞみ34号」が名古屋駅に到着した際に、車両の台車の一部に亀裂や油漏れが見つかりました。JR東海は名古屋駅で運転を取りやめ、およそ1000人の乗客を別の列車に乗り換えさせる措置を取りました。
国土交通省によりますと、台車の中にあるモーターの回転を車輪に伝える「継手」と呼ばれる部品に、焦げたような跡が残っていたことがわかりました。継手は通常、高温にならないため、この部品に異常な力が加わったまま高速回転し、摩擦が起きた可能性があるということです。
JR西日本によりますと、新幹線は午後2時前に小倉駅を出発した際に車両から焦げたような臭いがしたあと、「うなり音」も確認されましたが、そのまま運行を続け、午後5時前に到着した名古屋駅で床下を点検して異常が見つかったということです。
国の運輸安全委員会は、脱線など重大な事故につながったおそれがあるとして、新幹線では初めて重大インシデントに指定し、台車に亀裂ができた詳しい原因を調べています。
JR西日本 前日の点検では異常見つからず
列車を管理するJR西日本によりますと、亀裂などが見つかったのは13号車の台車の一部で、今月10日の目視による点検の際や、先月30日に列車を走らせながら台車の状況を点検した際には、異常は見つからなかったということです。
またJR西日本は、ほかの列車に使われている、異常があったものと同型の合わせて129の台車について、12日までに調査を終え、いずれも異常がなかったということです。
JR西日本は、台車に亀裂などが見つかった原因を調べるとともに、管理する残りの84の列車で使われている台車についても点検を急ぐことにしています。
新幹線の検査とは
JR西日本によりますと、新幹線は走行した日数や距離に応じて定期検査が行われ、異常があれば修理などに当たります。
点検には2日に一度、目視で行われるものと、30日以内に一度か、走行距離が3万キロに達するごとに、列車を走行させながら台車の状況を確認するものがあります。
さらに18か月以内に一度か、走行距離が60万キロに達するごとに、カバーと台車を分解して点検が行われます。
そして3年以内に一度か、走行距離が120万キロに達するごとに行われる点検は、最も厳格で部品を一つずつ分解して検査するということです。
この点検はことし2月に行われましたが、特に異常は見つからなかったということで、JR西日本ではなぜ台車に亀裂などができたのか詳しく調べることにしています。