3 Lines Summary
- ・駆除したムラサキウニの養殖実験をスタート
- ・餌は三浦半島の名産「キャベツ」
- ・身は約6倍に増え、味も市販のウニと同じ
高級なバフンウニと比べ、味が劣るとされ「海の厄介者」と呼ばれてきたムラサキウニ。
それが、なぜか、おいしいウニに生まれ変わったというのだ。
神奈川県三浦市の海は、ムラサキウニの増加で「磯焼け」状態に悩まされている。「磯焼け」とは、沿岸の海藻がムラサキウニや魚に食べられたり、枯れてしまうことにより、海底や岩がむき出しの状態になること。
10年前は海藻が生い茂る豊かな海だったが、5年ほど前から磯焼けが発生し、海藻がなくなり、海底が真っ白になってしまったという。
三浦市城ケ島の漁師・池田春蔵さん(73)は、ムラサキウニは漁業にも大きな影響を与えているという。
ムラサキウニが海藻を食い尽くすため、同じ海藻を餌とするサザエやアワビが減少。ムラサキウニも食用だが、食べられる部分が少なく売り物にはならないという。
駆除のために漁に出ても効果は少なく、燃料費の無駄になるばかりだ。
餌は三浦半島の名産「キャベツ」
そこで新たな取り組みがスタートした。
駆除したムラサキウニを養殖し、高級食材へと変える実験だ。現地を取材すると、ウニに与える餌は、なんと細切りにしたキャベツ。
三浦半島はキャベツの大産地。
出荷する際に出る、規格外のキャベツや葉っぱを処分するためにも費用がかかるため、ムラサキウニの餌として譲り受け、利用しているのだという。
神奈川県水産技術センター企画資源部・臼井一茂主任研究員は、「キャベツを与えたウニを分析したら、甘み成分のアラニン、グリシンが非常に多かった」と話す。
量は約6倍に増え、味も市販のウニと同じ
さらに、キャベツをたくさん食べたウニと、そうでないウニを比較すると、身の量に大きな差が。
実験前に比べ、ウニの身の量は約6倍に増え、味も市販のウニと同じという分析結果が出た。
臼井一茂主任研究員は、「マイナスとマイナスを合わせたらプラスになるのではないかと思った。客を呼べる観光地特有なものにできればと思っています」と期待を滲ませている。