経済の支出は多くの形態をとります。
経済が希少資源をどのように利用しているかを理解するために、経済学者は様々な支出形態からみたGDP の構成について調べています。
その際、GDPは四つの構成に分けられます。
それらは
GDP＝Y
消費＝C
投資＝I
政府支出＝G
純輸出＝NX
と表され、以下の式となります。
Y=C+I+G+NX
この式は恒等式となります。
『恒等式』とは、その式における諸変数を定義したものであるため、必ず真でなければなりません。
この場合、GDPに含まれる支出の各1ドルは、GDPの四つの構成要素のどれかに配分されるので。四つの構成要素の総計はGDPに等しくなければなりません。
以下で構成要素を解説していきます。

・消費
家計による財・サービスへの支出である。
ただし、新しい住宅の購入は除いている。
財は自動車や電化製品のような耐久財、食料品や衣服のような非耐久財への家計の支出を含む。
サービスは医療や散髪のような無形の品目を含みます。
教育への家計の支出もサービスの消費に含まれます。

・投資
より多くの財・サービスを生産するために将来使用される財の購入であり、資本設備、在庫、建造物の購入の総額のことです。
建造物への投資は新築住宅の購入も含まれます。
前の記事で書いたように在庫の蓄積の取り扱いは注意を払わなければならない。
投資がこのように取り扱われるのはGDPの目的の一つが経済の生産の価値を測ることにあり、在庫に加えられる財はその期の生産の一部だからです

・政府支出
地方団体、州政府、連邦政府による財・サービスへの支出であり、政府職員の給料や公共事業への支出などで構成されます。
政府が公務員に給料を支払うとき、その給料は政府支出の一部になります。
しかし、政府が高齢者や失業者に支払う年金や失業保険は全く違うものとなります。
その場合の政府支出は移転支払とよばれます。
なぜなら、それらの支出はその期に生産される財・サービスと交換に行われたものでないからです。
移転支払は家計の所得を変化させますが、経済の生産を反映したものではありません。
GDPは財・サービスの生産からの所得やそれへの支出を測定することを意図していますので、移転支払は政府支出の一部には算入されません。
【マクロ経済の観点からは移転支払は負の税金として見られる】

・純輸出
国内で生産された財の外国による購入(輸出)から、外国の財の自国による購入(輸入)を差し引いたものであります。
別名：貿易収支といいます。
三菱重工がMRJをタイ航空に販売すると言ったように、国内企業による外国の買い手への販売は、純輸出を増加させます。
「純輸出」における「純」とは、輸出から輸入が差し引かれるという事実を表すものです。
このような差し引きを行うのは、財・サービスの輸入がGDPのほかの構成要素に含まれているからです。
例にすると、アメリカの家計が日本であるトヨタ自動車から300万の車をを購入するとします。
この取引は消費を300万円増やす。
自動車の購入は支出の一部だからです。
そして、純輸出を300万円減らすことになります。
その自動車は輸入品だからです。
言い換えてみると、純輸出は外国で生産された財・サービスを含みます。
(符号はマイナス)
なぜなら、そうした財・サービスは消費、投資、政府支出のどれかに含まれるからです。
(符号はプラス)
このように自国の家計、企業、政府から外国の財・サービスを購入すると、純輸出を減らします。
しかし、それはまた、消費、投資、政府支出のいずれかを増やすのでGDPには影響は与えません

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