「アイドルタイムプリパラ」はオカルトアニメか? 謎の雑誌「プー」を追う!
今宵、あなたも幽体離脱
「ムー」読者は、小~中学生の女の子を中心に大ヒットしているアニメ「アイドルタイムプリパラ」をご存じだろうか? だれでもアイドルになれる世界で、主人公の真中らぁらと夢川ゆいが仲間たちと夢の実現のために頑張るという夢いっぱいの作品である。現在シリーズ4年目に突入している人気作だ。
実は「アイドルタイムプリパラ」の作中において、「ムー」を思わせる雑誌……「プー」が登場している、というのだ。噂を聞きつけて放送を見てみると、確かに「プー」は存在した。ロゴの書体、本の雰囲気は「ムー」と瓜ふたつとわかる。
これは……!?
さらに作中には「ムー」的な設定をもつキャラクターも登場する。
“悪魔系アイドル”を自称する黒須あろまは、誕生日が6月6日6時で、自ら「ア・ローマ予言書」なる予言書を執筆している。そして、あろまに「プー」を読むようにすすめられ、アイドルになった幸多みちる(ミーチル)は“プー大陸の姫、巫女”という設定で、決めゼリフが「今宵あなたも幽体離脱」というものだ。
キャラクターだけではない。作中ではオーパーツならぬ“ポーパーツ”、「竹内文書」を思わせる“パケノウチ文書”など、本来のメイン視聴者層である女の子向けとは思えないネタが満載なのである。
これは、何かある。
そこで「ムー」は、アニメを制作している「タツノコプロ」を訪問。「プリパラ」シリーズの監督を務める森脇真琴監督、そしてアイドルたちのライブシーンを手掛ける乙部善弘CGディレクターに事と次第を伺うことにした。
悪魔系アイドルのアイテムに
インタビュー開始早々、森脇監督がおもむろにバッグから取り出したのは、なんと1985年2月号の「ムー」だった。
「一時期、『ムー』は愛読書でした。特にこの号は“バーコードの陰謀”という記事が衝撃的で、家宝にしている一冊なのです。記事を題材に4コマ漫画まで描いてしまったほどですよ」(森脇監督)
「僕は『ムー』が創刊された年の生まれなのですが、親が“ムー民”だったことがきっかけで読みはじめました。アニメ業界に入ったときも、ネタ作りになればいいと思って、買いましたよ。公式ツイッターもしっかりフォローしています」(乙部氏)
森脇監督も、乙部氏も、「ムー」の大ファンという。衝撃の事実。では、「プー」が登場するに至ったのは、監督の趣味ということなのだろうか? 番組の私物化疑惑が気になってくる。
「いえ、みちるがオカルトアイドルというキャラ設定や、『今宵あなたも幽体離脱』という決めゼリフが先にあったんです。その後に“プー大陸の姫”ということになり、これを受けて、脚本家のふでやすかずゆきさんが雑誌『プー』のアイディアを出してきたのです」(森脇監督)
オカルトといえば「ムー」だろう。ということで、パロディにしたというわけだ。
ふでやす氏から提案を受けた森脇監督は、「ムー」を知っている人は少ないと思い、はじめは躊躇ったという。ところが、スタッフの間で予想外に話が盛り上がり、そのまま採用することになったそうだ。
「おそらく、子供たちは『ムー』を知らないでしょうね(笑)。でも、一緒に見ているお父さんやお母さんなら、わかるんじゃないでしょうか? 親子の会話が生まれるきっかけになれば嬉しいです」
オカルト、超常現象のアイコンとして「ムー」そのもの、「ムー」っぽいものが使われるのはよくあるが、女の子向けアニメでもそのセオリーが発動するとは……。アニメ業界の懐は深い。
こうして登場した「プー」だが、表紙は「ムー」本家っぽく描き込まれ、かわいらしいキャラクターとのギャップが面白い。
「出すからには、表紙のロゴや広告なども徹底的に似せようと思いましたね。子供たちが大きくなったときに、本屋さんで『ムー』を見て、あれっ、プリパラに出ていた本に似てる!なんて、手にとってくれたら、面白いですよね」(森脇監督)
TVアニメ「アイドルタイムプリパラ」
毎週火曜17:55~テレビ東京系6局ネットほかにて放送中
© T-ARTS / syn Sophia / テレビ東京 / PP2製作委員会
© T-ARTS / syn Sophia / テレビ東京 / IPP製作委員会
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