女性たちが堂々と、「秘める願望を解放」できるように絵筆を握る。

どうして、男性が楽しめる「エロ」のほうが、女性のものよりも多いのでしょうか?

これは、今に始まったことではありませんし、表現する自由があるはずの美術史においてもです。西洋も東洋も関係なく、“官能芸術”は、男を喜ばせるための作品の量が圧倒的。「女は慎ましくあらねばならない」という固定観念は、時代とともに薄れつつあるものの、女性たちはもっと心に秘める欲望を解放してもいい!と私は思うのです。

木村了子さんの美男ばかりの日本画は、「女性の権利」を堂々と主張してくれています。そんな、彼女に詳しく話を聞いてみました。

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作品名:「Heroes 男子鍛錬図屏風」

本当に描きたいものは、
「女性のハダカ」じゃなかった。

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作品名「ヴァニラの香り」

木村さんは、もともと「エロ」をテーマにした“女性像”を描いていました。が、2003年に開いた個展のときのこと。男性のお客さんのある言葉により、テーマは一変することに。

「木村さんだっけ?君の描く女性って、なんか色気ないよね」

この一言がショックだった木村さん。しかし男性は、自分をもっとさらけ出した作品を描くべきだと、熱弁を続けました。怒りを覚えつつも、木村さんはその時こう思ったそうです。

オンナの何を表現し、誰に見せたいのか?このおっさんか?私はおっさんのために、女のハダカを描くのか?!!!否!!!では、私が見たいものは、描きたいものは何か?!

 

 

 

………男のハダカじゃない?

上のコメントにいたるまでの背景を、さらに読みたい方は木村さんのブログから。

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作品名:「ヴァニラの香り- Men」

トキメキあふれる、最高の幸せ

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作品名:「渚のマー・マン」

個展の出来事は、今の作風のきっかけになりました。でも、それより前から木村さんは、男性を恋愛対象としている自分が、女性のカラダを描いて発表することに少しだけですが、違和感を抱いていたそうです。まるで、自身に酔いしれているような、ズレを感じたのだと。

だけど、男性を描くようになってから、自然とトキメキが生まれ、いつも気分が高揚するようになりました。今では、美しい男性たちを、美しい画面に描くことが“生きる喜び”だと木村さんは言います。

「イケメン」は、架空の生き物

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作品名:「Aloha 'Oe Ukulele-夢のハワイ」

女性を描いているときは、自己投影に嫌悪感を抱いたり、羞恥心に悩まされたりしていました。でも、異性というだけで、冷静に観察し、表現することができるように。自分と完全に切り離せる美しい男たちだからこそ、愛を注ぐだけではなく、冷酷に描けることもできて、どんな恥ずかしいポーズをさせても、他人ごとと割り切ることができるようになったのです。

以前、木村さんは、近しい男性から「あなたの描くイケメンは男ではない、イケメンという男とは別の生き物だ」と、言われたことが。ですが、その言葉に対して、「まったく、その通り」と思ったようなのです。

男性を描いているものの、“男の本質”を深く見つめようとか、表現しようとは思っていません。だからといって、上っ面だけの「理想の男」を描いているわけでもないのです。

 

私という女と、リアルな男の中間地点に存在する、「イケメン」という架空の生き物。彼らはある種、夢と希望を与える妖精のような存在なのかもしれません。ただ、困ったことに、私たちにトラウマを植え付ける存在でもあります。妖精にしては少し生臭い感じはしますけど、私は彼らを“勝手な愛情”を持って自由に表現し、描き出したい。

時代が進むにつれ、
「女である喜び」が増える

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作品名:「キミを迎えにゆく日まで」

男性像を描き始めたのは2005年頃なのですが、あの時に比べると今はBLの社会的認知とともに私の作品へ興味を持ってもらえることも多くなりました。

 

美術史において極端に少ない「女性が描く男性像」。私は、風穴を開ける存在になりたいと思っています。

と、木村さんは、画家であり、女性としての熱い気持ちを教えてくれました。

彼女のこの言葉から私は、時代が進むにつれて、「女の喜び」はどんどん増えていくし、その喜びを生み出すのは間違いなく女性自身なのだと。心からそう思ったのです。

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作品名:「寒椿 雪中乾布摩擦図」

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作品名:「アジアの白い虎」

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作品名:「飛翔 走り高跳び之図」

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作品名:「私のオダリスク」

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作品名:「孔雀王子化身図ー 美しいオレ!」

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作品名:「龍男 天昇るオレ!」

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作品名:「天弓愛染明王像」

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作品名:「地蔵菩薩半跏像」

少し先の話ですけど、木村さんが手がける“イケメン仏画”を中心にした個展が京都で開催されます。美しさを堪能したい人は、下の情報をチェック!

■展示会名:木村了子個展「多情仏心」展

■会期:3月9日~5月6日(開催予定)

■会場:京都場

■住所:〒604-8412 京都府京都市中京区西ノ京南聖町6-5

■問い合わせ先:070-6506-5939

■開館時間:12:00~19:00(月曜休館)

Licensed material used with permission by 木村了子
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