カナダのある町でボロボロの野良猫が暮らしていた。4歳にして生きるのもやっとだったその猫は、心優しい女性に救い出され地元の保護団体に送られた。
マルセルと名付けられた彼は、長年の放浪生活で凍傷なども負っていて、これ以上カナダの厳冬を越せる状態ではなかった。
当初は変化を恐れ、人間を警戒し続けていたマルセルだったが、スタッフの献身によって少しずつ心を開いていった。
本来は人懐っこくて甘えんぼうなマルセルは、もう二度と辛い寒さにさらされないですむ、あたたかい家庭に引き取られたのだ。
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モントリオールの町をさまようボロボロの猫
マルセルはかつてモントリオールの町の路地にいた名もなき野良猫だった。当時の彼はあちこちに傷があり、毛は泥でだらけでゴワゴワ。外の暮らしでかなり苦労しているようだった。
image credit:Chatons Orphelins Montrea
同じ町に住んでいたマリー・イブさんは、彼を見かけるたびになんとか保護したいと思っていた。マルセルの悲しげな瞳が彼女の胸を締めつけていたのだ。
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警戒心の強いマルセルをどうにか保護することに成功したが...
7月半ば、マリーさんはついに行動を起こした。だがそれは思った以上に困難だった。
野良暮らしが長く賢いマルセルは警戒心が強い。どんなにお腹がすいても、マリーさんの仕掛けた餌になかなか食いついてもらえない。だが飢えが限界を迎えた3週間後、ようやくその餌を口にし、捕まえることに成功した。
保護施設に託そうと思ったマリーさんだが、施設はいっぱいで入ることができない状況だった。とりあえずマリーさんはマルセルを動物病院に連れていき、治療を受けさせた後、泥まみれで絡まった毛をきれいに整え自宅に連れて行った。
その夜、マルセルは生まれて初めて暖かくて安全な場所で眠りについた。
image credit:Chatons Orphelins Montrea
もうギリギリの状態だった。保護施設で本格的な治療が行われる
それからまもなく、マルセルは地元の保護団体のところに運ばれ、本格的な治療や適切なリハビリを受けることになった。
image credit:Chatons Orphelins Montrea
縄張り争いで傷だらけのマルセルは頬に膿んだ傷があり、耳にも凍傷の跡があった。
マルセルの体はもう次の冬を外で越せる状態ではなかったのだ。マリーさんは危機一髪のところを救うことができたようだ。
image credit:Chatons Orphelins Montrea
彼は4歳くらいと推測された。体重は6kgほどだった。病院では神経質で臆病になり、人の目を避けるようにうつむいていた。
image credit:Chatons Orphelins Montrea
マルセルははあらゆる変化に恐怖を感じていたという。歯も何本か失っていて、厳しい野良生活が手に取るように分かったという。
本当は誰かに甘えたかった。徐々に人間に気を許すようになるマルセル
その後、ボランティアスタッフのリリーさんがマルセルの養母を名乗り出て、彼を自宅に連れて行った。するとうつむき顔で臆病だったマルセルが、リリーさんの膝に横たわるようになった。
マルセルはリリーさんの隣で眠った。とても希望が持てるスタートだった。
彼はいくつかの音に驚いたりもしたが、その場所にはもう危険なことはないと理解し始めた。彼はとても強い猫だったが心は子猫のようだった。
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そして数週間後、マルセルは自分の殻を破り、人間に愛情や信頼を抱くようになった。本当の彼は愛情深くて優しい子で、抱っこが大好きだったのだ。
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甘えんぼうのマルセルは毎晩のように人の腕に抱きついて寝た。彼は初めは手負いのクマのような状態だったが、少しずつ幸せになっていった。
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マルセルは本当は人間とわかりあいたかったのだ。話しかけるとちゃんと答えるフレンドリーな一面まで見せ始めた。
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マルセルを受け入れてくれる本当の家族が現れる
そして2カ月後、マルセルをぜひ引き取りたいという優しい飼い主が現れた。彼はようやくあたたかい家庭で暮らすことができるようになったのだ。
image credit:Chatons Orphelins Montrea
素晴らしい飼い主に巡り合たマルセルは、元野良猫とは思えないほど見違えた。彼の目に浮かんでいた悲しみは消え、喜びを感じ愛情を信じる輝きが宿るようになった。
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ボロボロの体で飢えや寒さと戦いながら孤独に生きていたマルセルだが、マリーさんに救い出され、たくさんの人間の思いやりと献身的なケアで生まれ変わり、ついに幸せに満ちた猫生にたどり着けたのだ。
via:lovemeowなど / translated by D/ edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
泣きそう。本当に良かったな~
2. 匿名処理班
長期戦で捕まえるの大変だったね…
猫も含め、これに関わった人全てが幸せでありますように
3. 匿名処理班
ホント野良猫って引き取られると顔変わるよね。
4. 匿名処理班
すごくすごく可愛い子だね。
どうか末永く幸せに!
5. 匿名処理班
野良猫時代の眼つきとぜんぜん違うな。
これからいい猫生を送ってほしいな。
6. 匿名処理班
こういう記事見ると
預かりボランティアとかやりたくなる
マルセルよかったね
幸せに暮らしてね。゚(゚´Д`゚)゚。
7. 匿名処理班
警戒心の強いノラネコを保護し助けるって想像以上に難しいし大変、
こういう事をしている方々には本当に頭が上がりません。
8. 匿名処理班
涙腺に来る
9. 匿名処理班
もうねえ、朝からホントにねえ(泣
10.
11. 匿名処理班
またNNNが世界征服を進めたのか…
素敵な良い話だ。
12. 匿名処理班
GJ!
13. 匿名処理班
「猫は外で自由にしてるのが幸せ」って言う人いるけど、寒さや飢えや病気や事故と隣り合わせなのにね。
願わくは全ての猫が家の中で飼い主と幸せに暮らせますように。
14. 匿名処理班
マルセルよかったな~
15. 匿名処理班
ああーー
まなざしが甘えん坊だって分かるよな
16. 匿名処理班
顔変わりすぎだろw
17. 匿名処理班
マルセルの瞳の輝きの変化が彼の幸せになる過程が如実に伝わってきた。
マルセル良かったね。
18. 匿名係
猫なんて甘やかしてナンボだ。
どの子もこの子もベロベロに甘やかしたいわ。
そして甘えた顔にするんだわ。
19. 匿名処理班
安心できる場所で生活すると、こんなにも表情がかわるんだね。
幸せな猫生活を送って欲しい。
20. 匿名処理班
カナダの野良さんは大変なんだな
冬将軍が日本とはレベルが違う
21. 匿名処理カワカミー
良い話だね素晴らしい
22. 匿名処理班
自分なら、一週間で諦めてしまったと思う。
残念だけど冷静に考えても、パワー不足。
だから余計にマリーさんやリリーさんたちを
尊敬し、感謝してます。
23. 匿名処理班
猫好き猫アレルギー持ち俺氏、そっと涙する(´・ω・`)
24. 匿名処理班
あぁぁ良い話だ。。。良かったなぁマルセル(TωT)
うちも傷だらけの野良を保護して約20歳ぐらいまで生きたあの当時を思い出すぜ。。
長生きしろよマルセル!
今日の昼飯はやけにしょっぱいな(T△T)
25. 松 茸子(市民)
猫の仕事は幸せになることだ
全ての猫が幸せになった時
人間も幸せになってる
26. 匿名処理班
日本海側や北海道の野良ちゃん達もどうか救ってあげて下さい。
27. 匿名処理班
※6
なぜやらないの?
28. 匿名処理班
無事助かったんか、良かった(/)・ω・(ヾ)
29. 匿名処理班
※18
そんで全身むっくむくのふわふわな幸せボディにするんだね。
30. 匿名処理班
※23
アレルギーの特効薬が発明されることを祈ってるよ
31. 匿名処理班
野武士のごとき風貌は消えヘタレ猫になっちまったか
いや違うあれは僕騙し用の営業顔だ。