こんにちは、トイアンナです。「愛は尽くすこと」という考え方は、広く普及したように思われます。闘病するパートナーをひたむきに支える恋人、なんてストーリーは美談としてすぐに書籍化、映画化されます。そして恋愛相談の掲示板では「もっと相手の立場になって尽くしてやれ」というアドバイスが回答欄を埋めてゆきます。
尽くすことで、相手がダメになる
ですが、尽くしすぎると相手はダメになります。たとえばあなたが朝起きて、彼の手作り朝ごはんが用意されていたらどうでしょうか。
最初は感激するかと思います。しかし毎日朝食があれば、段々と「彼が朝食を準備するのは当たり前」に感じられるでしょう。仮に喧嘩した翌朝に彼の朝ごはんがなければ「いくら喧嘩したからって家事もやらないなんて!」と不平を漏らすかもしれません。ですがその時は彼が悪いのではなく、自分が朝ごはんを「当然のこと」として期待するほど堕落したのです。
尽くすことで、自分の自信のなさを埋めていた
男女逆転しても、話は同じです。ここからは完全に私自身の反省ですが、私は相手をドロドロに甘やかしてしまいます。昔付き合った相手とのデートにいたっては「相手の家へ行って起こし」「着替えを用意して」「朝ごはんを作り」「皿を洗って」あげてから、ようやく外へ出るというありさまでした。最初こそ尽くしてもらえることに感激していた彼が、しだいに「何で今日はお越しに来ないんだ」と横柄になったのは言うまでもありません。そして私がそこまで奉仕してしまったのは「尽くさない自分には、愛される資格がないのでは」と自信を無くしていたからです。
結局、尽くしていたのは自分の裏返し。彼は私を愛していなかったでしょうが、自分だって「尽くさなきゃ愛されない」と自己愛に手いっぱいで、彼のことを愛せていなかったのでした。だから横柄な態度を取られたのは、自業自得だったのです。
「私がいるだけで幸せでしょ」と言える自分になろう
もし、あなたが尽くしたがりなら……。まずはそれを「愛」と呼ぶのはやめましょう。そして自分が「私と付き合えているだけで、彼は幸せでしょ」と言えるくらい自分が好きと言えるか、問い直してみてください。
自尊心を育てるのは簡単ではありません。けれど、尽くして報われない恋を繰り返すよりは、生きるのが楽になるはずです。まずは自信のなさを埋めるために彼へ尽くしていないか、振り返ってみてはいかがでしょうか。
トイアンナ
ライター。新卒で外資系企業に勤めて以来、数百名の消費者ヒアリングを重ねました。その経験から恋愛・キャリアを主なテーマに執筆しています。
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