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» 2017年12月12日 08時00分 公開

スピン経済の歩き方:みずほダンスの“一体感”がヤバく思えてしまう理由 (1/5)

みずほダンスが話題になっている。みずほフィナンシャルグループで実際に働いている約400人のみなさんがキレキレのダンスを披露するPR動画のことだ。「面白い」「見ていて楽しい」といったコメントが多いなかで、筆者の窪田氏は「一抹の不安がよぎる」という。どういうことかというと……。

[窪田順生ITmedia]

 「みずほダンス」が話題になっている。

 既にご覧になった方も多いかもしれないが、みずほフィナンシャルグループで実際に働いている約400人のみなさんがキレキレのダンスを披露するPR動画のことだ。

 百聞は一見にしかずなので、まだという人はぜひ見ていただきたい。終業間近のみずほ銀行で、時計の針が17時10分をまわった途端、フラッシュモブさながらに行内が暗転して、軽快な音楽に合わせて行員たちが踊り始めるというもの。銀行内だけではなく、横浜の大さん橋、京都の竹林、熊本のビーチなど舞台を変えて、見る者の心を揺さぶるほど全力で踊っていらっしゃる。

 この手の「お堅そうな企業の人たちが全力で踊ってみました」動画といえば、少し前にも社員24人を起用して「東池袋52」というアイドルグループまでつくってしまったクレディセゾンが話題になったが、このPRトレンドのルーツをたどっていくと、2013年のAKB48「恋するフォーチュンクッキー」の「踊ってみた動画」がある。

 覚えている方も多いと思うが、あの曲の振り付けをさまざまな方たちがコピーするのが人気となるなかで、佐賀県、鳥取県など自治体の県知事や職員などが参入したことが、大きなニュースとして話題を集めたのである。

 このトレンドはヒット曲の振り付けの完コピから、オリジナルダンスへと移行。その代表が、矢野顕子さんの「ISETAN-TAN-TAN」に合わせて、全国の伊勢丹にお勤めの方たちが踊るというPR動画だ。三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長(当時)もダンサーとして参加したことも話題となった。

みずほフィナンシャルグループのPR動画が話題になっている(出典:みずほフィナンシャルグループ)
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<div style="clear:both;margin:15px 0 0 0;padding:10px;">海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。<br><br>本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いや緻密な戦略があるのかという「スピン」を紐解いていきたい。<div style="background:#eee;padding:5px 10px;font-size:small;margin:5px 0px 0px 0px;">※こちらのページには2015年7月以降の記事を掲載しております。<br>それより前に掲載された記事にをご覧になりたい方は「 <a href="http://bizmakoto.jp/makoto/series/1843/" style="color:#369;">2015年6月以前の記事一覧</a> 」をご覧ください。</div></div>

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