「FINAL FANTASY XV」のDLC「オンライン拡張パック:戦友」プレイレポート。マルチプレイ向けにアレンジされたシステムが“共闘感”を生む
本編で描かれなかった空白の時間を舞台に,プレイヤーがルシス王国の特殊部隊「王の剣」の一員となって戦うこのDLCでは,最大4人でのマルチプレイも可能になっている。
主人公であるルシス王国のノクティス王子(ノクト)を操作するシングルプレイRPGだった本編とは,設定もゲームシステムも大きく変わるということで,気になっている人も多いはず。本稿でそのプレイレポートをお届けしよう。
ノクト不在の世界を描く物語
前述したように,戦友では,FFXV本編の空白期間を埋める物語が展開する。本編では主人公のノクトが,ある理由から10年間もの眠りにつく場面があるのだが,その間に何が起こったのかまでは描かれなかった。
戦友の舞台となるのはノクトが眠りについた後の世界。プレイヤーが操作するのは,ルシス王国の特殊部隊「王の剣」のメンバーだ。
王の剣のメンバーはルシス王から与えられる魔法の力により,ノクトと同じように「武器召喚」や「シフトブレイク」といった特殊能力を操れる。このあたりの細かい設定はCG映画「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」で描かれているので,興味を持ったらこちらを観るのもいいだろう。
このように,戦友の設定は本編と密接に関わっている。セーブデータは独立していて,“空白の10年”まで本編を進める必要もなくプレイできるのだが,個人的にはある程度ストーリーの概要を知っておいたほうが,より感情移入できると感じた。
今から本編に触れるのであれば,まずノクティスが眠りにつくまで本編を進めた後に戦友をプレイし,一区切りがついてから本編に戻るのもよさそうだ。
そんな戦友の世界は闇に包まれており,通常のモンスターに加えて,夜しか出現しないはずの強力な敵「シガイ」が跋扈している。人々は各地の拠点に集まり,肩を寄せ合ってなんとか生き延びているという状態だ。
シガイは光を苦手とするため,メテオの欠片によって生み出される「電力」が命綱となっている。プレイヤーはクエストの報酬として資金(ギル)に加えて電力を受け取り,送電網を復旧させて新たなクエストをアンロックしていくのだ。
クエストは拠点「レスタルム」で受注した後,クエスト用のマップへ赴き,1回10~20分ほどの戦闘を楽しむという流れ。分かりやすく言えば「モンスターハンター」に近い形だ。
筆者がプレイした限りでは,オートマッチングの待ち時間でストレスを感じることはなかった。また,人数が不足している場合は,自動でAI操作のキャラクターをパーティに入れてくれるのがありがたい。
主人公(アバター)は,名前や性別,出身地,外見といったものをエディットできる。外見のエディットはなかなかユニークで,2つの「祖先の顔」を組み合わせて顔のベースを作り,ここから顔のパーツや体格を自由にいじる形だ。
出身地は,パラメータの伸び方に影響する。「ガラード諸島」だと力や魔力が成長しやすいのでアタッカー向き,「オルティシエ」ならHPや精神が成長しやすいので盾役に向く……といった具合だ。出身地は一度決めると変更できないが,アバターは8人まで作れるので,いろいろと試してみるといいだろう。
共闘感を楽しめるバトルシステム
前述したように,戦友の主人公はノクトに似た能力を持っているので,基本的な操作は本編とほぼ同じだ。最大4つの武器を切り替えつつ,瞬間移動で敵に突撃する「シフトブレイク」で大ダメージを狙う……というのがオーソドックスな戦い方になるだろう。
武器には,リーチと速さに優れた「刀」,攻撃ボタン押しっぱなしで力を溜め,高威力のチャージ攻撃を出せる「メイス」,連続で突きを繰り出せる「槍」,手数の多い「短剣」,遠距離から攻撃できる「クロスボウ」,突進中に敵から受けるダメージを軽減できる「盾」,遠近両用の「手裏剣」の7系列がある。
汎用性なら刀,一発狙いならメイス,安全に攻撃するならクロスボウ……といったように,自分のスタイルに合ったものを選ぼう。本編を遊んだ人にとっては,コル将軍やグラディオが使っていた刀を自分で扱えるのは嬉しいはず。
[○]ボタンを押し続けているだけで華麗な連続攻撃を繰り出せるのは本編と同様だ。仲間との距離が多少離れてしまっても,シフトブレイクを使えば一瞬で戦線に復帰できるテンポの良さが嬉しい。
もちろん,バトルシステムは本編とまったく同じというわけではない。マルチプレイなので「ウェイトモード」「仲間コマンド」は存在しないし,主人公はノクトではないため「ファントムソード召喚」や「召喚」も使えない。
とくに大きいのは,「ポーション」をはじめとする回復アイテムが存在しないことだ。ポーションを飲みまくっての力押しができないので,立ち回りと連携が大事になるのだが,そこで役立つのが,戦友ならではの共闘感が味わえる「魔法」「バリア」「シフトリンク」だ。
魔法は本編と仕様が異なっており,あらかじめエレメントを精製しておく必要はなく,攻撃魔法と回復魔法をMPが続く限り使える。さらに攻撃魔法で仲間を巻き込んでしまうこともないため,なかなか快適だ。
初期状態だと攻撃魔法「ブラスト」と,有効範囲の狭い回復魔法を持っているが,後述する「王の加護」や,特定の武器を装備すると使える魔法が変化する。例えば「鬼切」を装備すれば攻撃魔法がお馴染みの「ファイア」になり,「スクラマサクス」ならば回復魔法に解毒能力をプラスした「ポイゾナ」になるといった具合だ。魔法は便利だが,リソースとなるMPは後述のバリアにも必要なため,使いすぎには注意したい。
魔法以外の回復手段には,鉄塔などの安全地帯へ「マップシフト」しての自然回復(通常より回復速度が上昇する)があるが,当然ながらその間は戦闘に参加できないので,あくまで緊急避難としての使用になるだろう。
自分が広域回復魔法を持っているなら,仲間のHPを確認しながら積極的に使っていきたい。また,[L1]で味方をロックオンしてシフトブレイクをかければ,仲間のHPをわずかながら回復できる。このあたりで,仲間との共闘感を強く味わえるはずだ。
[□]を押し続けて展開するバリアで敵の攻撃を防げる。自分の身はもちろん,後方にいる仲間まで守れるので,ピンチの仲間がいたら盾になってあげよう。
敵の攻撃がきたときにタイミングよく[□]→[○]と押し,パリィからのカウンター攻撃を決めると,「シフトリンク」が発動し,敵の動きがスローになる。これに続けてシフトブレイクを決めるとコンボ数が上昇し,与えるダメージもアップしていく。
シフトブレイクはMPを大きく消費するため,1人だと決められる回数もたかが知れているが,4人でタイミングよくつなげば,コンボ数を伸ばして大ダメージを与えられる。次々と仲間が突撃していく様は,まさに統率の取れた特殊部隊といった感じだ。
「王の加護」でパーティ内の役割を変える
クエストで稼いだ電力で送電網を復旧していくと,先代王たちの墓所がアンロックできるようになる。ここでそれぞれに異なった「王の加護」が手に入るのだ。
王の加護には魔法やバリアなどの性質を変える効果がある。回復役をやりたいなら,回復魔法の効果範囲を広げる「神凪」や,バリア内にいる仲間の回復力が上がる「慈王」,アタッカーなら攻撃魔法が2連続で発動する「聖王」や,ジャンプ攻撃の威力が上がる「伏龍王」,盾役なら,敵の注意を引きつける「挑発」が使える「闘王」……といったように変えるといいだろう。
前述した出身地と合わせて,それぞれの役割に特化したアバターを作るのも面白い。原稿執筆時に実装されている王の加護は7つだが,本編をプレイした人はご存知のように,先代王は13人いるので,残り6つがどうなるのか楽しみだ。
闇の世界で懸命に生きる人々
ゲームの要所で,本編でお馴染みのキャラクターたちが登場するのも印象的だ。
例えば,グラディオの妹・イリスは拠点でアバター用の衣服を売っている。生きるのも大変な状況だけに,なかなか新品が手に入らないようで,古着を繕ったりもするという。シドはアバターの武器を特殊な機械で強化してくれる。実はこの機械,ノクトのためにこしらえていたらしく,彼の不在を悲しんだりもして,普段のぶっきらぼうな態度からは考えられない。
本編では描かれていなかった意外な一面が見られるというわけで,思い入れもより深まるだろう。
もちろんグラディオ,イグニス,プロンプトも登場する。彼らはノクトが眠りについた後で修行の旅に出ており,シナリオが進むと拠点に姿を見せる。彼らには戦いを挑むことができ,勝つと貴重な武器を渡してくれるのだ。
ほかにも,王都警護隊のモニカは,クエスト終了時にアバターたちが持ち帰った食材で料理を作ってくれるし,ときおりシドニーがその役目を果たしてくれるときもある。本編でノクトたちに写真撮影を依頼してくるビブは,クエスト中に自動で撮影される写真を管理してくれている。
本編をプレイしたなら,こういった再会に胸が熱くなること間違いなし。空白の10年間が,空白ではなくなるのだ。
ここまで紹介してきたように,「戦友」はFFXV本編をベースにしたシステムながら,共闘感を軸にして,テンポ良いバトルの中で協力プレイの面白さを味わえるものになっている。特に,消費アイテムを撤廃し,広域回復魔法と味方へのシフトブレイクを導入したことによって,回復にも連携要素が生まれているのが新鮮だ。
また,本編の物語は,ノクトをはじめとした選ばれし者,特別な立場の者たち中心だったが,「戦友」では一般の人々がよりクローズアップされ,世界に広がりを加えていることも印象深い。
DLCとしての提供ではあるが,マルチプレイに合わせてしっかり作られているという印象で,個人的には,「このシステムをブラッシュアップした単体のマルチプレイアクションRPGも遊んでみたい」と感じたくらいだ。
本編のプレイヤーはもちろんだが,「気になりつつもFFXVをプレイしていなかった」という人は,ぜひ本編と合わせて,「戦友」も遊んでみてほしい。
「FINAL FANTASY XV」公式サイト
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