100万人が没頭
規制、北朝鮮にも負けない
韓国仮想通貨ブームの実態
韓国が暗号通貨ブームに沸き立っている。韓国政府が新規仮想通貨公開(ICO)禁止令を出したり、取引所に対する北朝鮮からのサイバー攻撃が確認されたりしても、仮想通貨熱は冷める兆しを見せない。 by Yoochul Kim2017.12.11
よく知られているように、韓国は世界で最もインターネット接続が進んだ国の一つだ。ほぼどこででもブロードバンド接続ができ、インターネットの速度は極めて高速である。韓国は今、暗号通貨取引の温床ともなっている。韓国は、日本と米国に次ぐ世界第3位のビットコイン取引市場だ。イーサリアムの暗号通貨であるイーサの最大の取引市場であり、マーケット・シェアの33%以上を占める。世界の上位15位のデジタル通貨取引所のうち2つ、ビッサム(Bithumb)とコインワン (Coinone)が本拠地を置き、両取引所は投資家が立ち寄って直接取引ができるセンターを建設している。韓国全体で仮想通貨で毎日取引をする登録済みのトレーダーがおよそ100万人いると考えられるが、これは国民の約50人に1人にあたる。
しかし、成長著しいデジタル通貨市場は国内の起業家を喜ばせている一方で、韓国政府を悩ませている。当局は特に、新規仮想通貨公開(ICO)と呼ばれる資金調達の新手法を懸念している。ICOでは、企業はブロックチェーンをベースとしたデジタル・トークンを生成する。こうしたデジタル・トークンは将来的に特定の商品やサービスを購入するのに使ったり、公に売り出したりできる(「VALU騒動でも注目された「ICO」とは何か?」を参照)。9月に韓国の金融委員会(FSC:Financial Services Commission)はICOに関する禁止令を出した。「暗号通貨は、金銭、通貨、金融商品のいずれでもありません」と金融委員会は当時、声明書の中で述べた。「韓国政府は、国は仮想通貨の固有の価値を保証しないという以前の姿勢を再確認しました」。
こうした動きは、デジタル通貨を扱い、ブロックチェーン技術で仕事をする国内のスタートアップ企業の妨げとなるかもしれない。韓国では、他の国々と同様に、こうしたスタートアップ企業は資金調達にICOを使ってきた。ICOの勧誘に事務処理はほとんど必要ない。起業家は銀行やベンチャー・キャピタル会社を頼るよりむしろ直接投資家から資金を求め、創設者による自社の完全な所有権の維持を可能にしている。政府のデータによれば、韓国のスタートアップ企業は9月だけでも、デジタル・トークンの販売によりおよそ8900万ドルを調達したとしている。FSCが禁止令を発表した9月下旬、韓国の20社のスタートアップ企業は、ICO …