生活保護制度の見直し「無料低額宿泊所」規制の強化の案

生活保護制度の見直し「無料低額宿泊所」規制の強化の案
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生活保護制度の見直しを議論している厚生労働省の専門家会議は、いわゆる貧困ビジネスに悪用されるケースがある「無料低額宿泊所」の規制の強化などを盛り込んだ報告書案をまとめました。
厚生労働省の専門家会議は生活保護制度の見直しを議論していて、11日の会議で報告書案が示されました。

この中で、生活保護の受給者などに無料または低料金で提供される宿泊施設、「無料低額宿泊所」に対する規制の強化が盛り込まれました。狭い部屋に住まわせて割高な利用料を取る「貧困ビジネス」に悪用されるケースが後を絶たないため、部屋の広さや防火設備、それに利用料金などに法的な基準を設け、違反した場合は自治体が改善命令を出せるようにします。

また、生活保護世帯の子どもが、経済的な理由で大学への進学をあきらめることがないよう、進学時に一時金を支給するなどの支援策も盛り込まれました。

厚生労働省は、制度の見直しに必要な法律の改正案をまとめたうえで、来年の通常国会に提出することにしています。また、生活保護のうち食費などに充てられる生活扶助の基準額についても見直しを進め、年内には結論をまとめたいとしています。

無料低額宿泊所の現状は

厚生労働省が2年前に行った調査では、無料低額宿泊所は全国に1700か所余りあり、およそ3万2000人が利用していました。

狭い部屋に住まわせて割高な利用料を取る、いわゆる「貧困ビジネス」に悪用されるケースがあることから、厚生労働省は、部屋の面積や防災設備、それにサービスに関する基準を設けていますが、法律に基づくものではなく強制力はありません。

このため、今回専門家会議がまとめた報告書案では、法律で基準を明確にし、自治体の指導などに法的な強制力を持たせるべきだとしています。一方で、無料低額宿泊所の中には良質なサービスを提供し、利用者の自立促進につながっている施設もあり、今回の報告書では、こうした優良な施設を評価し支援を拡充する案も盛り込まれています。

宿泊所にいた男性は

先月まで、都内にある無料低額宿泊所で生活していた66歳の男性は、狭い部屋をあてがわれ、サービスに見合わない利用料を徴収されたと訴えています。

もともと大工だった男性は、仕事を失って路上生活を送り、ことし10月に宿泊所の運営団体の関係者から「無料低額宿泊所に入ればすぐに生活保護を受けられる」と声をかけられたといいます。

男性は宿泊所に入って生活保護を受け始め、月12万円の保護費が支給されましたが、利用料や食費などの名目で9万円余りを徴収され、手元には3万円ほどしか残らなかったということです。

しかし、男性にあてがわれた部屋は6畳一間の真ん中をカーテンで仕切った3畳ほどのスペースしかなく、食事では缶詰や変色した米などが出されたということです。

男性は、毎月9万円を支払うほどのサービスではないと考えて、生活保護を放棄して宿泊所を逃げだし、現在はNPO法人が運営するシェルターで暮らしています。男性は「食事は出るがさまつなもので、プライバシーは全く守られず人が暮らす環境ではなかった。それでも毎月9万円取られ絶対におかしいと思う」と話していました。

ホームレスの人たちなどの支援活動を続け、無料低額宿泊所に詳しいNPO法人・「TENOHASI」の清野賢司代表理事は「ホームレスの人たちなどに『生活保護が受けられる』と声をかけて宿泊所に連れて行くケースが多いが、
あまりに劣悪な環境なため路上生活のほうがましだと考え逃げ出す人が後を絶たない。行政側はこうした宿泊所を厳しく規制し、空き家などを活用して当たり前の暮らしができる住居を確保してもらいたい」と話しています。

生活保護制度の見直し「無料低額宿泊所」規制の強化の案

生活保護制度の見直しを議論している厚生労働省の専門家会議は、いわゆる貧困ビジネスに悪用されるケースがある「無料低額宿泊所」の規制の強化などを盛り込んだ報告書案をまとめました。

厚生労働省の専門家会議は生活保護制度の見直しを議論していて、11日の会議で報告書案が示されました。

この中で、生活保護の受給者などに無料または低料金で提供される宿泊施設、「無料低額宿泊所」に対する規制の強化が盛り込まれました。狭い部屋に住まわせて割高な利用料を取る「貧困ビジネス」に悪用されるケースが後を絶たないため、部屋の広さや防火設備、それに利用料金などに法的な基準を設け、違反した場合は自治体が改善命令を出せるようにします。

また、生活保護世帯の子どもが、経済的な理由で大学への進学をあきらめることがないよう、進学時に一時金を支給するなどの支援策も盛り込まれました。

厚生労働省は、制度の見直しに必要な法律の改正案をまとめたうえで、来年の通常国会に提出することにしています。また、生活保護のうち食費などに充てられる生活扶助の基準額についても見直しを進め、年内には結論をまとめたいとしています。

無料低額宿泊所の現状は

厚生労働省が2年前に行った調査では、無料低額宿泊所は全国に1700か所余りあり、およそ3万2000人が利用していました。

狭い部屋に住まわせて割高な利用料を取る、いわゆる「貧困ビジネス」に悪用されるケースがあることから、厚生労働省は、部屋の面積や防災設備、それにサービスに関する基準を設けていますが、法律に基づくものではなく強制力はありません。

このため、今回専門家会議がまとめた報告書案では、法律で基準を明確にし、自治体の指導などに法的な強制力を持たせるべきだとしています。一方で、無料低額宿泊所の中には良質なサービスを提供し、利用者の自立促進につながっている施設もあり、今回の報告書では、こうした優良な施設を評価し支援を拡充する案も盛り込まれています。

宿泊所にいた男性は

先月まで、都内にある無料低額宿泊所で生活していた66歳の男性は、狭い部屋をあてがわれ、サービスに見合わない利用料を徴収されたと訴えています。

もともと大工だった男性は、仕事を失って路上生活を送り、ことし10月に宿泊所の運営団体の関係者から「無料低額宿泊所に入ればすぐに生活保護を受けられる」と声をかけられたといいます。

男性は宿泊所に入って生活保護を受け始め、月12万円の保護費が支給されましたが、利用料や食費などの名目で9万円余りを徴収され、手元には3万円ほどしか残らなかったということです。

しかし、男性にあてがわれた部屋は6畳一間の真ん中をカーテンで仕切った3畳ほどのスペースしかなく、食事では缶詰や変色した米などが出されたということです。

男性は、毎月9万円を支払うほどのサービスではないと考えて、生活保護を放棄して宿泊所を逃げだし、現在はNPO法人が運営するシェルターで暮らしています。男性は「食事は出るがさまつなもので、プライバシーは全く守られず人が暮らす環境ではなかった。それでも毎月9万円取られ絶対におかしいと思う」と話していました。

ホームレスの人たちなどの支援活動を続け、無料低額宿泊所に詳しいNPO法人・「TENOHASI」の清野賢司代表理事は「ホームレスの人たちなどに『生活保護が受けられる』と声をかけて宿泊所に連れて行くケースが多いが、
あまりに劣悪な環境なため路上生活のほうがましだと考え逃げ出す人が後を絶たない。行政側はこうした宿泊所を厳しく規制し、空き家などを活用して当たり前の暮らしができる住居を確保してもらいたい」と話しています。