システム担当ライブラリアンの日記

図書館システムやサービス系の話題を中心に

(2017.12.1) これからの学術情報システムに関する意見交換会 2017

2017-12-03 22:53:40 | イベント参加
京都会場(キャンパスプラザ京都)にて。

○雑感
Vol(とこれまで呼ばれたもの)の別書誌化云々は質疑白熱。気になる点ではある。
但し、どっちが好みとかの問題ではないだろう。見せ方、データ流通のためにどちらが適当かという観点が肝要かと。
好みの議論だと次世代になっていないopacと同じ轍を踏まないか。

以下、聞き取れた・メモできた範囲での記録です。

■要点 (2017.12.4. 追記)
○電子資料の普及
・金額ベースで半分以上が電子資料だが、NACSIS-CATは、紙資料ベース。
・人的コストを軽くしていきたい。減少していく人員で、紙資料と電子資料の管理を効率的に。

○電子リソースの共有管理
1)自機関の情報を他機関に共有
 -「ジャーナル」単位でリンク・リゾルバに登録される必要
 -ERDB-JP: 日本におけるOAジャーナルのタイトルや公開範囲、URLなどを集約。
  https://erdb-jp.nii.ac.jp/ja
2)他機関からの(総体としての)共有
 -紙資料を管理するように電子リソースの管理も
 -アーカイブ権など管理するための"電子リソース管理システム"
 -LSP(ライブラリー・サービス・プラットフォーム)の有用性を検証中

○NACSIS-CATの検討状況について
・CAT/ILL再構築の必要性
 外部サービスとの相互運用性の強化; 電子リソース対応のための資源確保; 書誌利用機能の強化

・書誌作成機能 ≠ 書誌利用機能
 -「名寄せ基準」作成予定
 -メディアの違いをどうするか、課題として認識
 
・運用ルールの変更
 -出版物理単位での書誌作成
  VOLグループの繰り返し禁止
  既存データには不適用。既存書誌データへの所蔵登録は可能。

 -事前登録書誌(外部MARCなどから)
 
 -レコード調整の廃止
  「修正作業の区分」の見直し
  「並立書誌データ」
  「重複書誌データ」(統合対象となる)

・並立書誌、どれに所蔵を付けるかのガイドライン的なものは?
 どれに付けてもよい。
 各機関で複本がある場合、所蔵が分かれないように運用することもあり。

・既存書誌が、VOL1~5の場合、新たに6が出た場合、どうなる?
 -既存基準で作られたものには、付けない(6は別とする)ことを想定。
 -CiNii Booksでどう見せるかは、未検討
 -VOLを検索対象にする予定。ローカルシステムについては、ベンダーと情報交換中。
 -pbk/hrdでISBNが違うものは、別書誌。名寄せはしない方向。

・現行の図書館システムで対応できることを想定

-----(以下、詳細)---------

■これからの学術情報システムの方向と課題(京都大学・米澤)

○説明会ではなく、意見交換会として

○電子資料の普及
・金額ベースで半分以上が電子資料。
・NACSIS-CATは、紙資料ベース。

○大学図書館における目録担当者数の推移
・人的コストを軽くしていきたい

○「これからの学術情報システム」委員会
・NIIと国公私協力委員会の協定
 →JUSTICE、JPCOAR、これからの学術情報システム委員会

・「これからの学術情報システムの在り方について」(2015)
 1) 統合的発見環境の提供
 2) メタデータの標準化
 3) 学術情報資源の確保

 「軽量化・合理化」

 1) 電子リソースデータ共有作業部会
 2) NACSIS-CAT検討作業部会

・方向と課題

■「電子リソースデータ共有作業部会」の取り組み~なぜ電子リソースの共有管理が必要なのか~(神戸大・末田)

○電子リソースデータ共有作業部会とは

○「共有」の二つの概念
1)他の機関へ
・電子資料の共同管理
・機関リポジトリに登録しても、AtoZやリゾルバに搭載されない。
 →リゾルバに「ジャーナル」のタイトルが登録されれば、アクセスできるようになる。
・ERDB-JP
 日本におけるOAジャーナルのタイトルや公開範囲、URLなどを集約したデータベース。
 管理システムではない。
 9月現在で、約15,000タイトル(大半がOAジャーナル)

 "Freely Accessible Japanese Titles"(リゾルバでのパッケージ名)

 パートナー60機関でメンテナンス。
 パートナーA:すべてのコンテンツ修正可能。パートナーB:自機関のデータのみ。

2)他の機関からの(での?)共有
・紙の資料を管理するように、電子リソースも
・例)キャンセル後のアーカイブ権の管理はできているか。


・提供条件の複雑さ

・ナレッジベースを適切に管理しない限り、行き届いたサービスにはならない。
・図書館にとって、
リスク管理にも(ライセンス管理、リソース管理)

・JUSTICE会員館限定サイト: タイトルリストのフォーマット不統一
 →例えば、電子リソース管理・共有システム

・電子リソースの管理基盤、ワークフロー構築
 →LSPの有用性を検証している
  クラウドサービスが基本。
  コンソーシアムの事例も。

■NACSIS-CATの検討状況について(京都大・大西)

○NACSIS-CAT検討作業部会とは
・軽量化・合理化

○CAT/ILL再構築の必要性
・外部サービスとの相互運用性の強化
・電子リソース対応のための資源確保
・書誌利用機能の強化

○外部サービスとの相互運用性の強化
・出版物理単位での書誌作成
 -VOLグループの繰り返し禁止
 -既存データには不適用。既存書誌データへの所蔵登録は可能。

・書誌構造リンクの見直し
 -親書誌リンク形成の任意化

→NCID、ISSNなど、IDによるデータ連携が可能に。

・書誌作成機能 ≠ 書誌利用機能

○電子リソース対応のための資源確保
・印刷体の管理コストを下げる

1)書誌作成作業
a)外部機関作成書誌データ(外部MARC)の活用
 ・直近5年間の書誌作成件数の内、約半数がISBNあり。

2)書誌管理作業
b)レコード調整の廃止
 ・「修正作業の区分」の見直し
 ・「並立書誌データ」
 ・「重複書誌データ」(統合対象となる)

○名寄せの仕組み
・「名寄せ基準」作成予定
・書誌利用機能の強化
 VOLフィールドを検索や絞り込みの対象に

○図書館システムへの影響と対応
・通信プロトコル: CATPを維持。スキーマバージョンは既存も維持。
・現行の図書館システムで対応できることを想定

○今後
・外部機関作成書誌データ: 所蔵がない書誌データの許容
・目録規則の移行(RDA、新NCR)
・運用基準(コーディングマニュアル等)の見直し
・入力のためのガイドライン
・研修体制

・CAT2020は通過点。今後に向けて考えていきましょう。

■質疑
○電子リソースの工程表などは?
・Alma の検証は今年度中に。

○並立書誌データ、名寄せの仕組み?
・事前登録書誌を投入することによって、現在で重複と言われるようなことを認めないといけないことになるかと思われる。
・精度について不安もあるかと思う。無制限に認めるわけではないが、少なくする方向で、検討していく。
・「ルールベース」となる。シミュレーション等をしながら検討していく。

○並立書誌、どれに所蔵を付けるかのガイドライン的なものは?
・事前質問等でもあった。どれに付けてもよい。
・ただ、検索結果の見せ方等の面で、所蔵データが多い方=信頼性が高い と見なされることも!?
・各機関で複本がある場合、所蔵が分かれないように運用することもあり得るか。

○ERDB-JP
・パートナー機関の刊行物。ERDB-JPスタートの時点で、他のDBから取り入れているものあり。
・ISSNのないもの。一部登録している。
・政府刊行物。入っているものもある。自機関以外のものを登録してもよい。

○名寄せ。所蔵データも移る? 所蔵データの付け替えなどが発生する?
・どちらの書誌からもどちらの所蔵も見えるなど、影響の少ない方向で検討している。

○NCID。新基準後の書誌は違う体系?
・いずれ枯渇するので、新基準適用時に変えるのも一案で検討中。

○RDA、新NCRを適用する場合、名寄せ基準にも影響?
・もろもろ検討中

○コーディングマニュアル等の見直しは来年度?
・まずは、ガイドライン整備。
・膨大な量。現在の作業部会だけでは、きびしい。部会以外からメンバーを募ることも!?

○事前登録書誌は、(サブタイトルの抜けや、前付けページの抜けなどノーチェックで)そのまま登録? 所蔵登録時、書誌を修正?
・参照MARCはこれまで通り残る。
・何らかの条件で事前登録される。

○書誌構造リンク
・PTBLフィールでに記述するだけ。


・現在は(当面)フィールドの追加はないように考えている。
・フィールドが増えると、CATPのスキーマバージョンが上がることになるが、既存のものが使えなくなるわけではない。
・システムベンダーとの話し合いの中で、小規模な(追加費用のない、保守の範囲の)改修で済むように考えている。

○「その他メタデータ」とは? (米澤資料、22ページ)
・例えば、国文研、biafなど、いろいろあるというイメージで。

○事前登録書誌、電子書籍は対象に?
 本学では、電子ブックも図書館システムに登録している。
・冊子体を中心として考えているが、電子ブックのVOLが付いている外部データもある。
・わざわざ電子を除外するか未検討。

・京大でもOPACに電子ブックを登録。OPACとCiNii Books が違うという状況が既にある。

○OPACでの見え方と、CiNii Books での見え方。
・基本的に所蔵登録したものを使用する。見え方が違ってくることになるか。
・CiNii Books でローカル所蔵も確認できればと。

○図書と雑誌だけでなく、他のメディア(CDなど?)の名寄せを検討しているか。
・現在は、学術書の図書を中心に検討。まだ不十分な段階。これの優先度を上げている。
・雑誌は、今のまま。
・他のメディアは、課題として内部で共有したい。

○多言語の事前登録書誌。MARCだと元の綴りで記述されていないもの。登録時に修正する?
・言語によって、事前登録するかどうか決めた方がよいという意見も部会であり。
 (国外のMARCで、日本語のローマ字書誌は除外するなど)

○固有のタイトルの基準。NC、TRC等で違うが。
・取込時の現状のマッピングを見直すことになるだろう。
・固有のタイトルが異なる場合、新規書誌を作ってよいか、まさに検討中。

○既存書誌が、VOL1~5の場合、新たに6が出た場合、どうなる?
・いずれ分けないといけない。
・既存基準で作られたものには、付けない(6は別とする)ことを想定。

→VOL1~5もばらしたい事情がでてきたら?
・VOLを分けた書誌をNIIから(別途ローカル用に)提供することを検討中。

→1~5、6が別書誌IDとなったら、CiNii Books では、どう見えるか。
 OPACでは?
・CiNii Booksでどう見せるかは、未検討。
・OPACでは、各システムによるか。見せ方を検討する必要??

→1~5と6を、並列書誌として見せることは?


→名寄せ「申請」のようなフローは?
・1~5と6は、別書誌なので「名寄せ」ではない。


→VOLを検索対象とのこと。CATでも? ローカルは? 何か情報があれば。
・CATでもできるはず。
・ローカル、情報交換している。

→pbk・hrdでISBNが違うものは?
・別書誌。名寄せはしない方向。

○VOLでまとまっている見やすさを考慮して、例えば、ISBNで検索して、上下セットの2件がヒットした際に、それぞれに検索用のリンク表示とか?
・検討したい。

→書誌構造リンクがなくても、同じシリーズを再度検索しなくて済むことも?
・検討したい。

→PTBL。シリーズ典拠にする考えは?
・検討したい。

○ガイドライン、いつ頃公表?
・周知期間はある形で進めたい。

○アジア資料、参照MARCを増やす考えは?
・CAT2020の時点では考えていない。

○CATの書誌データを海外に提供する考えは?
・書誌、著者名典拠、参加館は、xmlで公開している。
・OCLCのviaf は使っている。

○電子リソース管理システム。システム内で情報登録か、APIでリゾルバ表示か。
・現時点では、LSPに情報を入力している段階。API連携を考慮していないわけではない。

○ライセンスの管理。
・過去のメール、過去のファイルを探すのではなく、管理システムで効率的に。

○意見交換会での質疑や、検討するとしたことを事後公開も。
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