18年大統領選への主要野党候補を除外=ベネズエラ大統領
ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領は10日、同日実施された地方選挙をボイコットした主要野党を来年予定される大統領選に参加させないと語った。
マドゥーロ大統領は、「きょう参加せず選挙のボイコットを呼びかけた党はもう参加できない」とし、主要野党は「政治の地図から消え去った」と述べた。
野党の正義第一党と「ボルンター・ポプラル(人民の意志)」、民主行動党の指導者たちは今年10月、公正な選挙制度でないとして10日の地方選のボイコットを呼びかけた。
マドゥーロ大統領は、同国の制度は完全に信頼できると主張している。
主要野党の指導者らは、マドゥーロ大統領の独裁体制を強める目的の選挙だと批判していた。
ベネズエラは生活必需品の不足や高インフレ率など深刻化する経済危機に直面しているものの、地方選ではマドゥーロ氏率いる統一社会党が最も多くの票を獲得する見通し。
ベネズエラは南米大陸の北部に位置し、人口は3000万人余り。世界有数の石油埋蔵量があるほか、石炭や鉄鉱石の豊富な資源を持つ。
天然資源が豊富にあるにもかかわらず、多くのベネズエラ国民は貧困に苦しむ。このため、マドゥーロ大統領の前任者、故ウゴ・チャベス氏は政権にあった14年間、貧困層の擁護者として自らのイメージを作り上げた。
現在のベネズエラは、マドゥーロ氏を支持する人々と、18年にわたる統一社会党政権の打倒を求める人々の間で二分されている。
マドゥーロ氏の支持者たちは統一社会党が多くの人の貧困脱出を助けたと主張する一方、批判する人々は同党がベネズエラの民主主義制度を弱体化し、経済運営を誤ったと主張している。
<解説>マドゥーロ氏の分断による統治――ケイティ・ワトソン記者、BBCニュース(ベネズエラ・バルキシメト)
マドゥーロ氏の今回の宣言には野党を挑発する目的がある。マドゥーロ氏がその正当性の根拠を、野党が非民主的だとして認めていない制憲議会が定めた条件に求めたのだからなおさらだ。
経済危機が深刻化するなかマドゥーロ氏の人気は下降している。批判を受けたマドゥーロ氏の戦略は「分断による統治」で、野党の脅威を弱める方策を見つけ出そうとするものだ。
彼はそれに成功している。最も人気のある野党指導者については、レオポルド・ロペス氏といった人々を投獄し、エンリケ・カプリレス氏のような人物の立候補を妨げた。そして今回、最も影響力のある野党という脅威に対しては、選挙への参加を禁じた。野党は危機的状況にあり、マドゥーロ氏はこの状況に大満足のはずだ。
(英語記事 Venezuela opposition banned from running in 2018 election)