私は40代、地方の小さな会社でシステムエンジニアをしている。
小学生の頃にあった第一次パソコンブームに引っかかってたおかげで、
プログラムはまぁまぁできたのが強かった。
とはいえ、ニッチな領域に食い込んでいるおかげでなんとか生きながらえている程度の会社である。
社員数は20名もいない状態だから、部長といっても名ばかりで年齢相応の肩書きが付いただけだ。
妻のたっての希望で35年ローンでマイホームを購入したはいいものの、
子供が大学に進学するとなったら、学資保険のためのローンが必要だろう。
残業していた時間と休日をコンビニのバイトに充てることにした。
フリーターをやっているという20歳の軽そうだがイケメンの男の子だった。
バイト先のイケメンは優しく根気良く一緒に仕事をしてくれていた。
レジだけでなく、品出し、掃除があるぐらいまでは想定内だった。
(品出しにはテクニックがあるのだというのは、
何が入っているのか知らないが、
虚無でも詰まっているのだろうかと思ったものだ。
家に帰れば、ビールを飲みながらアマゾンプライムビデオを見る日々となった。
だんだん会社でもコンビニでもイライラしている時間が多くなっていった。
そんなのとき、気にして声を掛けてくれたのもイケメンバイトだった。
「フルタイムの仕事してコンビニのバイトまでなんて、俺なら耐えられないッスよ」
「最近イライラしてるみたいですけど、ストレス溜まってるんじゃないッスか?」
「これ、すごいッスよ」
気遣いのできるイケメン…彼が教えてくれたのは、ストロング・ゼロ。
これは本当に凄かった。
飲んでいる間はストレスが消えていくのだ。
まあ、他の大抵のものも一緒に消えていくのだが。
ビールだった晩酌がストロング・ゼロに切り替わったのは必然だった。
酒量も増えていった。
俺には何もない。
つまり何でも持っているということだ。
俺は宇宙だ。