今年も残りわずかとなってきました。
「私が今年購入した絵本」を紹介するのは今年で4年目になります。毎年、素敵な絵本がたくさん発売されるのでとてもじゃないけど全部のチェックはできませんが、手元にあるのはどれも私が気に入ってる絵本です。1年を通してみると、もう少し絵本を購入しているのですが、収拾がつかなくなるため例年通り今年発売された絵本に限って紹介します。
『きょうはパーティーのひ』
(樋勝朋巳 /福音館書店)
「きょうはマラカスのひ」「フワフワさんはけいとやさん」に続く3作目。パンやのクネクネさんはブティックシマさんからお店の7周年記念パーティーに招待されます。
パーティー当日、クネクネさんはパンを焼いてパーティーへ向かうのですが、たどりつくまでに色んなハプニングに巻き込まれていくのです……。樋勝さんが描かれるクネクネさんやお友達は表情がユーモラスで見ているだけでもクスッと笑ってしまいます。みんなオシャレでお洋服の色が彩り豊かなのも見逃してはいけません。楽しき仲間たちと楽しいひと時を過ごす読んでいて気持ちの良い絵本です。
『フワフワ』
(おおなり修司/文・高畠那生/絵 /絵本館)
擬音だけで構成された絵本なのですが、おおなり修司さんと高畠那生さんの組み合わせだけあって期待を裏切らず、疾走感があってめちゃくちゃ面白いです!笑いたい人は読んだらいいと思います。フワフワしただちょうの毛からスタートして着地点がどうなるか楽しみに読んでください!
こちらは感想を書いています。 bambi-eco1020.hatenablog.com
『マスターさんとどうぶつえん』
(アーノルド・ローベル/こみやゆう・訳 /好学社)
「ふたりはともだち」や「どろんここぶた」で知られているアーノルド・ローベルのデビュー作がこみやゆうさんの訳で今年出版されました。アーノルド・ローベルは虫や動物をとっても可愛らしく描く方と元々思っていましたが、こちらは輪をかけて可愛らしい動物が登場します。動物好きのマスターさんはいつも動物園に通っているんですが、ある日、動物たちが園を抜け出してマスターさんの家に遊びに来てしまうのです。マスターさんも動物も終始にこにこ顔で描かれているのでほのぼのした気分で読み終わることができます。
岩波書店から出版されている「どうぶつえんのピクニック」も合わせてどうぞ。
『ほしじいたけほしばあたけ カエンタケにごようじん』
(石川基子 /講談社)
「ほしじいたけほしばあたけ」シリーズの3作目です。
森の中で横柄な態度を取っているカエンタケをほしじいたけとほしばあたけが成敗する勧善懲悪なストーリーがわかりやすくて胸がスッキリします。
今年はカエンタケが多く、きのこ狩りの際にも触れないでとニュースでやっていたくらいなので、内容的にもとてもタイムリーだと思いました。個人的にはひかるきのこが登場するので毎年ヤコウタケを栽培している私はテンションが上がりました。安定して面白いのでどなたにでもおすすめできます。
『ホンシメジ先生となぞのテングバナキン』
(コマヤスカン /PHP研究所)
きのこ好きなので、きのこ絵本をついつい購入してしまいます。
ベニテングが悪者でそれをやっつける勧善懲悪ものです。
コマヤさんは「新幹線のたび」でもわかるように緻密な絵が特徴なのですが、ただ緻密なだけではなく、ぶっとんだユーモアセンスをお持ちの方でこちらもきのこや虫が可愛い?(ちょっと気持ちわるい?)ぐらいに描かれていてとっても面白いです。最初のページに出てくるナメコくんがすでにキモカワで最初から笑ってしまいました。ギャグ絵本という感じかも知れません。
きのこの特徴はよく捉えられているのでじっくり読むのも面白いですよ。
新幹線のたび ~はやぶさ・のぞみ・さくらで日本縦断~ (講談社の創作絵本)
- 作者: コマヤスカン
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/03/19
- メディア: ハードカバー
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『だいぶつさまのうんどうかい』
(苅田澄子・文/中川学・絵 /アリス館)
今年読んだ絵本の中で一番「目の付け所が素晴らしい!」と思った絵本が「だいぶつさまのうんどうかい」です。
ほとけさまの運動会が開かれて、だいぶつさまも参加するのですが体が大きいため失敗ばかり…さてさてどうなるのか?といった内容です。仏様って名前も難しいし、ちょっととっつきにくいところがあるかな?と思ったのですが全然そんなことなくて、むしろ特徴を生かして各々活躍するのが面白いです。中川さんが描く仏様の絵も躍動感があって非常に良かったです。好きです、この絵本!
しかも「もっとしりたいほとけさまブック」までついていて、興味もわいて…なんだこの絵本、すごいじゃない!
『宮沢賢治の鳥』
宮沢賢治の物語に出てくる「鳥」に着目した絵本です。
国松さんが野鳥の会会員であることからも、鳥についての記述が非常に面白く、また舘野さんのイラストも美しいので眺めているだけでも飽きません。
なんで今年の絵本としてこれが話題にのぼらないのだろうと不思議に思うくらいです。
こちらは感想を書いています。
『おしりたんてい かいとうVSたんてい』
『おしりたんてい いせきからのSOS』
(トロル /ポプラ社)
おしりたんてい いせきからのSOS (おしりたんていファイル)
- 作者: トロル
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2017/08/03
- メディア: 単行本
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大人気おしりたんていシリーズから今年は2冊発売されました。画像には載せていませんが、ゾロリシリーズも毎回購入しているんですけど、ポプラ社さんは人気作品は年2回発売にしていらっしゃるのかしら?絵探し、迷路、クイズ、鏡文字などストーリーの中に様々な遊び要素が入っているので、本が苦手な子でも楽しく読めるのがおしりたんていの魅力だとあらためて思いました。
『よるのおと』
「古池や 蛙飛びこむ 水の音」
たむらしげるさんは9歳の時にこの句を知り、自分がすばらしい宇宙に存在する不思議に気がつきました。その気持ちは今も広がり続けているようです。「よるのおと」は池のほとりを歩いている男の子がおじいさんの家につくまでのほんの数十秒を描いています。短い時間でありながら、自然や動物の息遣いが聞こえ、世界の広さを感じさせられます。穏やかな気持ちになれる素敵な絵本。大好きです。
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『「いる」じゃん』
(くどうなおこ/作・松本大洋/絵 /スイッチパブリッシング)
母であるくどうなおこさんの詩に子である松本大洋さんが絵を描いた絵本です。くどうなおこさんの言葉のチョイスが心地よく、静けさの中に強さが感じられるお話です。寂しくなったとき、ひとりぼっちの気がしたとき、いつもそばに「いるじゃん」。
太陽にウッスと挨拶して今日も頑張ろうと思えます。
『夏がきた』
(羽尻利門 /あすなろ書房)
毎年夏になると様々な夏の絵本が発売されますが一昔前の田舎の夏をここまで表現した絵本はなかなかないと思います。
読んでいると、じりじりした太陽の光とむわっとした空気、セミの声まで聞こえてきてしまいそうなのです。誰もが子どもの頃に味わったような夏のある日を思い出してみませんか。
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『サンカクさん』
(マック・バーネット・文/ジョン・クラッセン/絵長谷川義史/訳 /クレヨンハウス)
ぼうしシリーズでおなじみのジョン・クラッセンがマック・バーネットの文に絵を描き、長谷川さんが大阪弁で訳をしているこちらの絵本、登場人物はサンカクさんとシカクさんのみ。サンカクさんがシカクさんの家にわるさをしに行き、怒ったシカクさんが今度はサンカクさんを追いかける……。大阪弁のテンポで話は進んで行き、途中、言葉のない「間」まできっちりある絵本なんてそうそうない気がします。面白いのです。
今後、続刊が予定されているようなので目が離せないです。
『おなみだぽいぽい』
(ごとうみづき /ミシマ社)
ごとうみづきさんの絵本デビュー作。個人的には今年一番と言っていいくらい衝撃を受けた絵本です。独特なタッチの絵、三原色を崩さない色使い、強く晴れやかな気持ちになれる文章、すべてが私好みでした。泣きたくなる日にだって明日はやってくるのです。
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『まっくらやみのまっくろ』
自分が何者かわからないまっくろのお話です。ミロコさんの絵はダイナミックで「強い!」といつも思うのですが、「まっくらやみのまっくろ」は本当に絵の強さがガシガシ響いてきます。まっくろがどう変わっていくのか、最後まで見届けてください。もしかしたらまっくろはいつも迷っている私の中にもいるかのかもしれないと思いました。
『こねてのばして』
ここ数年、ヨシタケシンスケさんは爆発的人気で刊行ペースも早いため、しばらく購入をしていなかったのですが「こねてのばして」はあまりの可愛さに購入しました。良い意味で力が抜けていて、頭を使わなくてもクスクス笑える絵本の存在は貴重だと思います。ヨシタケさんはこどもだったらこう考えるんちゃうかな?と思うものを描くのが上手すぎ。疲れた時に開くと安らげるかも。
『うーん、うん』
(tupera tupera /青幻舎)
Eテレの工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションを担当されていることでも有名なtuperatuperaさんのパラパラ絵本です。パラパラ絵本なので、パラパラめくりながら動いていく絵を楽しむんですけど、これが非常にナンセンスでぜひ読んでもらいたい!パラパラしてもらいたい!と思ってしまいました。だってね、1ページめくったところからインパクト大なんですよ。大人も子供も思わず笑ってしまう、楽しくなれる絵本です。
「こーい、こい」と同時発売でした。
『こまったこぐま こまったりす』
1980年代に出版された絵本の新装版です。
道がわからなくなりこまっているこぐまが歩いていると、のどが渇いているのに水飲み場が見つからないこまったこりすに会いました。こまったこぐまはこまったこりすを自分の頭に乗せてあげ「一緒に探そうよ」と声をかけます。ページをめくるごとにこまった動物が現れるのですが、自分もこまっているにも関わらず、優しく声をかける動物が素敵です。「みんなで助け合おう」という絵本だとは思いますが、優しいタッチの絵でそこまで教訓くさくないのが良い感じです。かこさんのあとがきも素敵なのでぜひ手に取ってもらいたいです。
『ぬすまれた月』
1960年代、一流の漫画家、イラストレーターが絵とお話の両方を手がけたことで話題をよんだ絵本シリーズ「ポニーブックス」の復刻版です。厚みのあるしっかりとした作りで紙の質を感じながら読む、ちょっと大人な絵本です。
月を盗まれた男の話なのですが、科学的要素も社会的要素も含んでおり、大人も子供も楽しめる絵本に仕上がっています。
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振り返ってみると、今年もたくさんの絵本を読みました。
紹介している絵本をよく見て頂くとわかると思うのですが、岩崎書店が2冊ある以外はすべて違う出版社から発売された絵本を購入していました。特に意識せず好きな絵本を買っただけなのですがまとめている時に「あれ?」と気づきました。
きっとどの出版社さんも試行錯誤されて良い絵本を世に出したいと思われているからなのでしょう。
来年も絵本を読み続けますのでぜひ素敵な絵本を出版して下さい!