NTTドコモは、実証実験中の第5世代移動通信方式(5G)技術を使って、アニメ『ソードアート・オンライン』の世界を再現したVR(仮想現実)ゲームを公開した。東京スカイツリータウン(東京都墨田区)にあるイベント会場「5Gトライアルサイト」で、12月8~10日の3日間、事前募集で当選した300人が体験できた。記者も実際に体験してきた。
「ソードアート・オンライン レプリケーション」は、ドコモとバンダイナムコエンターテインメントが共同で開発した4人用のVRゲーム。プレイヤーはVR HMD(ヘッドマウントディスプレイ)の「HTC Vive」を装着し、両手に持った専用コントローラーで剣を振ったり、盾でガードしたりして他のプレーヤーと協力しながら遊べる。アトラクションの体験時間は15分ほど。3日間で300人の枠に対し、1万4604件の応募があったという。
ゲームが始まると、3Dキャラクターとして登場する主人公のキリトやアスナ、オリジナルキャラクターのミストとの会話パートが進行し、共にボスモンスターを倒しに行くストーリーが展開。メインとなる戦闘シーンでは、剣を振る前の“ため”動作によってソードスキルを発動させて攻撃したり、盾で攻撃を回避したりしながらボスモンスターを倒すことを目指す。
大きなボスモンスターが目の前を動き回るシーンは迫力満点。途中、仲間が死亡するシーンの絶望感もかなりのものだった。VRを存分に堪能するコンテンツとして、これほどまでに適したタイトルはそうそう無いだろう。
同ゲームは、9月の東京ゲームショウ2017で開発が表明されていた。ドコモが2020年に実用化を目指す5Gは高速、大容量、低遅延という特徴を持ち、現行の4Gに比べて約10倍高速になる。一般に5Gの特徴を分かりやすく伝えるため、ドコモはVRゲームに着目。「VRといえば、ソードアート・オンラインだろう」(同社)と、バンダイナムコとの共同プロジェクトがスタートしたという。
5Gの技術が生かされているのは、4人マルチプレイの実装部分だ。プレイヤーそれぞれが遠隔地にいると想定した4台のクライアントPCから、マルチプレイヤー用の同期サーバにデータを送り、同期させたデータを送り返す処理を5Gで行っているという。
一緒にプレイしていた他のプレーヤーも自身の横に登場し、戦闘中の動きがリアルタイムに反映される。次世代の通信技術が実用化すれば、データ量が大きいオンラインVRゲームでも、アクション性の高いゲームが期待できる。
ドコモは、HTC Vive(高性能VR機器)が無くても、5Gの技術とモバイルVR機器を組み合わせ、いつでもどこでも高品質なゲームが楽しめる環境を整えたい考えだ。
次世代技術をアピールするために、企業がVRゲームを題材にしたソードアート・オンラインとコラボするのはこれが初めてではない。16年3月には日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)が、コグニティブコンピューティングと呼ぶAI(人工知能)技術やクラウド技術の要素を取り入れたVRコンテンツを公開し、作品のファンだけでなく技術者やギークにも話題を呼んだ。
ドコモの森永宏二課長(コンシューマビジネス推進部 デジタルコンテンツサービス ゲームビジネス担当)は今回のコラボについて次のように話す。
「ストーリーを重視し、ゲームとして体感いただくことを目指した。(IBMは)ソードアート・オンラインとのコラボによってクラウド技術をPRされていたが、われわれは線(通信)の部分をPRする狙い。アプローチとしては近い」
今回のVRゲームはこのイベントだけの限定公開だが、ユーザーから要望があれば次の展開も検討していきたいという。
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