日本は「社会人の学び直し」に冷たすぎる

社会人が大学院に入っても転職もままならず

日本の職場では、学び直しの機会を得ることが難しい(写真:Greyscale / PIXTA)

大企業の本社で19時になると照明が一気に消え、管理職は部下の勤務時間を緻密にマネジメントする――。そんな光景が当たり前になりつつあります。職場のワークスタイルを大きく変えるきっかけとなった「働き方改革」。長時間労働が当たり前のようになっていた働き方の慣習に楔を打ち込みました。

ただし、本来の目的は勤務時間の削減ではなく、生産性の向上。道半ばであり、来年以降も会社の重要な取り組みとして高い注目度が続きそうです。

そんな働き方改革とあわせて話題になることが増えてきた取り組みがあります。それが「人づくり革命」。ニュース記事や経済関連のコメントでも頻繁に登場するようになりました。重要な政策として日本政府が関連予算を大きくつけたことも背景にあるかもしれません。

日本ではリカレント教育が定着していない

この連載の一覧はこちら

人づくり革命は、質の高い教育を受けやすくすることで、人の能力を高める取り組み。子どもに対する教育費用の無償化などに加えて、社会人には学び直し=リカレント教育の充実を打ち出しています。今回はリカレント教育に関する日本の会社の取り組みについて考えてみたいと思います。

リカレント教育は、経済協力開発機構(OECD)が1970年代に提唱した生涯教育の一形態です。義務教育~大学を卒業して社会人になってからも、必要に応じて教育機関に戻り、繰り返し再教育を受けられる、循環・反復型の教育システムを指します。

リカレント(recurrent)は、反復・循環・回帰の意味で、日本語では回帰教育、循環教育と訳されます。社会人になってからも絶えず変化する環境に「適応」して「キャリア」を確保するため、学びの機会が提供される状態を目指します。

次ページ日本の職場の傾向
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

  • NO NAME1d29b0007607
    ひと度、仕事の路線を踏み外した若者に対しても冷酷すぎる現状

    可哀想に契約、派遣に就かなくてはならない同年代をしり目に、仕事の出来ないバブル層以上の老害が蔓延している
    up55
    down0
    2017/12/11 08:40
  • NO NAME3f6164d3c9c5
    日本では、低賃金もしくはサビ残でも文句を垂れずに働く人間か必要とされる。余計な知恵をつけられては困ると考える経営層が多いのではないか。
    up45
    down0
    2017/12/11 08:28
  • NO NAME662799f6cb71
    日本企業はいくら能書き垂れても身内感覚の奴隷を欲しがっているだけだからな。
    up36
    down1
    2017/12/11 08:28
  • すべてのコメントを読む
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
サウジで要人大量逮捕<br>背景に皇太子の危機感

日本の最大の原油輸入相手国、サウジアラビアで政変が起きた。現国王の息子であるムハンマド皇太子が主導し、王族や実業家などを含む200人以上の要人を逮捕。日本への影響は?