さりげなく好感を得られる正しいスーツ選びと着こなしのシンプルな20のルール
私たちは、無意識のうちに相手の見た目から「この人は信頼できそうだ」あるいは「この人は頼りないな」ということを一瞬で判断します。
せっかくスーツを着るのであれば、清潔感があって好感をもたれるスーツスタイルであった方が仕事もスムーズに運ぶことでしょう。そう考えるとスーツスタイルは、ファッションという枠ではなく、ビジネスの場面で信頼を獲得するためのツールだと言えます。実際に、スーツスタイルを変えただけで業績が上がったという方も数多くいらっしゃいます。
そうは言われてもファッション誌などを見ても、「自分にはできないな」と諦めてきた方も多いのではないでしょうか?
それもそのはずで、私たちが求めているのは、おしゃれ上級者になることではなくて、「さりげない好感と清潔感」のあるスーツスタイルだと思います。それであればスーツ選びの基本的なルールさえ掴んでおけば実現することは難しくありません。
お金の面でも、私もよく使うスーツカンパニーならスーツからシャツ、ネクタイ、革靴など全て合わせても一式5~6万円程度で揃えることができます。
そこで、このページでは、
- スーツの選ぶときの6つのルール
- シャツの選ぶときの6つのルール
- ネクタイを選ぶときの3つのルール
- 革靴を選ぶときの5つのルール
の合計20個のルールを全て誰にでも実践できるように解説しています。
また価格帯ごとにおすすめのお店も一緒に紹介しているので、お店選びで失敗することも減るでしょう。
このルール通りに実践して頂ければ、今まで、ファッションに苦手意識があった方でも、清潔感があり好感を得られるスーツスタイルに近づくことができます。そのために必要な知識を、ぜひこのページで身につけてくださいね。
スタイリスト。日本最大級のファッション学習サイト「メンズファッションスクール」主宰。これまでに著書は5冊出版。累計8万部を突破。読売新聞、朝日新聞、NHK、TBS、テレビ朝日、フジテレビなどメディア出演も多数。
この専門家の他の記事を見る目次 [非表示にする]
はじめに: スーツスタイルの基礎知識
スーツスタイルには、これまでに積み上げられてきた歴史があり、一定のルールがあります。そのため「おしゃれをする」以前に、スーツの着こなしのルールに基づいて、個性を出さずに「普通に着る」だけで十分に素敵になります。
スーツスタイルを構成する要素は5つです。
- スーツ
- シャツ
- ネクタイ
- 革靴
- 小物(ベルト・ポケットチーフ)
それぞれに選び方のルールがあり、スーツスタイルはこれらの構成要素の掛け算で成立します。アイテムごとに行くべきお店や価格帯など選び方のルールがあります。ルールについては、この後、一つずつ詳しく解説していきたいと思います。
その前に、ルールに基づいて「普通にスーツを着る」とどうなるのかをご紹介します。
スーツのシンプルな着こなし事例①
ファッション誌に出るような「おしゃれ上級者」というよりは、さりげなく好感を持ってもらえるようなシンプルで清潔感のあるスーツスタイルです。普通のスーツやアイテムを、丁寧に着ているだけで十分に素敵に見えると思います。
これは、
- チャコールグレーのストライプスーツ(エディフィス)
- 淡いブルーの無地シャツ(ユナイテッドアローズ)
- ネイビー無地のネクタイ(ビームスF)
- チーフ(ビームスF)
を合わせています。アイテムは全て「ルール」に基づいて選んでいるものです。
スーツカンパニーを利用すれば、より安価で全く同じスタイルを作ることができます。お店選びについても、後ほど説明しますね。
ポイントとしては、ストライプのスーツはそれだけで一定のインパクトがありますので、シャツとネクタイはシンプルな無地で合わせます。無地と柄物のアイテムの比率ですが、原則は「無地:柄=2:1」です。これさえ意識すれば、スーツスタイルは失敗しません。
スーツの袖の長さやパンツの丈など、細部までしっかりと数字にこだわることも大切です。店員さんとこまめに相談しながら、ぜひこぎれいなスーツスタイルを目指してみてください。
スーツのシンプルな着こなし事例②
次に、シーズンが違いますが、春夏に軽やかさを出すならこうした着こなしができます。それぞれアイテムは以下の通りです。
- ネイビー無地のスーツ(ビームスF)
- 白無地のシャツ(ユナイテッドアローズ)
- ボーダーのネクタイ(フィオリオ)
- チーフ(ビームスF)
もちろん、これも「ルール」にのっとって選んでいます。
ネイビースーツと白シャツが両方無地なので、ネクタイは少し遊び心のあるニットタイを差し込むことで、ほんのりカジュアル感が漂う着こなしになります。ニットタイを使う時には、白無地のポケットチーフを挿してみるとより素敵です。
ちなみにニットタイであっても、頑張ってディンプルを入れるように意識しましょう。あるとないとではネクタイの立体感が大きく変わります。こちらのニットタイはユナイテッドアローズで購入したフィオリオというブランドのものです。
セレクトショップで購入するのも良いですが、スーツカンパニーには5,000円未満で雰囲気のいいニットタイが並んでいますので、こちらもぜひチェックしてみてください。
誰でもスーツを素敵に着こなすためのシンプルなルール
いかがでしたか?
「上級者のおしゃれ」というものではないですが、さり気なく好感をもってもらえるような清潔感のある自然体のスタイルだと感じて頂けていたらとても嬉しいです。
おしゃれ過ぎることは、かえってマイナスに働くこともあります。すごくおしゃれな人ってちょっと話しかけにくく感じる方もいますよね。また女性の意見を聞くと、おしゃれ過ぎる男性の好感度は決して高くない場合もあるようです。
キザに見えるし、隣を歩くのがかえって恥ずかしいというのです。
”男性のスーツスタイルは清潔感があってシンプルがいい”
これが理想のスーツスタイル像です。雑誌に載っているようなセンス抜群のファッションは実生活ではそれほど必要ではありません。
そうだとしたら、好感と清潔感のあるスーツスタイルを実現するために必要な知識はそんなに多くありません。
- スーツの選ぶときの6つのルール
- シャツの選ぶときの6つのルール
- ネクタイを選ぶときの3つのルール
- 革靴を選ぶときの5つのルール
- ベルトやチーフなどの小物選びのルール1つずつ
まとめてみると、これだけでした。これから、それぞれ分かりやすく解説させて頂きますね。全て誰にでも実践できるようなシンプルなルールです。
また1年で服に何十万円もかけられる人はごく少数だと思います。そこまでお金をかけなくてもおしゃれなスーツスタイルを実現する方法はあります。そこで、それぞれのアイテムごとに低価格帯から高価格帯まで、おすすめのお店も紹介しています。
それでは早速始めていきたいと思います。
1. スーツ選びの6つのルール
スーツスタイルの主役はなんと言ってもスーツです。ところが、スーツを買いに行くとたくさんのスーツが並んでいるため、「どれを選べばいいのか分からない」と混乱してしまいますよね。
でも安心してください。
スーツは選ぶべきポイントが限られています。その基本的な選び方さえ理解しておけば、外してしまうことはありません。先にルールを列挙しておきます。
- スーツは現在のトレンドに沿ったお店で買う。
- スーツは3年(最長5年)で買い換える。
- 色は目のネイビーと目のグレーを選ぶ。
- 柄は無地か1cm幅のストライプを選ぶ。
- ジャケットの着丈と袖丈は必要に応じてお直ししてもらう。
- スラックスの裾丈は必ずお直ししてもらう。
たったこれだけです。これだけ守ってもらえれば、スーツ姿がグッと引き締まります。
それぞれ解説していきますね。
1.1. トレンドに沿ったお店で買う【価格別おすすめ店】
まず、予算ごとのおすすめショップをまとめてみましたので参考にしてみてください。
3万円 | スーツカンパニー |
4万円 | ユナイテッドアローズグリーンレーベル |
5万円 | ユニバーサルランゲージ |
8万円 | ユナイテッドアローズ・トゥモローランド |
10万円 | バーニーズニューヨーク・ビームス |
13万円 | ラルディーニ・タリアトーレ |
ここであげているお店は、日本人の体型に合った最新のスーツトレンドを取り入れているので、シルエットで失敗することはなくなります。
ちなみに、5万円以上のスーツになると素材に上品な雰囲気が漂いますし、仕立てもきれいになります。しかし最初のうちは、そうした小さな差を感じ取ることはできないと思いますのでスーツカンパニーで十分です。
細かな違いが分かるようになったり、金銭的に余裕が出てきたり、生地や縫製にこだわりが出てきたりしたら、少しずつ価格帯を上げていくと良いでしょう。
オーダースーツは必ずしも良いというわけではない
なお「スーツはオーダーが一番だ」と思われている方はとても多くいますが、これは誤解です。体型の問題で、オーダースーツでなければいけない場合を除いては、店頭での購入をおすすめします。
上記のお店なら、店員さんがしっかりと採寸してくれますし、身幅や袖丈、パンツのウエスト周りなど、細かく調整することができます。そのため、仕上がりはセミオーダーとほとんど変わりません。
また、一番の問題は、同じ5万円のスーツだと、既成品とオーダー品では生地のレベルが大きく異なるという点にあります。上記のお店は、スーツを作る際に、大量に生地を仕入れることができます。大量に仕入れるほど割引がききますので、同じ価格帯の場合、オーダースーツ店より良い生地を使うことができます。
オーダーは数が多く作れないため生地のグレードが下がってしまいます。
さらにオーダースーツのお店は、現在のトレンドに沿っていないところも少なくありません。特に昔からあるような街のオーダースーツショップの場合、スーツの型が古く、野暮ったい雰囲気になりがちです。
1.2. スーツは3年(最長5年)で買い換える
スーツは私服と違って、デザインの変化がほとんどないと思っていませんか?実際、日本のスーツは頑丈にできているので、その気になれば10年でも着られてしまいます。しかし、実はスーツにもゆるやかな流行の変化があります。
特に顕著なのがシルエットです。
10年前と比べると、現在のスーツは細身にできています。無駄なゆとりが削ぎ落とされ、スマートに見えるように変化しています。そのため古いスーツを着ていると、シルエットがダボっとして野暮ったく見えてしまうのです。
他にも襟まわりやVゾーンの広さ、2つボタンや3つボタンなどの流行も、時代によって微妙に変化します。
素人から見ると、着ているスーツが高いかどうかはほとんど分からないものです。しかしシルエットは、誰が見ても明らかに分かります。どんなに高いスーツでも、シルエットが古臭いと決して素敵には見えません。
10年前のブランドスーツよりも、今3万円のスーツの方が素敵に見えます。
1.3. スーツの色はネイビーかグレーを選ぶ
画像:CINQUE
スーツにもゆるやかな流行の変化があるとお伝えしましたが、その中でも、いつの時代も変わらない定番の要素があります。
それが「色」です。
日本ではリクルートスーツの影響で、黒が定番と考えられがちですが、実はスーツの定番の色は黒ではありません。黒はフォーマル度が高過ぎて完全にNGです。黒のスーツを好んで着ていると、「常識の乏しい人」と思われてしまうこともあります。
厳しい言い方ですが、黒を着ていいのはホストか冠婚葬祭の時だけです。
スーツの本当の定番色は、ネイビーとグレーです。
ネイビーは若々しい印象、そして清潔感を与えてくれます。まず一番最初に用意すべきはネイビーのスーツです。一方でグレーは大人っぽさを感じさせてくれます。もし童顔で年齡よりも若く見られがちな場合は、濃い目のグレーのスーツを選びましょう。
今まで黒のスーツを着続けてきた方は、ネイビーやグレーを試着すると最初は見慣れないかもしれません。その場合は、どうか3分間着て見てください。経験上、だいたい3分程度で目が慣れて違和感がなくなります。
1.4. スーツの柄はストライプか無地を選ぶ
続いて柄です。
まずはストライプ
スーツスタイルにおいてまず選ぶべきなのはシンプルなストライプ柄です。無地に比べると風格が出ますし、スーツに着慣れている印象を与えることができます。
画像:GLORY GUY
ストライプのスーツを選ぶ際には、ストライプの間隔をしっかりと見て選ぶことが大切です。ストライプの間隔が1㎝前後の物を選ぶと良いでしょう。人差し指1本分くらいの間隔だと覚えておいてください。
ストライプの間隔が狭すぎると、ごちゃごちゃした印象になりますし、逆に広すぎるとその筋の人のような印象を与えてしまいます。人差し指1本分を目安に程よいストライプのスーツを選んでください。あまりストライプの主張が強すぎないものを選ぶのがポイントです。
ネイビーストライプ、グレーストライプ、まずはそれぞれ1着づつ揃えてみてください。
続いて無地
続いて無地を選びます。基本中の基本ですので、必ず揃えておくようにしましょう。
ネイビーもグレーも明るめの色味の物は合わせが難しくなります。中間色から濃い色の物を選ぶと失敗しないでしょう。
これもネイビーとグレーをそれぞれ1着ずつあるとベストです。チェック柄などもありますが、ビジネスの場で用いるには難易度が高いとお考えください。
1.5. ジャケットの袖丈と着丈は必要に応じてお直しをする
ジャケットは、試着をして、店員さんに肩幅などのサイズ感を確かめてもらった後、必ず
- 袖丈
- 着丈
を調整しましょう。こうした細かい部分に気を使うかどうかで全体的な印象が大きく変わってきます。
お店の店員さんに「袖丈、着丈を調整してください」と伝えればOKです。
なお、サイズ感について多くの方は大きすぎるものを選んでしまいます。その場合は、今までよりもタイトなサイズ感が良い場合も多いです。店員さんを信じて、おすすめ通りのものを選んでください。
正しい袖丈は親指の先端から袖までの長さが11cm前後
ジャケットを選ぶ際に、必ずチェックして欲しいのが袖丈の長さです。ここが長すぎると、「ジャケットに着られている」印象になってしまい、ジャケットがまったく似合わなくなってしまいます。
「親指の先端から、袖までの長さが11㎝前後」が正解です。
正しい袖丈のにするとジャケットの袖からシャツが1㎝ほど覗くようになります。シャツが少し見えるだけで、全体の印象は大きく変わりますので、必ず細部にこだわって調整をするようにしてみてください。そうした細部への配慮が結果的に、シルエットをグッと引き締めてくれます。
正しい着丈はお尻の真ん中より少し長め
画像:Emone
ジャケットのサイズ感において、もう1つ重要なのが「着丈の長さ」です。長すぎれば野暮ったくなりますし、短すぎてお尻が丸々見えてしまうのは大人のファッションにふさわしくありません。
理想的なのは、上記の写真のようにお尻の真ん中より少し長めに隠れるバランスです。もし長過ぎる場合は1〜1.5㎝ほど着丈を詰めるお直しをしてもらってください。店員さんと相談しながら、適正な着丈の長さを目指しましょう。
1.6. スラックスの裾はハーフクッションに
ボトムス(ズボン)を買うときには、腹囲を合わせた後、必ず丈の長さを必ず調整するようにしてください。
買った状態でそのまま着るというのはNGです。
ハーフクッションが主流
店員さんには「ハーフクッションでお願いします」とお伝えして下さい。ハーフクッションとは、裾部分に軽くたわみが出来る状態のことを指します。
画像:prtimes.jp
上の写真をご覧下さい。一番ベーシックなのは左の「ワンクッション」なのですが、ちょっと古くさい感じがしてしまいます。
最近では真ん中の「ハーフクッション」が一番オーソドックスと考えるのがいいです。僕は右の「ノークッション」で少しくるぶりの辺りを見せて、カジュアル感を出すようにしています。これは少し上級編です。まずは一番当たり障りのない「ハーフクッション」を店員さんにオーダーするようにしてみてください。
裾はシングルとダブルのどちらがよいか?
次に、ボトムスの裾はシングルとダブルのどちらが良いのかで迷う方もいらっしゃると思います。
下の写真の左がダブルで右がシングルですね。
これは、どちらでも構いませんが、ファッションにこだわる人はダブルを好みます。足長効果があるのはシングルです。なぜファッション好きがダブルを好むのかというと、スーツスタイルでは他に差別化できるところがあまりないので、せめて足元にアクセントを添えておしゃれ感を出したいからです。
よりフォーマルに着こなしたい場合はシングル、おしゃれ感を加えたい方はダブルでお願いしましょう。
2. シャツ選びの6つのルール
続いてビジネスシャツについて解説します。
シャツはジャケットを羽織ると見える範囲は少なくなりますが、上半身に位置するアイテムのため、とても目立つ存在です。
シャツもスーツと同様に選び方のルールが6つあります。
- 5.000円以上のシャツを選ぶ。
- 装飾のあるシャツを避ける。
- 襟はワイドカラーかセミワイドカラーを選ぶ。
- 色は白か淡いブルーを選ぶ。
- 柄は無地かストライプを選ぶ。
- シャツの袖丈を合わせる。
早速解説していきますね。
2.1. 5,000円以上のシャツを選ぶ【価格別おすすめ店】
量販店や通販で格安のシャツを買いだめしている方は多いと思います。
しかし、そうしたシャツは生地にしなやかさがなく、襟の作りもどこか頼りない印象です。そのためネクタイの収まりが悪く、あまり見栄えがよくありません。
1枚3,000円以下のシャツは買わないようにしてください。スーツに投資するよりも、かえってシャツに投資をするようにしてください。5,000円が最低ラインです。
おすすめのお店は以下です。
5,000円 | スーツカンパニー |
6,000円 | AZABU CUSTOM SHIRTS |
5-7,000円 | 鎌倉シャツ |
13,000円 | ユナイテッドアローズ |
ご自身の予算に合わせて、上のショップの中からシャツを買い揃えてみてください。とはいってもシャツは消耗品です。何年も着れるわけではありませんので、無理のない範囲で買い揃えてみてください。
まずは1週間を回せる5枚のシャツを揃えましょう。
2.2. 装飾のあるシャツは避ける
ちなみに上の写真のような装飾のあるシャツはNGです。ボタンの色が黒かったり、ステッチが目立つシャツはかえって安っぽく見えます。おしゃれな人は絶対に着ません。このようなシャツをおしゃれだと思って着ている方は意外に多いので注意してください。
既に持っている場合はすぐに手放してください。
地味なシャツに個性を取り入れたい気持ちもわかりますが、これらのシャツはスーツスタイルに適しません。シャツで目立つ必要はまったくありません。大事なのは着こなしの土台となるシンプルで品のいいシャツを着ることです。
2.3. 襟はワイドカラーかセミワイドカラーを選ぶ
画像:CAMICANISTA
シャツは襟の形を見て選びます。様々な襟型があるのですが、その中でも選ぶべきは上の写真のような「ワイドカラー」または「セミワイドカラー」のシャツです。
ワイドカラーとは第一ボタンを締めた時の襟の開きの角度が広い物のことを指します。おしゃれなビジネスマンはワイドカラーのシャツを着ています。セミワイドカラーはそれよりも若干襟の開きが狭いものを指しています。ワイドカラーよりもベーシックな印象になります。
スーツ用のシャツとしてボタンダウンの襟型を選ぶ方も多いのですが、元々ボタンダウンのシャツはカジュアルな雰囲気が漂うアイテムですので、ネクタイを締めるスーツスタイルにはあまり適していません。ノーネクタイの時にこそふさわしい襟型と呼べます。
今後シャツを選ぶ際にはセミワイドorワイドカラーのシャツを選ぶことをお薦めします。仮にネクタイを取ってもきれいに着こなすことができますので、ビジネスカジュアルのシーンでも活躍します。
2.4. 色は白か淡いブルーを選ぶ
画像:CAMICANISTA
続いて色と柄です。ビジネスの場面で選択すべきなのは白シャツと淡いブルーのシャツの2色だけです。ピンクやグレー、ベージュなどの色はビジネスの場面にはあまりふさわしくありません。
2.5. 柄は無地かストライプを選ぶ
無地の白、無地の淡いブルー、それに加えてブルー系のストライプ。この3パターンのみを揃えてください。枚数がそれぞれ2枚ずつあれば十分です。少々退屈に感じるかもしれませんが、それ以外のシャツは必要ありません。シンプルに王道のアイテムを買い揃えていきましょう。
画像:CAMICANISTA
ちなみにストライプは選び方に少し注意が必要です。上の写真のように均一の幅のストライプを選びます。ストライプの幅は細かい物が良いでしょう。あまり派手になりすぎないようなシンプルなストライプ柄を選択してください。
2.6. シャツの袖丈を合わせる
次に、意外に大切なのがシャツの袖丈の長さです。
これが長すぎると、野暮ったい雰囲気になってしまいます。かと言って、短くしすぎてしまうと、ジャケットからシャツが覗かなくなってしまいます。
基準として、上の写真のように、袖のボタンを外したときに、親指の付け根よりも袖が長すぎる場合は、お直しをして、短くする必要があります。
店員さんに「袖丈の調整をお願いします」と伝えてください。あとは店員さんにお任せしてしまってOKです。カジュアル用のシャツであれば、袖丈は多少短くても構いませんが、上にジャケットを羽織ることを考えるのであれば、上の写真くらいの袖丈の長さを1つの基準としてください。
特にビジネス用のシャツは、袖丈の長さはとても大切ですので意識するようにしてください。
3. ネクタイ選びの3つのルール
続いてネクタイについて解説します。
スーツスタイルにおけるネクタイの役割は重要です。なぜなら身体の中心に位置するアイテムであり、目立つ存在だからです。そして価格の差が分かりやすいため、少々背伸びをして買い揃えるべきアイテムと言えます。
ネクタイ選びのルールは3つあります。
- 5,000円以上のネクタイを選ぶ。
- 柄は3種類、色は4種類の中から選ぶ。
- ネクタイ着用時は必ずディンプルをつける。
それでは見ていきましょう。
3.1. 5,000円以上のネクタイを選ぶ【価格別おすすめ店】
スーツにお金を掛ける人は多いですが、実はスーツよりも、シャツやネクタイの方がはるかに見た目の価格差が分かりやすいです。だらこそ、スーツよりもまずはシャツやネクタイにこそ投資をすることが重要です。
スーツに比べると高くても手が出る範囲なので、しっかりと投資をしてきましょう。
ネクタイは既にたくさんお持ちの方も多いと思います。まずは徹底的に量を減らして下さい。どんなにたくさんのネクタイを持っていたとしても、その中で気に入ったものは5本前後だと思います。実際、5本あれば一週間回すことができます。この機会に5本のみを残して、あとのネクタイを手放してみてください。
そして今後ネクタイを買うときには安い物を選んではいけません。5,000円以下のネクタイはNGと考えてください。少数精鋭の使い勝手の良いネクタイを揃えることが大切です。
また、
- プレゼントされたネクタイ
- ブランド物のネクタイ
なかなかこのようなものは手放しにくいものだと思います。ですが、これらのネクタイこそNGである可能性が高いです。
エルメスやルイヴィトン、グッチ、アルマーニなど、一流ブランドのネクタイを大切に所有している方も多いですが、だからといってそれが素敵とは限りません。むしろ色や柄が目立ち過ぎて、スーツスタイル全体とマッチしないかもしれません。
ネクタイでは、ブランドネームよりも使い勝手の良さが大切です。実際にネクタイを買うべきなのは一流ブランドではなく、以下のお店やブランドがお薦めです。
5-8,000円 | タイステーション |
8-12,000円 | 阪急メンズ館 |
8-12,000円 | SHIIPS |
10-18,000円 | BEAMS |
ネクタイは5本もあれば十分です。半年に1本ずつのペースで構いませんので、しっかりと厳選してネクタイを買い揃えてみてください。
3.2. 柄は3種類、色は3種類の中から選ぶ
続いて具体的なネクタイの選び方について説明します。まずはたくさんのネクタイの中から、以下の3つの柄を中心に選ぶようにしましょう。
- レジメンタル(斜めのストライプ)
- ドット(もしくは小紋柄)
- 無地
この3種類だけでも色を変えれば5本以上のバリエーションが用意できます。
色は、
- ブラウン
- ネイビー
- グレー(シルバー)
です。
この中から選ぶと失敗しませんし、どのようなスーツやシャツにも合わせることができます。
それぞれ見ていきましょう。
レジメンタルストライプ
画像:TIE STATION
上の写真のような柄をレジメンタルといいます。ネクタイの中でももっとも基本的が柄であり、シャープな印象になります。2本ほど揃えておくと良いでしょう。レジメンタル柄を選ぶ際のポイントなのですが、必ず色は2〜3色で構成されているものを選んでください。
3色以上の色が使われていると、ごちゃごちゃした印象となり、あまり素敵に見えません。そして柄の幅も細かいものではなく、この写真のように大きめのストライプ幅の物を選ぶと素敵です。
色はネイビー、グレー、ブラウンを基調とした物を選ぶと失敗しません。
ドット(小紋)
画像:TIE STATION
続いて持つべきなのがドット柄です。このような少し華やかな物を選んでも良いでしょう。色はシンプルな2色使いの物を選びます。
こちらはネイビー地にピンクのドットが並んでいます。ピンク1色だと軽い印象になってしまいますので、このようにベースにネイビーを使った物を選ぶとバランスが良いでしょう。なるべく細かいドット柄や小紋柄を選んでみてください。
無地
画像:TIE STATION
そして無地のネクタイです。こちらの画像のように、全体に織りが入っている物だと無地でも退屈な感じがしません。色はネイビー、ブラウン、グレーなどのオーソドックスな物の中から選ぶと良いでしょう。ストライプのシャツと非常に相性が良いので試してみてください。
3.3. ネクタイにはかならず「ディンプル」を入れること
ネクタイを締めるとき最も重要なことは、結び目の下にくぼみを付けることです。これを「ディンプル」と呼びます。
おしゃれな人はほぼ100%、ネクタイにディンプルを作っています。その人がおしゃれかどうかを見分けるもっとも分かりやすいなポイントでもあります。雑誌を見ても、テレビで芸能人を見ても、政治家の方を見ても、必ずネクタイにディンプルを作っています。
これがあるかないかだけでまったく見え方は変わります。
新しいネクタイを買い揃えなくても、今あるネクタイにディンプルを付けて結ぶだけでも、見え方が変わります。とても細かなポイントですが、分かる人には分かります。絶対にディンプルをマスターしてください。
以下の動画が参考になります。何度も見て、実践してディンプルをしっかりと作れるようになってください。
ネクタイの結び方には様々なバリエーションがありますが、特にこれが正解というものはありません。慣れた結び方で構いません。ネクタイとシャツの間には隙間を一切作らないように意識してください。ここに隙間があるとだらしなく感じられますし、スーツスタイルが一気に間が抜けた感じになります。
しっかりとディンプルを付けて、ネクタイを上まで上げること。このシンプルな法則だけでもスーツスタイルは見違えるはずです。
ぜひ試してみてください。
4. 革靴選びの5つのルール
続いて革靴について説明したいと思います。
ビジネスにおける革靴選びのルールはとてもシンプルです。以下の5つです。
- 2万円 ~ 8万円の価格帯から選ぶ。
- まずは黒のストレートチップを選ぶ。
- 2足目はブラウンのストレートチップを選ぶ。
- 3足目は黒のセミブローグを選ぶ。
- 4足目は黒のダブルモンクを選ぶ。
特に凝ったことはせず、基本に忠実に靴を選ぶようにしましょう。
ちなみに必要な靴の数は3足です。1足を毎日履くというのはNGです。1日履いたら2日休ませるのがルールです
そうすることで靴が長持ちします。
4.1. 革靴の【価格別おすすめ店】
実は革靴にはものすごい価格帯の幅があります。下は5,000円、上は20万円まで様々な選択肢があります。正直、デザイン自体はそこまで大きな違いはありません。素材の良し悪しや、工程のていねいさが大きな価格差を生みます。
ではみなさんにはどのような靴を選んでいただきたいかというと、2〜8万円の間で靴を選ぶようにしてみてください。
以下にブランドやお店を価格順に並べましたので参考にしてください。
25,000円前後 | スコッチグレイン |
30,000円前後 | 42ND ROYAL |
35,000円前後 | トレーディングポスト |
50,000円前後 | 三陽山長 |
75,000円前後 | クロケット&ジョーンズ |
42ND ROYALやトレーディングポストは知る人ぞ知る、靴のセレクトショップです。店員さんの知識も豊富なので、足型に合った靴をしっかりと提案してくれるはずです。
三陽山長やクロケット&ジョーンズは靴好きの人であれば誰もが知るような、上質な靴ブランドです。クロケット&ジョーンズになると高級靴に分類されるので、お仕事で格の高さを表現したいのであれば、少し背伸びをして持っておくのも良いかもしれません。
かかとを修理すれば、5年以上使うことができます。その点、コストパフォマンスは高いと思います。
それでは、ここからはおすすめの革靴を一つ一つ見ていきたいと思います。
4.2. まずは黒のストレートチップを選ぶ
まず最初に揃えるべきは上の写真のような黒のシンプルなストレートチップと呼ばれる靴です。基本中の基本となる靴であり、誰もが一度は見たことのある靴だと思います。この靴さえ持っていれば、ビジネスの場面だけではなく、冠婚葬祭にも活用することができます。
4.3. 2足目はブラウンのストレートチップを選ぶ
画像:http://www.tradingpost-online.jp/
黒のストレートチップを揃えたら、次にチャレンジしてもらいたいのが深めのブラウンのストレートチップです。黒に次ぐフォーマルな色合いなので、スーツスタイルに合わせてもまったく違和感はありません。ほんのりカジュアルな雰囲気が漂います。形は王道であるストレートチップを選べば、カジュアルになりすぎません。
ブラウンの色が明るすぎると、スーツスタイルの中で浮いてしまうため、上の写真よりも明るめのものはNGだと考えてください。
スーツスタイルだけではなく、ビジネスカジュアルの場面でも活躍します。
4.4. 3足目は黒のセミブローグを選ぶ
画像:http://www.tradingpost-online.jp/
3足目の靴としてお薦めするのが、黒のセミブローグです。ストレートチップに比べると少し装飾が入ったデザインが特徴的です。「ちょっと派手かな?」と思う方もいるかもしれませんが、靴は足元にくるので、これくらいの装飾があってもほとんど目立ちません。少しカジュアル感が出ますが、ブラウンのストレートチップよりもビジネスライクに見えます。
黒のストレートチップを2足買い揃えるのでは少し退屈な感じがするので、2足目の黒靴はこちらを選んでみてください。
4.5. おしゃれな4足目は黒のダブルモンクを選ぶ
画像:http://www.tradingpost-online.jp/
最後におすすめするのが黒のダブルモンクです。紐がなく、ストラップで留めるタイプのビジネスシューズです。見慣れない方も多いかと思いますが、昔から存在するオーソドックな靴の1つです。少し難易度が高くなりますが、ここ数年おしゃれな人の間でよく履かれているデザインでもあります。フォーマルな靴の一種ですので、ビジネスで履いても問題ありません。
少し遊びを加えたいという方にはぜひお薦めしたい靴の1つです。
【補足】靴は定期的にメンテナンスをしよう
かかとはすり減りを定期的に確認して修理にだそう
靴は長く履いていると、かかと部分がすり減ってきます。かかとのゴム部分は取替え修理が可能ですので、1年に一度は必ず靴の修理をしてみてください。三越や阪急などの百貨店には必ず靴の修理場が入っています。そのようなところで修理を頼むと良いでしょう。
どうしても時間がない場合は、駅などに入っている【ミスターミニット】を利用するのも手です。
出来る範囲で靴磨きをしよう
靴は定期的に手入れをしてください。靴は個性的なデザインの物を持つことよりも、よく磨かれたシンプルで上品なものを持つことが大切です。靴を素敵に保つためには日頃のメンテナンスが非常に大切です。無理のない範囲で続けてみてください。靴磨きは月に1度でも構いません。
お薦めはモウブレイのデリケートクリームです。こちらがあれば、革を良い状態に保つことができます。靴だけではなく、バッグやベルト、お財布などの革製品全般に使えます。僕も昔から愛用しているクリームです。
画像:http://www.kimotomasaki.com/
まずは軽くブラシでほこりを落とします。そして布の切れ端にモウブレイのデリケートクリームを付けて、全体に馴染ませていきます。最後に乾拭きをしてあげれば完成です。仕上げに防水スプレーを振っておくと良いでしょう。これだけでも革に栄養が行き渡り、良い状態が保てます。面倒ではない範囲内で、靴のお手入れを続けてください。
5. 小物選びのルール【ベルトとチーフ】
最後にスーツスタイルにおいて揃えておきたいその他のアイテムについてご案内したいと思います。
5.1. ベルトは靴の色と合うしっかりした2本をもつこと
画像:BEAMS
ベルトは着こなしの中でもあまり目立たないアイテムですが、ふとした瞬間に露出するものです。ボロボロのものや、あまりに安っぽい物をするのはNGです。2本だけで良いので、しっかりと投資をして揃えてください。
色は黒と焦げ茶、靴の色と合わせて揃えることが大切です。
単価は15,000円ほどで、上の写真のようなシンプルなデザインのものを、ユナイテッドアローズやビームス、シップスなどで購入してみてください。どうしても予算が割けない場合はもよりのスーツカンパニーがおすすめです。
5.2. チーフは白のリネンチーフのTVホールドから
画像:BRITISH MADE
多くの人にとってチーフとは使い慣れないアイテムだと思います。だからこそ優れたビジネスマンの方にはお薦めしたいアイテムです。あまり大げさに見せず、なるべくシンプルに、自然に見せることが大切です。
おすすめは白のリネンのチーフです。もっともオーソドックなチーフであり、自然に見えます。まずはこちらから慣れていくことをお薦めします。スーツカンパニーで3000円前後で売っています。
チーフの指し方にも色々なバリエーションがあるのですが、その中でも「TVホールド」と呼ばれる挿れ方だけ覚えておいてください。
以下の動画が参考になります。
ビジネスカジュアルでは、ネクタイを省くことも増えてきます。その場合にはチーフがあった方が様になります。チーフがネクタイの代わりになりますので、1つ試しに用意してみてください。
まとめ
いかがだったでしょうか?
ここでお伝えしたことを守って頂ければ、スーツスタイルはグッと引き立ちます。最初は大変に感じるかもしれませんが、一つ一つはシンプルで簡単なルールですので、ぜひ、次にスーツやシャツを買うときの参考にして頂ければと思います。
最後に、もう一度ルールをまとめておきますね。
スーツ
- スーツは現在のトレンドに沿ったお店で買う。
- スーツは3年(最長5年)で買い換える。
- 色はネイビーとグレーを選ぶ。
- 柄は無地か1cm幅のストライプを選ぶ。
- ジャケットの着丈と袖丈は必要に応じてお直ししてもらう。
- スラックスの裾丈は必ずお直ししてもらう。
シャツ
- 5.000円以上のシャツを選ぶ。
- 装飾のあるシャツを避ける。
- 襟はワイドカラーかセミワイドカラーを選ぶ。
- 色は白か淡いブルーを選ぶ。
- 柄は無地かストライプを選ぶ。
- シャツの袖丈を合わせる(お直しをする)。
ネクタイ
- 5,000円以上のネクタイを選ぶ。
- 柄は3種類、色は4種類の中から選ぶ。
- ネクタイ着用時は必ずディンプルをつける。
革靴
- 2万円 ~ 8万円の価格帯から選ぶ。
- まずは黒のストレートチップを選ぶ。
- 2足目はブラウンのストレートチップを選ぶ。
- 3足目は黒のセミブローグを選ぶ。
- 4足目は黒のダブルモンクを選ぶ
小物(ベルトとチーフ)
- ベルトは靴の色にあうしっかりとした2本をもつ。
- チーフは白のリネンチーフのTVホールドから。