「わろてんか」一週間 第10週「笑いの神様」[字] 2017.12.10

1012月 - による admin - 0 - 未分類

(藤吉)「東洋のマンチェスター」か。
(てん)隼也これ終わるまでもうちょっと待っててな。
うん。
大阪は今欧州大戦の好景気で地方からぎょうさん働き手が集まって人口は東京を抜いて日本一らしい。
日本一?ああ。
売り上げも2軒ともだいぶ伸びてますしなぁ。
この好機逃したらアカン。
3軒4軒と寄席の数を増やさんと。
またそれですか。
もっともっと働いて日本一の寄席作ったるで〜!なあ隼也。
・「出かける時の忘れ物」・「ひょいとつかむハンカチのように」・「心の中にすべり込む」・「いちばんちいさな魔法」・「泣いたり笑ったり」・「今日も歩き出す」
(トキ)ここんとこお客さんぎょうさん来てくれはりますな。
景気ええいう事やないの?・こら待て!
(アサリ)どいて!あっ!ご…ごりょんさん助けて!黙れこのさい銭泥棒が!
(2人)さい銭泥棒!?お騒がせ致しました。
わいは自分のぜぜこを勘定しとっただけや。
さい銭箱の前でお前みたいな人相の奴が金数えとったら誰でも疑うやろ!すんません。
よう言い聞かせますんで。
近頃けったいな芸人が人気出て世間の風紀が乱れとるさかい厳しゅう監督しいや。
すんませんでした。
近頃人気のけったいな芸人さんて…。
(風太)そら団吾師匠やろ。
風太。
寺ギンさんとこの集金来たで。
ご苦労さん。
団吾師匠いうたら…。
月の井団吾。
落語界の風雲児や。
落語に今の世相を取り入れて客を笑わす話術は絶品や。
そないに面白いんですか?ああ。
破天荒でウケる思たら高座で屁ぇもするしすっぽんぽんにもなる。
すっぽんぽん!そやけど団吾師匠の面白さは本物やと思うで。
笑いの神に愛された天才や。
やっぱりなんとか寄席増やして北村笑店を大きしたいんや。
大看板の芸人迎えてうちのお抱えにしたらどうかと思うねん。
へ?団吾師匠のような。
えろうお金かかりますやろ?5,000円か…1万。
1万!?借金してでも払うだけの価値はあると思う。
1万円は今で言うとおよそ5,000万円の価値がある大金でした
団吾師匠はいつ来はるんですやろか?わしらも今日会えるかどうか全く分からんのや。
そんな…。
ま確実に居場所が分かるんは赤い人力車だけや。
買うた人力の支払いが滞ってな。
「これがホンマの火の車や!」言うて真っ赤に塗らはったんや。
寄席の前に赤い車が止まってるといっつも満員御礼や。
・ひゃ〜師匠!そないな格好で!・ちょっと!
(団吾)お待たせしましたな。
水もしたたるええ男が来ましたで。
(笑い声)よっ待ってました!ご贔屓の旦那がな「なんぼ天下の団吾でも戎橋から道頓堀にはよう飛び込まんやろ」抜かしよるから「南無阿弥陀仏!」。
うわ〜っあ〜っ!師匠!…言うてとっとと飛び込んだったわ。
(笑い声)その旦那びっくりしたやろな!わしが死んだ思て青い顔しとった。
すんません師匠!何やあんた。
風鳥亭の席主北村藤吉と申します。
ここの勘定払うてもらう人か。
へ!?嘘や嘘や!
(笑い声)わしが命をかけてもろてきたご祝儀や。
持ってけ〜!さあ飲め飲め!
(戸が開く音)
(万丈目)席主!
(キース)席主との団体交渉に臨みます。
団体交渉?月の井団吾なるスカタン噺家に1万円もの契約金を払て出演させようと画策してるそうですな。
我々4人にもそれなりの…。
ふざけた事はやめて…。
我々はふざけてなどいない!不公平解消!働きとうないんやったら出てもらわんでもええ。
好きにせえ。
第一回交渉終了!よろしいんですか?今は団吾師匠の事が先や。
(栞)僕なら反対されてもやり遂げると思う。
君も僕もこれだと思うものを見つけたら自分を信じて突っ走らないと。
同じ場所で足踏みする訳にはいかないだろ。
何をやるつもりや?皆があっと驚くような活動写真を必ず作る。
時代を切り開くんだ。
俺もやったる。
(寺ギン)オチャラケ派の芸人はオモロない。
そんな評判あるらしいな。
お前らホンマにオモロイ芸人探す気あんのか?もちろんです。
ほんなら風太団吾師匠うちに連れてきてくれるか。
寺ギンさん団吾師匠に興味ありましたんか?何年も前から誘とるが足蹴にされ続けとるわ。
ハッ。
風鳥亭の席主も団吾師匠お抱えにしようと走り回ってますわ。
あっ…大丈夫ですか!?丸2日も飲まず食わずやなんてえらい事でしたなぁ。
事情があって大阪へ逃げてきたんです。
けどうちの人とはぐれてしもて。
ホンマにお世話になりました。
ほな。
あっ…。
ああ…。
もうちょっとゆっくりしていかはったら?ほんでも…。
旦那さんはうちの若い子ぉらに捜させますよって。
な!お夕さん何してはんの!?何か手伝わんと申し訳のうて。
体はもうよろしいの?へえすっかり。
それに体動かしてる方が気ぃ紛れますよって。
ほんならお願いしましょか。
へえ。
(亀井)ごりょんさんちょっと弱った事になりましたわ。
お囃子の三味線のばあさんが具合悪なって来られんて。
あの…よかったらうちが。
へ?お上手やわぁ。
こらただもんやおまへんな。
芸妓さんやったんですか?実は父は噺家で。
多い時にはお弟子さんが10人以上いてまして三味線は母に教わりました。
それで。
ほな旦那さんも噺家さん?いえちゃいます。
名もない芸人で。
ああそや!お囃子の事もなんやけどもうしばらくは手伝うてもらわれへんやろか?うちの長屋に空いてるとこあるさかいそこにいはったらどやろ?おおきに。
・「四国は讃州那珂郡象頭山金比羅大権現」師匠そろそろうちに来てもらう話ちゃんとさしてもらえませんか?アホ!遊びの最中にな仕事の話する奴がわしは閻魔さんの次に嫌いなんや。
さあ地獄の踊り合戦や。
わしに勝ったら話聞いたるで。
けど負けたらここのツケ払てもらおか。
(笑い声)
(掛け声)一晩中つきあわされてな。
そやけどあの師匠はホンマもんや。
へえへえ。
(戸が開く音)席主!我々は団体交渉の開催を要求します!「我々にも契約金を支払い風鳥亭に尽くしてきた芸人として尊重する事。
高座の出番を増やす事」。
そらのめんな。
高座の出番は人気次第や。
それとも今まで以上にオモロイ新ネタがあるんか?もちろんあります。
ほな見してみぃ。
ここでやるような事やないと思います。
委員長席主は我々をどう喝しています。
ほな俺もはっきり言わしてもらうわ。
新しい事何一つやってみようともせん。
今の芸磨いてもっとお客を笑わしたるいう気概もない。
文句言う前にちょっとは新しい事考えて団吾師匠より笑い取ってみいや。
みんなうちらの家族です。
はなから苦楽を共にしてくれた事忘れはったんですか。
こいつらのために言うてるんや。
藤吉さん!月の井団吾が今万々亭にいたはります!何でそないなとこに団吾師匠が…!お夕さん!?お代わりや!わしの腹満足させたら一席やったるで!団吾師匠には似ても似つかんニセ団吾や。
(歌子)支払いはツケや言うてはるんやけど!
(藤吉てん)え?誰やねんお前!あんた!何してんの!お…お夕!うちの人です。
食い逃げする気やったんか?ここはうちがとりあえず払いますさかい。
ごりょんさん…。
こんな芸人がいてるさかいわてらが巡査に疑われんねんで!笑いの神様の罰当たるで!アホ言うな!笑いの神さんなんかこの世におるかい!この人は噺家なんです。
時々団吾さんの名をかたって小屋に出てました。
団吾師匠のものまね落語か。
ちゃう。
みんな俺の噺にわろてくれた。
この人の芸はホンマもんなんです。
それだけはうちがよう知ってます。
とにかく会えたんや。
今日は長屋に戻ってこのあとどないするか夫婦でちゃんと話し合うて。
てん。
よろしいやないですか。
困ってはるんやし。
(お夕)ありがとうございます。
風鳥亭に出してもらえるかもしれん。
あんたに大阪でもう一花咲かせてほしいんや。
しゃあ…どうやろな。
団吾さんよりもあんたの方が上やてホンマに信じてるさかい。
ホンマに落語の才能持ったはるかもしれんし。
大事なんは本人がどう思うてるかや。
女房の言う事なんか当てにならん。
一回ネタ見せてもらって面白かったらうちの高座に出てもらったらどないです?今はニセ団吾に構うてる暇あらへん。
今日はもう寝るわ。
それでは団体交渉を始めます。
何でそっちにおるんや。
北村委員から新しい要求を。
「朝の食事は家族三人で食べる事」。
何やそれは。
「愚痴はためずにお互いすぐ吐き出す事。
一日一回必ず家族三人で笑う事」。
ごりょんさんの要求はどないすんねん!何も言う事ないわ。
我々との話し合いは必要ないという事ですか?あっ!資本家の横暴を許すな!
(岩さん)許すな!わいらは最後まで闘うで!何すんねんて!もう言う事ない言うてるやろ!ストライキを決行し寄席に出入りしません。
以上!
(笛の音)決裂や決裂!
(藤吉)おい!どうした?こんな所で。
うん…いやまあう〜ん…。
帰りにくうてな。
飲みに行くか。
(リリコ)あ。
何してんの?
(歌子)女子の役者が活動写真に出るんや。
これまでは歌舞伎の女形が女性を演じてきたがこれからはもうそれだけの時代じゃない。
これが新しい時代の活動写真だ。
しかも時代物じゃない。
今の日本の若者たちを描きたい。
なあリリコお前これに出してもろたらどうや?ないない!うち演技なんかした事ないし。
でも…。
いや…あるな。
お前の義太夫語りは絶品や!演技かてできる!テストだけでも受けてみないか?君らしく自然体のまま演じればいい。
考えてみるわ。
席主お夕さんの旦那さん呼びましたさかいネタ見てあげて下さい。
は?よろしゅうお願いします。
「あ〜熊はんか。
こっちへ入っとくれ」。
「へえ。
わたい仕事に行きかけてましたん」。
「お嬢さんがサラサラ〜ッと書かはった歌が『瀬をはやみ岩にせかるる滝川の』。
『われても末にあはむとぞ思ふ』これをわざと書いてない」。
(藤吉)お?え?おらんな。
あっちか。
「わたいがその仲立ちさせてもらいまひょ!」。
団吾師匠!久しぶりでんな。
これは何の余興や?おおちょっと…。
あっ…。
あんた!あんな男!見限った方がええでお夕。
師匠これはどういう事で?あああいつはわしの兄弟子や。
兄弟子?団真いうてなうまい噺家やったけどな。
ほなお夕さんは?わしの師匠先代団吾の娘や。
ほなさいなら!師匠何かご用があったんやおませんか?ああ…。
2万円あるか?今借金が2万あんねん。
2万ですか。
(団吾)ないならええねん。
なんとかします!
(団吾)契約料は2万円。
毎月の給金は500円や。
隠し立てしてすんませんでした。
団吾さんは兄弟子の団真を慕ってまるでホンマの兄弟みたいでした。
そうなんや。
団吾の名前を継ぐんは団真のはずでした。
けど父は団吾さんを選びました。
あいつさえおらんかったら自分が跡継いで駆け落ちなんかせんでもよかったのにって…きっとあの人はそう思てます。
駆け落ち?それであの人は破門になって旅回りするしかのうて…。
うちはうちの人の落語がホンマに好きなんです。
諦めたらアカン。
もう一度席主に話しますさかい。
ごりょんさん…。
あいつはお前があの寄席で働いてんの聞きつけて来たんや。
何でも奪わんと気ぃ済まんそういう男や。
あれは最低のカス芸人や。
あんな奴が出るような小屋なんか願い下げやで。
団真さんをうちの寄席に出す事はありません。
お金はどうにか用意しますさかいどうかうちの小屋だけに出て下さい。
お願いします!仕事の話はもうええ。
地獄へ道連れや。

(いびき)・
(男の声)・「瀬をはやみ岩…」。
・「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の」。
違うな…「岩にせかるる滝川の」。
「瀬をはやみ」。
・「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の」。
2万円用意する!?ストライキしてはる皆さんには何と説明しはるんです?芸人が芸をせんかったら腐るだけや。
団吾師匠はな毎日血へど吐くような稽古してはる。
うちには団吾師匠のような芸人が必要や。
ここが勝負の時なんや。
団真さんはどないです?団吾師匠が「あんな芸人が出る小屋には出ん」言うてはるんや。
あいつを高座に上げる訳にはいかん。
そんな中
(イチ)バツマル師匠うちにいてはりません。
ああそうか。
どないしたん?京都から来る予定やった落語家が電車が止まったとかで来られんようになりましたんや。
へ?このままやったら出しもんに穴が空いてしまうわ。
団真さん高座に出てもらえまへんやろか。
急いで連れてきとくれやす。
はい!お…俺が高座に?一世一代の勝負や。
団真の落語見せたり。
アカン…やっぱりあの団真ちゅう奴出るみたいや!こっちにお鉢が回ってくる思たのにな。
お前が断固拒否とか言うからやろ。
ホンマちょうどええ潮時や思たのに。
痛っ!あっどっかで見た事あるな…。
「ああ熊はんかこっちへ入っとくれ」。
「一体どないしはったんで?」。
「実は高津さんへお詣りに行た」。
「ああ神信心はしなはれや。
信すりゃ徳するちゅうて。
それから?」。
「せわしないなもう…」。
「これが分が厚うてうまいがな。
あんたなんぼほど食うた?」。
やっぱりそうや。
どないしたんや?こないだ食い逃げしようとして捕まった。
あん時のニセ団吾や。
ニセ団吾や。
「水もたるるようなお方や」。
(ざわめき)頑張って!
(ざわめき)
(観客)ニセもんやニセもん!ニセもんニセもん。
すいません今日はこれ以上できません。
(観客)何やそれ!金返せ!
(観客)やっぱりニセ団吾や!大丈夫や元気出して。
俺はもうとっくにアカンのや。
それをお前がすごいやの頑張れやのず〜っと言い続けてきたせいで…。
俺は…!もう…ついてこんといてくれ。
大丈夫やから。
あっ!団吾のとこにでも行ったらええ。
(戸の開閉音)何で俺の許しもなくこんな事…。
よりによって団真を。
お客さん待たせる訳には…。
お前に芸や番組の事は分からん。
もう二度と高座の事に口を出すな。
分かりました。
生字幕放送でお伝えします2017/12/10(日) 11:00〜11:20
NHK総合1・神戸
「わろてんか」一週間 第10週「笑いの神様」[字]

藤吉(松坂桃李)は風鳥亭に看板芸人が欲しいと考え天才落語家・月の井団吾(波岡一喜)に目を付ける。てん(葵わかな)は団吾に大金を払おうとする藤吉に不安を感じる。

詳細情報
番組内容
藤吉(松坂桃李)は風鳥亭の看板となる芸人が欲しいと考え、当代一の人気を誇る落語家・月の井団吾(波岡一喜)に目を付けた。てん(葵わかな)は団吾に大金を払おうとしている藤吉に不安を感じるが、その予感は的中し、万丈目(藤井隆)ら古参の芸人たちがストライキを始める。てんは道で倒れていたお夕(中村ゆり)を助けるが、食堂で団吾の名をかたり食い逃げしようとした落語家・団真(北村有起哉)がお夕の夫だと知って驚く。
出演者
【出演】葵わかな,松坂桃李,濱田岳,広瀬アリス,徳永えり,大野拓朗,前野朋哉,兵動大樹,中村ゆり,波岡一喜,北村有起哉,藤井隆,内場勝則,高橋一生
原作・脚本
【作】吉田智子

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:20357(0x4F85)