AppleがどうやらShazamを買収するようだ。この人気あるアプリは、デバイスのマイクを使って思い出せないコンテンツのサンプルを聞いた後に、音楽や映画、テレビ番組、さらには広告がなんなのか教えてくれる。恐らくAppleはこの技術を自社デバイス、特にSiriに統合しようと考えているのだろう。
TechCrunchが報じたところによると、このディールは月曜日に発表されるようだ。ロイター通信とRecodeは、この買収案件について独自の情報源の話として買収価格を4億ドルと伝えている。
約10億ドルの評価額と言われるShazamの最後の資金調達ラウンドを考慮すると、4億ドルという価格は投げ売りに近いだろう。
確かにこの金額はAppleが食手を伸ばした大きな理由のひとつになりそうではある。ただ個人的には、もう一つの動機として現在の人工知能アシスタント市場におけるSiriが、競合となるAlexaやGoogle Assistantと比較して遅れを取っているという点を挙げたい。
2014年9月のiOS8リリースで、SiriはShazamと統合し現在再生中の曲を教えてくれるようになった。この「2人」はシームレスに仕事をこなしているが、実は過去3年間あまり変化はなかった(確かにiMessageのShazamはあるが、革命的といえるものではなかった)。
ところでAlexaにとってコンテンツの判別というのは十分な意味がある。というのもユーザーは、Amazonで購入できるように、曲、ショー、ムービーを識別したいと考えるからだ。広告が非表示にされていたとしても、識別さえできればまだ見ぬ商品にユーザーを誘導することもできる。
しかし、Siriが実際に何に対して対抗するのかについて、現在Googleがやってること以上の内容を考えるのは難しい。例えばPixel 2の楽曲識別は、Pixelスマートフォンのコンピュータのビジョン機能であるGoogle Lensを使うことで、デバイスに何が再生されているのかを問わずとも機能してくれるのだ。
Appleは恐らくSiriがAmazonとGoogleが取り組んでいることの「両方」を望んでいるはずだ。
ユーザーの周囲の状況を把握してコンテンツを販売する。Siriは、聞いたことや目に見えることから貴重な情報を抽出することが可能だ。関連性がある場合は、Apple Musicプレイリストにその曲を追加したり、予告編を見たり、iTunesで映画を購入したりすることもできる。SiriがShazamを飲み込めばこれらは簡単にできるようになる。
ShazamのAndroidやAndroid Wearのアプリケーション(iOS、macOS、Apple Watchのバージョンは安全だろうが)でAppleが何をしてくるのかは不明だ。ただ、あまり心配する必要はないかもしれない。Shazamがなくなったとしてもファーストパーティ(AlexaやGoogle Assistant、Cortanaなど)とサードパーティ(SoundHoundが最も人気だ)のような代用品がたくさんあるからだ。彼らの仕事は終わったといえよう。
このディールが噂通りに進めば、Siriは今後数年間、Shazamチームから熱心に新しいテクニックを学ぶことになるだろう。