気が付いたら社長になっていた話
こんにちは、インターネットコンテンツのところてんです。
この記事はインターネッツ秘密結社pyspaのAdvent Calendar 2017の10日目の記事です。ちなみに明日はpyspa忘年会なんで、みんな遅刻せずに行こうね。
思えば、このmediumのブログも、pyspa Advent Calendar 2016のために開設したので、はや一年です。
さて、今回はこの一年、いろいろとあったので、その話をしつつ、近況報告を適当にするポエムを書いて行きます。
退職した
昨年末に勤めていたベンチャー企業を「円満」に退職し、無事無職になり、失業保険を貰ってゆるゆるとしていました。なお「円満」の定義は人それぞれです。
「円満」の定義について色々と語りたいですが、それを語ると様々な個所にご迷惑が飛ぶので、ひとまず「円満」とだけご報告します。
起業した
その後は人と一緒に会社を興して、新規ウェブサービスの開発と、会社資金を稼ぐための出稼ぎを行っていました。
どんなサービスかはさておき、Android版の開発と、Chrome Extension版の開発の担当をしていました。(後述)
出稼ぎに出ていた
当時はソーシャルゲームのディレクターと、機械学習の顧問の仕事を引き受けていました。ゲームリリース直前で40連勤して自社の仕事が何もできなかったのはいい思い出です。
ソースコードを全部読んで、影響範囲を全部抑えて、そのうえでエンジニアに仕様変更を依頼するという、エンジニアからしてみたら、安全マージンを削りにかかる最悪極まりないディレクターをやっていました。
俺「~~~~という風に仕様変更したい」
エンジニア「その変更をするには2日くらい見てもらわないと……」
俺「もうPull Request書いたから、これを動作確認してくれ、3時間でできるはずだよね」
エンジニア「アッハイ……」
そのほかにもリリース前日にバグが見つかって、ソースコードを追いかけて原因特定して、データで直せる範囲で直して無理やりリリースとか、そんなことをしてました。
無事アプリもリリースして、今は私の手を離れて、順調に動いているみたいで何よりです。
同人誌を出したら、オライリーから本が出ていた
ちょうど起業したあたりで、pyspa Slackのbigdataチャンネルでchezoやhagino3000と「過去に書いてお蔵入りした資料を、皆で持ち寄って同人誌を作ろう」という話になり、技術書供養寺というサークルを作り、BIG MOUTH DATA2017 SPRINGという本を作り、頒布していました。
同書はいくつかの出版社様にお声掛けいただいたのちに、オライリージャパンより「仕事ではじめる機械学習」という形で電子書籍で出ました。
ソフトウェアエンジニアの間でも一般的な言葉になった「機械学習」。本書では、その機械学習やデータ分析の道具をどのようにビジネスに生かしていけば良いのか、また不確実性の高い機械学習プロジェクトの進め方などを「仕事で使う」という観点から整理し…www.oreilly.co.jp
その後、オンライン版の売れ行きは好調な模様で、物理書籍版の出版が決定しました。2018/1/16発売予定です。
Amazonで有賀 康顕, 中山 心太, 西林 孝の仕事ではじめる機械学習。アマゾンならポイント還元本が多数。有賀 康顕, 中山 心太, 西林 孝作品ほか、お急ぎ便対象商品は当日お届けも可能。また仕事ではじめる機械学習もアマゾン配送商品…amzn.to
pyspa bigdata部屋のチャットが起点なので、これは実質pyspaの成果と言っていいんじゃないでしょうかねー。よくわからんけど。
その他細かいの、いろいろやってた
某社での社内プロダクトの審査員(NDAで、にゃーん案件)
Voyage Groupでの技術力評価会の社外審査員
(↓そのうち今年の記事が出るので、出たらリンクを張り変える)
〜「技術力評価会」を中心とした、VOYAGEGROUPのエンジニア評価制度。被評価者だけでなく、評価者も育てる仕組みとは〜売り手市場が続く、エンジニア採用。その中で、優秀なエンジニアを採るためには、何をするべきなのか。その問題への1つseleck.cc
未踏ジュニアキャンプ・未踏ジュニアのお手伝い
http://jr.mitou.org/camp/
http://jr.mitou.org/
2020年度から小学校でのプログラミング教育の必修化がスタートするなど、いまSTEAM教育が熱い。 実務としてのプログラミングスキル以上に、論理的な思考、そのプログラミング的な考え方を培うことが大きな目的だ。 だが、大人がレールを敷く以…codeiq.jp
第七回ゲームサーバ勉強会で、ちょっと前に学会発表した内容を焼きなおして話した。ゲームサーバ勉強会だけど、サーバの話は一切してなかったけど、なんか好評でした。
独立して社長になった
さて、起業していろいろとやっていたわけですが、音楽性の違いから会社は空中分解。私がアプリケーションを引き取り、サービスリリースに向けて開発を継続中です。
とはいえ、相変わらず出稼ぎも続けており、気付いたら出稼ぎの比率がどんどん上がってきています。「これが受託沼かー」と思っている次第です。最近やっている外部の案件はこんな感じ。
- 新規ゲームのディレクター&プロト版プログラマ
- 機械学習案件の顧問
- 半導体計測器の開発
- (1月から)音楽ベンチャーの顧問
週3で外部に出て、週2で自社の仕事をする、という感じでトントンで回しています。
何か案件があれば、適当に声を掛けていただけると遊びにいきます(有償)
資金ショートした
さて、freee会社設立で何も考えずに資本金50万円で会社を作ったわけですが、初月から資金ショートするという楽しいことがおきました。
出稼ぎ案件は、月末締め翌々月払いで請求書を出していました。その結果、出稼ぎで会社としては黒字ですが、売上が入ってくるのは二か月後。
そのため、私ともう一人のエンジニアの給与が初月から支払えない、という楽しいことが起こりました。初月から給与遅配です。
結局、役員借入金で私が会社に貸付を行い、ことなきを得ているじょうたいです。
貯金が減っていって、精神がゴリゴリ削られる。つらい。
法人作るときは、3か月分くらいの給与を資本金に積もうね。お兄さんとの約束だ。そうしないと初月から資金ショートするぞ。
黒字倒産の仕組みを身をもって体験したよ。
あ、freee会社設立にはいろいろと言いたいことあるので、freeeの人は今度飲みに行きましょう。
で、今は何を作ってるの?
自社ではVeinという名前の新しいB向けのグループウェアを作っています。
Twitterでブレストしていた時のまとめは、この辺にあります。
社内SNSとSlack、上意下達、ボトムアップに関するあれこれ
https://twitter.com/i/moments/916133015784263681
Veinの背景
コンピュータを利用した業務が増えた結果、左上の暗黙知の共同化のプロセスが機能しなくなってしまったと私は考えています。
そこで、暗黙知の共同化を目的とした、新しいコンテキストシェアリングツールとして、Veinというサービスを開発しています。これはSECIモデルにおける左上の、暗黙知の共有というプロセスに重点を置いたサービスです。
Veinとは「静脈」「葉脈」という意味の言葉です。組織の表の「動脈」はSlackやChatworkやMS Teamsに任せておけばよいと考えています。彼らはSECIモデルの右上の表出化を担います。Veinは左上、共同化を指向します。
現在、SECIモデルの右側についてはいろいろとツールが出てきていますが、左側を支援するものというものが薄いと考えています。エンジニアであれば、ペアプロやモブプログラミングが担いますが、その他の職種ではコンピュータの普及により、共同作業が減っていっており、共同化が出来なくなってきていると考えています。
また、SECIモデルの右側のツールが普及することで、文字コミュニケーションが強く、言語化能力が高い人が優遇されるようになりましたが、一方で、感覚的な能力や情報収集能力が高い人がうまく活躍できないようになってきていると考えています。
言語能力が高くない人でも使える、情報共有ツールが求められています。
また、この話はちょっと前に書いた「情報発信の簡易の流れ、そして受動的情報発信へ」ともリンクしていますので、よろしければこちらもどうぞ。「ライフログの自動コンテンツ化」というのは実はVeinのことを指しています。
Veinとは何か?
そういうわけで、SECIモデルの左上、共同化を目指したVeinを開発中です。じゃあ、Veinって何なんだよ?っていう話になりますが、私は「コンテキストシェアリングサービス」という形で人に説明しています。
Veinはkyoro335が2006年に未踏ユースで開発したAntwaveを思想的な原型としています。このサービスは、ブラウザのマウスカーソルを相手と共有することで、誰が何を見ているのかを明らかに、人と同じものを見ることで、コンテキストを共有し、新しいコミュニケーションスタイルを実現するものです。
AntWaveから10年経ち、多くの人がPCを使って仕事をするようになり、また、インターネットはモバイルにシフトしました。その10年の変化に合わせてVeinは設計されています。
Veinの特徴としては次のようなものがあります。
- B向けソーシャルブックマークサービス、Slackのように企業ごとにサブドメインで空間を切れる
- 誰が何の記事を見たのか、記事に対して見た人のアイコンが付く
- スクリーンショットを加工して放り込める
- Slack等の各種社内向けチャットツールと連携
- 任意のRSSをニュースタブに登録可能(社員に見せたい情報を流せる)
- botによるURL投稿が可能(社員に見せたい情報を流せる)
これにより、企業内の狭い関係性において、文字コミュニケーションを介さずに、誰が何を見たのか、誰が投稿した記事を誰が見たのか、といった情報が共有できるようになり、コンテキストの共有がはかられるようになります。
チャットツールにURLだけを投げ込むのは、手抜きだと思われて心苦しい、といった感情もVeinに放り込むことで解決されます。
また、Veinのネットワークを解析することで、誰が情報のハブになっているのか、誰が情報収集の起点になっているのか、といったことがわかるようになります。(オマケ程度のHR Tech要素)
そんなVeinですが、2018年1月くらいには、ベータテスターの募集ができるかと思います。
まとめ
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