リニア中央新幹線に関連する建設工事の入札をめぐり大手ゼネコン大林組が偽計業務妨害の疑いで捜索を受けた事件で、大林組は不正の疑いがある名古屋市内の非常口の新設工事のほかにも、東京の品川駅の新設工事など３件の関連工事を受注していたことがわかりました。東京地検特捜部は大林組が受注したすべての関連工事について入札の詳しい経緯を調べるものと見られます。
リニア中央新幹線は東京・大阪間を１時間余りで結ぶ総工費およそ９兆円の巨大プロジェクトで、東京地検特捜部は大手ゼネコン大林組などが去年４月におよそ９０億円で受注した名古屋市内の非常口の新設工事の入札で不正が行われた疑いがあるとして、８日、大林組の本社などを偽計業務妨害の疑いで捜索しました。
ＪＲ東海などによりますと、大林組が参加する共同事業体は、不正の疑いがある名古屋市内の非常口の新設工事のほかにも、おととしから去年にかけて、リニア中央新幹線の始発駅となる東京の品川駅の新設工事や名古屋駅の新設工事、川崎市内の非常口の新設工事の合わせて３件の関連工事を受注していたということです。
特捜部は大林組の土木担当の副社長などから任意で事情を聴くなどして受注したすべての関連工事について入札の詳しい経緯を調べるものと見られます。
大林組が受注した工事とは
入札で不正があった疑いが持たれているのは名古屋市にある名古屋城の南側の敷地で進められている「名城非常口」の新設工事です。
この工事は、深さ９０メートル、直径４０メートルの縦穴を掘削し、リニア中央新幹線が走る地下のトンネルから地上に避難するための非常口を新設するものです。
去年４月に大林組と戸田建設、ジェイアール東海建設で作る共同企業体がおよそ９０億円で受注し、再来年９月末までの完成を目指しています。
このほか大林組が参加する共同企業体は、おととし１０月、リニア中央新幹線の始発駅で東海道新幹線の品川駅の地下４０メートルに作られる「品川駅南工区」の新設工事を受注し、去年９月にはＪＲ名古屋駅の地下に作られる「名古屋駅中央西工区」の新設工事を、去年１１月には、川崎市麻生区で深さ１００メートル、直径３６メートルの縦穴を掘削する「東百合丘非常口」の新設工事をそれぞれ受注しています。
大林組をめぐる過去の不正
大林組をめぐっては、平成１８年１１月に和歌山県発注のトンネル工事をめぐる入札で談合を取り仕切っていた当時の顧問が大阪地検特捜部から在宅起訴されました。
また平成１９年には名古屋市の地下鉄工事をめぐる談合事件で、談合の仕切り役とされた名古屋支店の元顧問が独占禁止法違反の罪で逮捕・起訴され、大阪・枚方市の清掃工場をめぐる談合事件でも当時の顧問が逮捕・起訴され、この年の６月に当時の会長と社長が引責辞任していました。
