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「あんな黒いのが好きなのか」山本衆院議員の発言にアフリカ系日本人のティーンズたちが、衝撃を受ける

「日本人でいていいんだというものが揺らいだ」 抗議の手紙を送ることにした。

2017年12月10日 13時42分 JST | 更新 26分前

「何であんな黒いのが好きなのか」「黒い大陸」という政治家の発言に、傷ついている若者たちがいる。アフリカにルーツを持つ日本の子供たちだ。アイデンティティが揺らぐほどのショックを受けている。「日本人だという意識を持っていながら、人種の違いを意識させられてしまった」。ハフポスト日本版に、10代の3人が思いを率直に語った。

話してくれたのは、父親がガーナ人の田村ブライト・マンフレッドさん(17)と藤井咲詩(さうだ)さん(15)、父親が南アフリカ人の津山家野(かや)さん(19)。3人とも母親は日本人だ。

MASAKO KINKOZAN/HUFFPOST
発言を受けた、自分の思いを語る3人。左から、藤井咲詩さん、津山家野さん、田村ブライト・マンフレッドさん=12月8日、新宿区で

■「2つのルーツが自分の個性」

津山さん)南アフリカで生まれ、10歳でこの国に来たけれど、住んだ地域は、いろんなバックグラウンドの子どもがいて、いろんな民族や人種の人もいて、いい友達に囲まれて、特段差別を受けたという記憶もないまま育ってきた。

高校生の時、オーストラリアに留学していた間、自分と向き合う機会を持てて、アフリカと日本、両方の背景を持っていることを肯定的にとらえ、誇りに思うアイデンティティが確立できた。

田村さん)自分も16歳になって日本とガーナの「ハーフ」でよかったと思えるようになった。ハーフ同士のつながりもできたし、この夏休み、父の祖国・ガーナで過ごす機会が得られ、2つの国を自分のルーツとして持っていることは自分の「個性」なのだ、ということを見いだせた。

藤井さん)私は日本でずっと育って、いつもまわりにいる人の多くが日本人、という環境だった。見た目について差別的な扱いを受けたことがなかった。自分は日本人という意識があるし、いつもまわりに良い友達がいて、父のことに興味を持ってくれる子もいた。こういう世界を当たり前だと思って育ってきた。
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3人は11月、山本幸三衆院議員の発言に大きなショックを受けた。

毎日新聞によると、11月23日、山本氏はアフリカ交流活動にかかわってきた衆院議員が主催するセミナーに来賓として出席、あいさつの中で、

「ついていけないのが(主催者の)アフリカ好きでありまして、何であんな黒いのが好きなんだっていうのがある」と述べた。

この発言が問題視された後の25日、毎日新聞の取材に対し、山本氏は「アフリカが『黒い大陸』と呼ばれていたことを念頭にとっさに出た言葉だった。差別的な意図はないが、表現は撤回したい」と話した。

Jiji

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■「発言で揺らいだ誇りやアイデンティティ」

津山さん)母親に新聞記事を見せもらって今回の発言を知り、生きてきた地盤が揺らいでしまった。

自分のアイデンティティを拒否された気分だ。本当に日本人でいていいんだというものが揺らいでしまった。日本人としての立場はあるのかないのかもわからなくなった。

政治家という、リーダー的な存在の人が言うくらいなのだから、ほかの人たちは自分のことやアフリカについて本当はどう思っているのかという大きな不安や疑心暗鬼、ネガティブな妄想にかられてしまう。

日本で育って、自分が日本人だという意識を持っていながら、人種の違いを意識させられてしまった。居場所がなくなってしまいそうな気持ちになる。こんなこと経験したくなかった。悔しい。

でも、周囲の人たちに助けられて、極端な考えに行きすぎずにいられている。個人と個人で話せる関係があってよかった。

山本さんを悪い人だと思いたくない。きっと今回の発言も悪意があったわけではないだろう。だけど、彼の言葉がどんな重みがあり、自分のような若者たちにどんな影響を与えるのか、考えて欲しい。

今回の発言を「暗黒大陸」という意味で言ったと説明しているけれど、アフリカは次世代のアジアの位置づけで経済成長が注目されている、ポテンシャルのある大陸だと知って欲しい。

僕たちのようなアフリカに関わる人たちの立場や思いを自分の発言がどう傷つけたのか、しっかり理解して欲しい。僕も非難し続けるつもりはない。悪く言うばかりでは解決しない。何も前には進まない。

MASAKO KINKOZAN/HUFFPOST JAPAN

田村さん)日本とガーナの2つの視点が持てて、よかったと思えるようになったその矢先、山本さんの発言をニュースで知った。

内閣を構成する大臣クラスを経験して、ある意味「日本の顔」という側面を持つ国会議員がそういうことを言ってしまうし、釈明の際も「アフリカは黒い大陸と言われている」とまで言ってしまっている。日本人の根底に、彼のような思いがあるのではないか、と不信感とまではいかないが、モヤモヤしている。

■「見える世界だけを基準にしないで」

藤井さん)山本さんの発言で、今まで何も言われずに自分は日本人という意識を持って育ってきたけれど、日本人とは違う「別の人」と思われていたのかもしれないと思った。


山本さんに伝えたいのは、自分から見える世界だけを、価値判断の基準にするのではなく、多様で対等な視点を持って社会を見て欲しいということ。外に出たら、まったく異なる基準が存在する。政治家として日本を引っ張っていく立場なのだから、そうした視点への理解を深めて欲しい。

MASAKO KINKOZAN/HUFFPOST JAPAN

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3人は、アフリカ大陸出身の親を持つ、幼児から大学生までの子どもで作る「アフリカンキッズクラブ」(NPO法人日本アフリカ協議会運営)のメンバーでもある。今回の山本氏の発言を受け、3人を含む、クラブ有志が、山本氏に宛てて発言を抗議する手紙を書いた。アフリカンの若者や子どもからの賛同者を12月12日まで募り、13日以降送ることにしている

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「私たちの親(一方か両親とも)はアフリカ諸国の出身です。私たちにとってアフリカの国も母国であり、そのことを誇りに思っています。山本議員の『なんであんなに黒いのが好きなんだ』という言い方は、どう考えても差別的で、蔑んでいるようにしか聞こえません。釈明で使った『暗黒大陸』という文脈での『黒い』という言葉が、植民地支配や搾取の歴史の苦悩を意味しているということは、若い私たちでも理解しています」

「弁解についても「誤解を招くようであれば」と、あくまで受け身的な姿勢で反省していない言葉です。政治家である以上、言葉のもつ力とその重みは理解していらっしゃると思います。そして自らのあやまちと正面から向き合うことが必要だと思います。このような発言を国会議員で、大臣経験者でもある方がされることは、アフリカ諸国をはじめ、国際的に信用をなくすことにつながるでしょう。私たちは、すべての人・文化・社会を同等に尊敬し、対等に向き合うことが大切だと思います」

「山本議員が、自らの発言を反省し、私たちアフリカにルーツをもつ人間、アフリカ系の人々、さらには差別と真っ向から向き合い反対する勇気をもつすべての人に対して真摯に謝罪するよう求めます。人は常にあやまちから学べるということを子どもたちに示してください。私たちのこの思いに対し、お返事をいただくか、面会の機会をいただけますようお願いします」

 
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