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ハイテク大国の韓国、サイバー性犯罪撲滅への闘い
【12日10日 AFP】トニー・キムさん(27)はこの6年間、裸の女性や性交渉の様子を捉えた画像や動画を日々注意深く見続けている──それが彼の仕事なのだ。
キムさんが所属しているのは、リベンジポルノ撲滅を目指す韓国・ソウルの会社「サンタ・クルーズ(Santa Cruise)」。相手の同意を得ることなくインターネットに投稿された私的な性的画像や動画を発見し、それらを削除する業務を任されている。
当初は「好奇心」からこの仕事に応募したというキムさんだが、「朝から晩までこうした動画を見続けなければならないので、すぐに不快に感じるようになった」と当時を振り返った。
ただ、今では慣れて何も感じなくなり「もう単なる仕事にすぎない」と話す。
この殺伐とした業務は、韓国で急成長している「デジタル洗浄」産業の一形態だ。ハイテク技術に精通している韓国だが、文化的な性差が大きく、一部には女性を物とみなす風潮すらある。
サンタ・クルーズのキム・ホジン(Kim Ho-Jin)最高経営責任者(CEO)は2008年にこの事業を立ち上げた。当初は、インターネット上で拡散する地元企業や著名人に対する悪意のあるうわさや不正確な情報の削除を専門に行っていたという。
しかし近年では、新しいタイプの顧客も現れ始めた──執念深い元彼や元夫、悪意のある知人らによって、プライベートでの性的な行為を捉えた動画や写真を許可なくインターネットに投稿された女性たちだ。
「リベンジポルノ」は何も韓国だけの社会現象ではない。ある研究論文によると、米国でもインターネット利用者の2%が、こうした画像や動画を投稿されたことがあるという。
韓国政府の統計によると、私的な画像や動画をインターネット上から削除するよう求める依頼が、2016年だけで7325件あったという。依頼件数は、過去4年間で7倍に増えたとされる。
韓国ではこのほど、インターネット上での性犯罪根絶を目指し、こうした違法行為を取り締るための広範な対応策について発表があった。この中には、禁錮刑を最も軽い刑罰とする計画も含まれていた。