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旧東ドイツの過疎の村、競売にかけられ1900万円で落札
【12月10日 AFP】ドイツで9日、一風変わった競売が行われた。競売にかけられたのは人口わずか20人ほどの旧東ドイツの村で、ただ1人の入札者が14万ユーロ(約1900万円)でこの村を手に入れた。
競売にかけられたのは、ベルリンから南に約120キロ離れたブランデンブルク州のアルビネ(Alwine)という村だ。不動産専門の競売会社カルハウゼン(Karhausen)が最低売却価格12万5000ユーロ(約1700万円)で競売にかけ、電話を通じて唯一、競売に参加した匿名の人物が14万ユーロで落札した。
アルビネの住民約20人は、ほとんどが老朽化した家で暮らす年金生活者たちだ。
1990年に東西ドイツが統一される以前のアルビネの人口は50人ほどで、村の不動産はすべて近くにあった欧州最古の練炭工場の名義となっていた。この工場が1991年に閉鎖されると仕事がなくなり、アルビネの住民の多くが村を去っていった。
アルビネのように、統一後の繁栄や賃金、雇用の面で旧西ドイツ側から大きく遅れをとっている旧東ドイツの市町村は少なくない。2015年の旧東ドイツ地域の1人当たり国内総生産(GDP)は旧西ドイツ地域のわずか67%。今年の政府報告によれば、旧東ドイツ地域の人口は1990年から2015年にかけて約15%減少している。
アルビネが位置するウエビガウ・ワーレンブリュック(Uebigau-Wahrenbrueck)市のアンドレアス・クラウス(Andreas Claus)市長は「経済的に遅れている地域の人々は問題を抱えたまま取り残されたと感じているのです」と語る。
今年9月に行われた総選挙で、ウエビガウ・ワーレンブリュックにおける極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の得票率は23%に迫り、全国平均の2倍近くに達した。(c)AFP