2018年度の予算編成に着手している財務省が、不況対策として設けられている地方交付税の「歳出特別枠」を廃止する方向で調整を始めた。
歳出特別枠とは、リーマン・ショック後停滞した地方経済への緊急経済対策。国が地方に配る地方交付税を特例的に上積みするもので、2016年度は4500億円を計上してきた。
財務省はこれを縮小または廃止する理由として、景気回復で地方自治体の財政が改善され、自治体の「貯蓄」に相当する基金の残高も増加傾向にあることを挙げている。
一方、財務省のこうした動きに神経質になっているのが、地方自治体を統べる総務省。総務省としては地方自治体の基金は守りたいが、財務省は地方交付税交付金を減額することによって少しでも多くのおカネを一般会計予算に回したい。
そのため両省の水面下での攻防が激しくなっているのだが、当の財務省も外国為替資金特別会計など、各種の特別会計でおカネを貯め込んでいるため、総務省を責める説得力がないといえばない。
また、総務省も地方自治体のためを考えているかのような振る舞いに見えるが、総務省から地方自治体への出向ポストも多く、実は自分たちのポスト維持の魂胆が透けて見える。つまり、財務省にしても総務省にしても、別に地方の住民のことを考えてこのさや当てを演じているわけではないのだ。