Jリーグに「赤字クラブ」が多い本当の理由
サッカーの特性や「Jリーグ規約」が足かせに
川崎フロンターレの劇的なJ1初優勝が記憶に新しい、Jリーグ。2017年J1、J2、J3を合わせた入場者数は970万人となり、過去最高を更新した(リーグ戦のみ、カップ戦や入れ替え戦などは含まない)。1993年に発足したJリーグは1990年代後半に低迷期があったものの、順調にファンを増やし2018年のワールドカップ・ロシア大会を控え、さらなる盛り上がりを見せている。
しかしビジネスの観点からプロサッカーを見ると、盛り上がりに反して「儲かっていない」Jリーグクラブが多い。
Jリーグの全53チーム中、22チームが営業赤字に陥っているのだ(2016年度、内訳はJ1が4チーム、J2が11チーム、J3が7チーム)。
J1クラブでも営業利益率は平均で3.2%となっており、単純に比較はできないものの、一般企業のそれと比較して採算が良いとは言いがたい状況だ。なぜサッカービジネスは収益化が難しいのだろうか。
サッカークラブの収益構造とは?
まず、クラブの収益の内訳は大きく分けて以下のようになっている。
1.広告料収入 : ユニフォームやスタジアム内の広告
2.入場料収入 : J1クラブでおおむね大人2000円台~5000円程度
3.Jリーグ配分金 : テレビ・ネット等の放映権収入をJリーグが各クラブに分配
4.アカデミー関連収入 : 子供向けスクールの料金
5.物販収入 : グッズ販売
6.その他
プロ野球では放映権ビジネスは球団ごとの運営となっているなど、若干の違いはあるものの、この収益構造は野球やバスケといった他のプロスポーツビジネスにも共通している。一方、費用はというと、
1.チーム人件費 : 選手・スタッフの給料
2.試合関連経費 : ホームゲームの開催
3.トップチーム運営費
4.アカデミー運営費
5.女子チーム運営経費
6.物販関連費
7.販管費
費用に占める人件費率はJ3よりJ2、J2よりJ1のほうが高いが、当然ながら選手の年俸が高いためだ。
経営改善には、「収入を増やす」か「費用を減らす」か、その両方が求められる。しかし、Jリーグ規約やサッカーという競技の特徴がそれを難しくしている現状がある。