朝6時。

沖縄の随分北の方に来ている。
昨夜『やんばるアートフェスティバル』のレセプションがあったので、そこに顔を出した。
作品制作に自分がまるで携わっていないので居心地の悪さを感じながらも、一方で「協賛してくださる方々への挨拶」という大人モードも働いた。

昨日、なんとか時間を作ることができて、ゴミアート『プペル』が作られている旧塩谷小学校に行ったが、なんだか入りにくい雰囲気で、「お疲れ様でーす!」と言っても、「ああ、はい。。」といった調子。

このボランティアスタッフさんの反応に僕もスタッフも随分驚いて、
「もしかしたら、なにか怒ってるのかなぁ?」
「『私たちは、ずっと前から作業していたのに!』というバイアスがかかっているのかなぁ?」
と、あれやこれや考えた。
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プペルのマントに紙を貼り付けていくボランティアスタッフさんの仕事がとても丁寧で、そのことが逆に、「ゴミで作っている感」を削いでいるように見えたので、
「もしかすると、もう少し乱雑に紙を貼った方が“ゴミで作った感”が出るかも…」
と恐る恐る提案してみたところ、「これ(丁寧にやること)にメチャクチャ時間がかかったのに…」と返ってきた。

そりゃそうだ。
「最後にやって来て口を出すなら、最初から来とけよ」という話だ。
現場の、その気持ちはものすごく分かるので、もう口出しをすることはやめた。

今回の僕の役割は裏方の裏方で、ボランティアスタッフさんの宿泊施設の手配や、協賛してくださった方々への御礼に従事して、作品制作は淀川テクニックさんのボランティアスタッフさんにお任せすることに決めた。

昨日の夜から、一つ引っ掛かっていたのは今日から始まる『やんばるアートフェスティバル』に展示されるゴミアート『プペル』の前に、キャプション(作品説明ボード)が置かれるのだけれど、そこに僕の名前があること。
…いや、名前があるどころか、「キングコング西野の作品」として展示されてしまうこと。

繰り返すが、もろもろの事情により、今回の作品制作に僕は携わっていない。
僕がやったのは作品制作の環境を整える作業(根回し)で、実際に手を動かしてくださったのは淀川テクニックさんとボランティアスタッフの皆さんだ。
作品タイトルは『プペル』だったとしても、作者は「淀川テクニック&ボランティアスタッフ」と表記するのが妥当だろう。

僕の正直な気持ちとしては、僕の名前を表記して欲しくないと思った。
「手柄の横取りもいいところだ」と思った。

ただ一方で、(ものすごく数は少ないかもしれないけれど…)「キングコング西野が携わる」ということで、協賛してくださった方もいらっしゃるかもしれない。
僕の作品でもないのに、「キングコング西野の作品」と銘打つことで足を運んでくださる方もいらっしゃるかもしれない。

協賛がなければ、そもそも今回のような場は無かったわけだし、
淀川テクニックさんとボランティアスタッフさんが長い時間をかけて生んだ作品は、できるだけ多くの人に見てもらった方がいい。

そう考えると、やすやすと「僕の名前をキャプションから外してください」とは言えなくて、とはいえ、僕がまるでタッチしていないのは事実で、僕としては、僕の名前が使われることに違和感と“申し訳なさ”しかない。

そんなことも悶々も考えていて、「こうなったら今からでも作品制作に関わるしかない!」と思えてきたので、今から旧塩谷小学校に行くことに決めた。

今、泊まっているところから、旧塩屋小学校はかなり離れているので、現場に着くのは朝8時頃になるし、2時間ほどしか居られないのだけれど、やっぱり、どう考えたってメチャクチャ気持ち悪いので現場に行って、
作品がまだ出来ていなければ手伝うし、
作品が完成していれば、
機材の後片付けだとか、作品まわりのゴミ拾いなどをする。

小学校の鍵が閉まっていれば、開くまで待つ。
もし、ボランティアスタッフさんがいれば、直接お礼を伝える。
今回は、こんな形で参加しようと思う。

外は真っ暗。
スマホがないと辿り着けないのだけれど、スマホの充電が今「15%」しかない。
はやく、充電貯まれ!

てなわけで、これから着替えて現場に向かいます。

きっと、まだ間に合うと思う。
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【業務連絡】
鮎川女史へ。
キャリーバックはホテルのフロントに預けておくので、次の現場に持ってきてくだい。