2017-12-10

中国人にお詫びをした話

当時ぼくが働いていた企業には上海支社があり、現地で登用した中国人支社長と、彼が雇用した10人程度の中国人IT技術者が、日本本社の開発を手伝ってくれていた。

 

入社三年目の下っ端だったぼくは、新サービスをイチから彼らに任せるため上海に赴き、一週間ほど滞在して企画説明を行った。

 

ぼくの説明支離滅裂で、下手くそだった。

現場は混乱し、日本との調整でぼくは板挟みになった。

ぼくは鬱っぽくなり、帰国後は会社を数週間休んだ。

 

鬱も晴れて会社に戻ると、それまでの間に上海支社でハイスピード人員整理が行われ、ぼくの説明理解できなかった3人のIT技術者が解雇されていた。

ぼくは中国支社長に連絡を取り「なぜ解雇したのですか。」と聞いた。

中国人支社長の返事は「あなた説明理解できなかった従業員不要で、代わりはいくらでもいる。求人には20名以上が応募しており問題ない。」とのことだった。

ぼくの知らないうちに、ぼくのせいで、人が仕事を失った。そこに責任を感じたが、何もできなかった。

しかしながら、この失敗がきっかけで、会社でのポジションは徐々に悪くなっていった。

 

なんとなく3年ほどしがみついたが、結局その会社を去った。

転職はうまくいったが、ぼくのせいで解雇された3人の技術者のことはずっと忘れられないでいた。

 

さらに3年経ち、偶然、都内携帯ショップで、解雇された技術者の1人と再会した。

普通に店員として働いているようだが、いや、まさか? と思い、本人確認書類提示すると

「ワタシ、アナタ名前を見たことがありますね。」

 

互いに同じ会社に属していたことを確認した。

そしてぼくは、当時の非礼を詫びた。

すると

あの日にワタシは解雇されていないだったら、ワタシは日本に来るチャンス無いでした。アナタ解雇されたを知っている。あの会社だめだめね。ははは。」

そう言いながら、慣れた手つきで機種変更を終えた。

「ワタシの代わりは中国いくらでもいます。だから日本に来た。」

 

連絡先を交換したものの、それから一度も連絡を取れていない。

ぼくは未だ何も変わっていない。

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